日本Z世代が血眼で買い求めるKATE大ヒット商品 満を持して中国市場へ
中国国内ECと越境EC、2つのルートで中国市場に臨む
1997年にカネボウ化粧品のメイクアップブランドとして生まれた「KATE」、誕生から25年目を迎える今もなお日本の女性たちに広く支持されている。同ブランドは早くから中国市場への進出も意欲的で、8年前からTmall(中国国内EC)に旗艦店を構えてきた。最近では日本でのヒット商品をタイムリーに中国市場へ届けるべくTmall Global(越境EC)にも海外旗艦店を出店し、現在は一般貿易と越境ECを組み合わせ2つの流通ルートを活かして中国市場に臨んでいる。
KATEを支える消費者層 愛される理由は「メイクが楽しくなる」
中国市場では、日本のカルチャーや日本のメイクに興味のある層をメインターゲットとしている同ブランドは、「東京発」の独自性を持ったブランドとして好評を集める。日本国内でも特に人気の高いアイメイク商品やベースメイク商品を中心に中国国内ECのTmallにて販売している。KATEのアイパウダーやリキッドファンデーションは日本の女性たちにも広く愛用され、数々のメイクアップ商品ランキングにランクインしてきた。特にリキッドファンデーションは、中国ではマットタイプが人気を集めている。崩れにくくヨレにくい持続性に加え、自然な肌補正、トーンアップ効果が期待できるため、中国の女性たちのニーズにハマったようだ。
KATEを支える中国の消費者は20代が半数以上を占め、1ヶ月あたりの平均購入額が500元以上の層が71%以上にのぼる。つまり、KATEを支える消費者層は比較的消費力の高い層だと言える。発色のよさ、使用感が軽いながらもキレイに仕上がり、持ちが良い、そしてKATEの商品を使用することでメイクがより楽しくなること、そんなイメージから中国の消費者たちに愛されているのだ。
日本で絶大な支持 完売続出の人気商品に新色を加えてダブルイレブンへ
KATEの商品で、今もっとも人気を集めている商品といえば、それは間違いなく「リップモンスター」だろう。2021年5月に売り出すや否や全国で完売が続出、販売から1年以上たった今でも店頭に並ぶとすぐに姿を消してしまう、超人気商品だ。新型コロナウイルス流行の影響で、マスク生活が続く中、女性がリップアイテムに求める条件が「落ちにくい」、「マスク移りしない」へと移行していった。その需要に応えたのがリップモンスターだった。
この日本での人気商品は、タイムリーに商品を届けることができる越境ECのTmall Globalにて、中国消費者に向けても販売を開始している。リップモンスター発売時、リップの落ちにくさや実際の色合いを知ってもらうため、ジムでトレーニングをするフィットネス系KOL(=人々の買い物の意思決定において大きな影響力を発揮するインフルエンサー、以下、KOL)や日系ライフスタイルKOL等とコラボレーションをし、SNSでのマーケティングに力を入れた。実際にリップモンスターを塗ったKOLが1日トレーニングをしても色落ちせず、なおトレーニングの場でも自然に映るトレンドの淡い色味の魅力が伝わり、KOLのSNS投稿のエンゲージ、購買率ともに非常に高いデータが出たという。
このようにKATEは、消費者とのコミュニケーションシーンにおいて同ブランド独自の商品価値と機能性の高さを伝えられるよう心がけている。中国の若い世代、特にZ世代は多彩で自分らしいライフスタイルを追求する傾向にあり、彼らに商品を訴求する時は、身近に感じてもらう、商品を使用した生活をイメージしてもらうことが大事なのだ。
今年の天猫ダブルイレブンでは、従来のカラーラインナップに加え、レッド系、ピンク系、オレンジ系の3つの新色をTmall Globalにて販売する。いずれも今トレンドの淡いながらも雰囲気のある発色が魅力で、人気を集めそうだ。
Tmallと歩む中国市場 今後の展望は?
これまでアリババのサービスを通して、中国市場で順調に顧客を獲得してきたKATE。新型コロナウイルスが流行し始めた当時、実店舗運営がなかなか出来ず市場がECへとシフトしていく中で、Tmall店舗の存在によりコロナ禍においても消費者に向けて商品を届けることができたのだという。
そんなKATEの中国EC事業担当者に今後の展望を伺うと、アリババグループの「Tモールイノベーションセンター(TMIC)と連携をはかり、中国消費者のインサイトに基づいたC2Mな商品開発等に挑戦したい」とのこと。TMICとは、アリババの小売プラットフォームで蓄積された膨大な消費者インサイトに基づき、様々なデジタルツールを駆使して、ブランドの商品開発を支援する機関だ。今後、KATEとTMICの協働によって、リップモンスターを越える、さらなる“モンスター”級の商品が中国市場で生まれるかもしれない。
(文責:柚子)
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