中国消費者、よりサスティナブルな買い物へ、Tモールイノベーションセンターが5つのグローバルブランドと連携

ティンバーランド(Timberland)のスニーカーからネスレ(Nestlé’)のコーヒーまで、多様なブランドが天猫ダブルイレブンを機にイノベーションに富む新商品をテスト

 

初回から13年間をかけて、天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル(以下、天猫ダブルイレブン)は、中国でのEコマースの認知度を高める事を目的とした小規模なマーケティングキャンペーンから、世界最大の販促イベントへと成長しました。

ブランドや小売業者にとっては、イノベーション力を鍛える場にもなっています。常に新しいものを求める中国市場において、ブランドはめまぐるしく変化する消費者のニーズや要望に素早く答えるように求められています。

こうした状況を踏まえて、アリババは海外ブランドと協力して中国市場に特化した商品の企画・開発を行うTモールイノベーションセンター(以下、TMIC)を立ち上げました。2017年開設以来、TMICは150以上の企業と連携してきました。天猫ダブルイレブンまでの3カ月間、TMICは2,000ブランドの5万を超す新商品のテストや改良を手助けしました。

今年の天猫ダブルイレブンでは、より「グリーン」なイベントへの進化を掲げました。TMICを通じて開発が進められ、今年の天猫ダブルイレブン期間中、特に注力した地球に優しいイノベーションについて、5つのブランドの取り組みを通してご紹介しましょう。

ネスレの環境に配慮したプレミアムコーヒーブランドSense Caféは、TMICと連携し、研究開発と製品の実用性検証を経て商品を発売。(写真提供:Nestlé)

 

1、リサイクル

スイスの食品大手企業ネスレ(Nestlé)の8月に新発売された商品の1つである、プレミアムコーヒーブランドSense Caféは、アリババの物流プラットフォームである菜鳥網絡(ツァイニャオ・ネットワーク)、デジタル決済と生活サービスプラットフォームのアリペイ(Alipay)とのパートナーシップによるリサイクルプログラムをスタートしました。ネスレでは消費者向けに、アプリでQRコードをスキャンして玄関先でリサイクル可能な包装材を回収してもらうプログラムを推進しました。リサイクルに出したことで、消費者はギフトや商品券と引き換えることのできるポイントを獲得できます。Sense Caféの商品には、プラスチックを一切使用せず、自然の枯れ木から作られた軽量の包装材も使用されています。

フィリップス(Philips)、天猫ダブルイレブンに先駆けて環境に優しいパッケージを発表。(写真提供:Philips)

 

2環境に優しいパッケージ

オランダの健康技術企業フィリップス(Philips)は、Tモールで新製品ソニケアー・ポータブルフロスの販売を開始しました。これは中国市場向けに設計された同社初の業務用兼用の口腔洗浄器です。

フィリップスがTMICと連携して中国国内での口腔洗浄器の成長機会を見出し、価格やマーケティング戦略に反映しました。ブランドがピンポイントで主要ターゲット層とそのニーズを特定する上で、TMICの持つ消費者インサイトが大いに役立ちました。フィリップスはまだ市場ではあまり手に入らない、使いやすい携帯用口腔洗浄機を探している、都会に住むホワイトカラーを新商品のターゲットとしています。

またこの製品には、再生紙素材、生分解性プラスチックバッグ、プラスチックフリーの緩衝材など、環境に配慮したパッケージを採用しています。包装はそのまま出荷できるように設計されているため、ブランドは注文処理の段階で梱包し直す必要がなく、プラスチックごみを最小限に抑えることができます。

スウェーデン発のオーツ麦商品ブランドのオートリー(Oatly)、TMICと一緒に中国向け新商品の開発力を強化。(写真提供:Oatly)

 

No.3 ベジタリアン向け食品

中国市場は依然として世界の食肉の3分の1近くを消費しているものの、新たな世代の消費者は、肉中心の食事に比べて地球への影響の少ない、菜食中心の食事を取り入れようとし始めています。TMICによると、こうしたトレンドによってプラントベース(植物性由来の原材料を使用する食品)飲料がブームになっており、アリババのマーケットプレイスにおいてこのカテゴリーの2020年の売上は、前年から9倍に増加しました。

このブームにより、オーツミルクを販売するスウェーデンの食品会社オートリー(Oatly)等のブランドの人気も高まっています。その中で、オートリーはTMICと提携し、中国でオーツ麦を使った新製品を発売しました。

オートリーは人工知能(AI)を搭載したTMICのナレッジハブツールを活用し、フレーバーやパッケージまで、あらゆる角度から消費者の好みやトレンドを総合的に把握するようにしてします。シミュレーションテストツールを使って、アリババのプラットフォーム上で製品のA/Bテストも実施しました。ブランドにとって、最適な価格帯や市場から最も共感を得られるメッセージングを決定する上で、ネットショッピングの消費者から得られるリアルタイムのフィードバックは非常に役立ちました。

例えば、おいしくてヘルシーなアイスクリームを消費者が強く求める一方で、「トランス脂肪酸ゼロ」や「乳糖不耐に優しい」といったキーワードに対して強い関心が集まっている傾向に気づき、オートリーはコミュニケーション戦略の練り直しに活用しました。

サスティナビリティが中国の消費者の最大の関心事となったことで、環境を考えたティンバーランド(Timberland)のスニーカーが大ヒット商品に。(写真提供:Timberland)

 

No.4 サスティナブルな素材

ティンバーランド(Timberland)は2月に、再生プラスチックやサトウキビ、バイオベースの素材を使ったSolar Waveスニーカーシリーズを発売しました。Tモールで販売開始後、たちまち数千足が売れました。

TMICのシミュレーションテストを通じて、このスニーカーの主なオーディエンスは、履き心地が良く、サスティナブルでトレンディなデザインの靴への購入意欲が高いことが明らかになりました。こうしたインサイトに基づいて、ティンバーランドは以上すべての条件に当てはまるSolar Waveコレクションを大々的に売り出し、持続可能な素材を材料として使用していることを前面に打ち出しました。

ティンバーランドの親会社であるVFコーポレーションは、TMICと多方面にわたるパートナーシップを組んでいます。グローバルなアパレル大手である同社が所有するもう1つのブランド、ディッキーズ(Dickies)も天猫ダブルイレブンの開催を控え、TMICのインサイトに基づいたベースボールジャケット(スタジャン)をデザインしました。この商品は発売から1カ月で100万元を超す売上を達成し、またこのスタジャンに惹きつけられてブランドのTモール旗艦店を訪れた消費者は32万人に上りました。このスタジャンの製造は、アリババの迅犀(シュンシー、Xunxi)デジタル工場のサポートを受け、リアルタイムの需要予測に基づいて生産計画を臨機応変に調整しながら、スピーディな製造を可能にしました。

ニベア(Nivea)も新製品のネッククリームのパッケージを一新。(写真提供:Nivea)

 

No.5 廃棄物の最少化

ドイツのスキンケアブランドであるニベア(Nivea)は廃棄物を削減するために、今年7月、パッケージデザインを凝縮した新製品Q10スキンファーミング・ネッククリームを売り出しました。

この商品の開発にはTMICのノウハウが活かされています。中国のネックケア市場を調査し、ネッククリーム製品には非常に大きな可能性があることを見出しました。アリババのマーケットプレイスでは、2020年にこのカテゴリーは前年から3ケタの伸びを示しました。その次は、消費者がどのような悩みを抱えているのかを特定しました。例えば、調査で首の乾燥やシワが気になるという回答した人たちは、仕事の負担が大きいことや長時間にわたってモバイル機器を使用していること、睡眠時の姿勢が良くないことなどを原因として挙げました。

TMICの調査では、回答者の75%以上がマッサージ機能のある美容製品を好むという結果が示されました。ニベア(Nivea)はその傾向に応じてマッサージローラーの付いたチューブをデザインし、首のマッサージやストレッチのやり方について詳しい説明を付けて消費者に提供しています。

 

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