「古きを迎える」中国の消費者のクローゼットに目を付けた日本の中古ブランド品販売業者

中古ブランド品やビンテージファッションが中国の消費者に受け入れられるようになり、販売業者は中国のデジタルプラットフォームやツールへの取り組みを本格化

日本の中古ブランド品販売業者にとって、中国の消費者のクローゼットで眠っている服やバッグ、ジュエリーのすべてが、今や無視できないほど大きなチャンスになっています。日本人の片づけコンサルタント近藤麻理恵氏によって人気に火がついた世界的な片付けブームは、世界2位の経済大国である中国でも勢いを増しています。

K-ブランドオフ社の代表取締役社長である山内祐也氏は「中国は金鉱のようなものです」と語ります。日本の高級ブランド品再販チェーンであるK-ブランドオフ社の「ブランドオフ」は2021年6月、アリババグループの越境ECプラットフォームである天猫国際(Tモール・グローバル)への出店しました。ブランドオフは、大黒屋、ブランディア、RECLO(リクロ)などと並び、アリババの越境マーケットプレイスと提携して中国での事業拡大を目指す日本の中古品販売業者の一つとなりました。アリババと提携する日本の中古販売業者がまだまだ増え続けています。

高級品の持つ価値が具体的な形をとるようになると同時に、よりサステナブルなライフスタイルを消費者が取り入れるようになったことで、高級品再販市場は拡大し続けています。

北京の対外経済貿易大学(University of International Business and Economics)が2020年6月に発表したレポートによると、日本と米国は高級品の中古品販売が高級品市場全体の約30%を占めているのに対し、中国ではわずか5%でした。

しかし、これは中国の中古品販売市場が未だ発展途上にあるためであり、今後、大きく成長する可能性があると、K-ブランドオフ社の山内氏は指摘しています。「中国には世界最大規模の再販可能な高級品が手つかずの状態で眠っています。」

 

中国の中古品市場には成長の余地がある

国・地域別の高級品市場に占める中古品売上高の割合

引用:北京対外経済貿易大学(University of International Business and Economics)

 

ヴィンテージ品もオンライン販売へ

日本の中古ブランド品流通大手のコメ兵の傘下にある、K-ブランドオフ社が日本全国で展開するブランドオフの店舗には、エルメスの人気のバッグ「バーキン」など、ヴィンテージの希少品や憧れの商品を求める中国人の買い物客が押し掛けるようになっています。ピーク時には、世界各国の観光客がブランドオフの月間売上高の半分を示すようになっていました。

そうした時に大きな打撃となったのが新型コロナウイルスの世界的な感染拡大でした。K-ブランドオフは中国市場における拡大計画を引き続き加速するために、日本に居ながらファン層とのつながりを持つ必要に迫られました。1社で市場を支配するような強力なプレーヤーが出現する前に、しっかりと中国市場における足場を固めておきたいと、山内氏は述べています。

中国で、ブランドオフは新たなマーケティングツールのトレンドであるライブコマースを活用し、中国の消費者に特に人気があり需要の高い高級ブランド商品を複数提供しました。

ブランドオフの東京・銀座店は、ヴィンテージ品好きの中国人のメッカです

ブランドオフではインフルエンサーに発注する代わりに、しっかりとした商品知識を持ちヴィンテージ品に対する消費者の購買パターンを熟知した販売員を起用してライブ配信を実施ました。また今後、ライブコマースを利用して消費者に日本全国の店舗のバーチャルツアーを提供するほか、アフターサービスの拡充や、人工知能(AI)を搭載した画像スキャン技術による偽ブランド品のチェックも開始していく計画です。

こうした展開について、K-ブランドオフ社の山内氏は、アリババグループのインタビューに次のように答えています。「コロナ禍において、デジタル化やオンライン化の取り組みは当社にとって一層、重要性が高まり、この短期間に、実に多くのことに新たに取り組む必要がでてきました。」

 

人気上昇中の古着ファッション

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大(パンデミック)によって自宅待機を強いられた消費者が家の中を片付け始め、さらに持続可能性(サステナビリティ)を意識するようになったことで、高級品の再販市場が拡大しました。こうしたトレンドは、アリババが運営する個人間の中古品取引アプリ「閑魚(Idle Fish)」にも広がっています(※)。閑魚の登録ユーザーが昨年、3,000万人を突破する一方で、中国国内では北京に本社を置く「紅布林(Plum)」や、上海をベースとする「妃魚(Feiyu)」など、ファッションに特化したフリマアプリのスタートアップ企業が続々登場しています。

※参考:Secondhand Trading Takes Off in China as Apps such as Alibaba’s Idle Fish Make Recycling Easier
https://www.alizila.com/recommerce-takes-off-in-china-as-apps-such-as-alibabas-idle-fish-make-recycling-easier/

北京を本拠とするシンクタンクChina Center for Internet Economy Researchが、パンデミックの発生以前に発表した調査結果によると、中国市場全体での中古品の売上高は、2020年に1兆RMB(約1,540億米ドル)を突破し、2017年から倍増しています。

天猫618の期間中、日本のリセールストアRECLO(リクロ)は1,000万元(約1.7億円)を超す売上を上げ、今年初めに天猫国際に旗艦店を立ち上げて以降、すでに14万9,000人以上のフォロワーを獲得しています。

天猫国際ではヴィンテージ品の愛好家がプラットフォーム上で目当ての商品を見つけやすくするために、「グローバルディスカバリーデー」と称するイベントを開催し、3日間に渡ってさまざまなコンテンツをシリーズで提供しました。このイベントではショートビデオやライブ配信のほか、日本のヴィンテージ文化を探り、中国の若い人たちにとっての高級品の意義を伝えるミニ・ドキュメンタリーまで制作されました。

天猫国際では、アリババの天猫618ショッピング・フェスティバルの開催に先立ち、高級品やヴィンテージ品の特集を企画しました

天猫国際のファッション部門責任者、Dong Wenは、「若い消費者の間で古着や高級ヴィンテージの需要が高まっています。海外旅行ができない今、私たちはお客様のお気に入りのストアを素早くお届けしたいと考えています」と述べています。

この中古品カテゴリーの拡大は、ソーシャルメディアなどを通じてサステナビリティに関する意識が強まり、中古品に対する意識に変化が生じていることが背景になっていることも指摘しています。さらにDong Wenは、今の若い世代の人たちは、有名デザイナーブランドにこだわるのではなく、購入する商品や購入の方法によって、いかに自分らしさを表現するかという点を重視しているとも述べています。

 

「Pre-loved」から「Re-loved」

対外経済貿易大学のレポートによると、中国での中古高級品購入者の半数以上は30歳以下です。他人に着用された商品に対して疑いの目を向けるそれまでの世代とは異なり、Z世代やミレニアル世代の若い人たちは、伝統的、文化的なこうした悪いイメージを一掃して、中古品取引を新たな視点で捉えています。

ハイブランド商品専門の日本のリセールストア通販サイトRECLOで販売されているフランク ミュラーの腕時計を鑑定する鑑定士

上海の調査会社China Skinnyの創業者、Mark Tannerはその価値について「ユニークさという点に尽きます」と述べています。同氏によれば、ヴィンテージ品のショッピングは、他では簡単に見つからないような商品を手に入れるための手段であり、そうした人たちの中に海外旅行好きがいるのも、同じように他の誰も見つけられないような商品を見つけることができるからだと言います。「一般的に高級品を購入するのは、あまり幅広く流通しておらず、どこにでもある商品ではない、非常に洗練されたものを購入したいと考える消費者です。つまり、中古品には大きなチャンスがあるということです。」

また、同社の調査では、中古の高級品を購入することで自分の出費を正当化したり、高額な高級品を購入する際の壁を取り払えたりすることを理由に挙げている消費者もいることが明らかになっています。

「いずれにせよ、いつでも売れるでしょうという消費者の考え方があります。」

 

※日本円は、2021年7月時点の換算レート1元=17円で計算しています。

 

参考記事:
中古ピアノ1万台を売りさばく、上海ライブコマース配信者に日本企業が感謝状

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