ポストコロナ時代の中国の高級品購入者が求める買い物体験の特徴

4月28日、アリババグループは、中国の海外旅行需要が勢いを取り戻すなか、コロナ前と大きく異なるオムニチャネル展開、オンラインのように快適な実店舗体験、荷物の少ない買い物という海外高級ブランドが中国の高級品購入者に提供すべき買い物体験の3つの特徴を発表しました。

その1: オムニチャネルを活用する

マッキンゼーの調査より、中国の消費者の70%以上がPC、スマートフォンなどのモバイル機器、実店舗での体験といったあらゆるチャネルを駆使して買い物をしていることが明らかになりました。Tモール・ラグジュアリー・パビリオン(天猫奢品)パリ拠点の営業・事業開発責任者であるNicholas Canosは、「今後、実店舗への来店客数は回復することが予測されており、海外高級ブランドは中国の消費者を引きつけるために、より魅力的な実店舗での買い物体験を提供するべきです。実店舗で探している色やサイズに在庫がなかった場合でも、すぐにオンラインで購入できるように、テクノロジーを活用してあらゆるチャネルで消費者と関わっていく必要があります」と述べています。

スイスの高級時計メーカーであるピアジェは、2023年1月、海外旅行再開を受け増加が予想される中国人観光客をターゲットに、香港のショッピングの中心スポット広東ロードの実店舗にてピアジェのオンラインサイトを閲覧できるQRコードを準備しました。香港では、この広東ロードの店舗やアリババグループECプラットフォームのより魅力的になった旗艦店などで、オムニチャネル戦術を展開しており、中国の消費者は好きな場所で、好きな時に買い物ができます。「ブティックで商品を見てオンラインで購入することも、その逆も可能です。また、ブティックで商品を見てそのまま購入することも、オンラインで見てそのまま購入することも可能です。重要なのは、すべてのチャネルで同じ満足度の高い買い物体験を提供することです」と、ピアジェCEOのBenjamin Comar氏は述べています。

ピアジェの限定モデル「アルティプラノ」(写真提供:ピアジェ)

その2:オンライン同様、待ち時間の少ない快適な買い物体験を提供する

コロナ禍でオンラインショッピングにすっかり慣れた消費者は、実店舗の列に並ぶことに不満を感じており、ブランドはデジタル技術を活用し、課題解決を図っています。例えば、アリババはTモール・ラグジュアリー・パビリオンのメタバース売り場に無料で入場でき、しかも実店舗における優先購入やオフラインイベント参加など様々なプレミア特典を受けられるメタパスを提供し、待ち時間のないスムーズで快適な買い物体験と同時にプレミア体験を提供しています。 

その3:身軽な買い物体験を提供する

中国人旅行者は海外で買い物をする際、重い荷物を持ち運ぶことを嫌います。アリババのTmall Global(天猫国際、Tモールグローバル)は、高級ブランドのクリアランスセール製品やアウトレット製品を提供するShop Premium Outletsと特別な協定を結んでおり、海外のShop Premium Outlets店舗で実際に見て購入した高級ブランド品を自宅まで直送することで、荷物の少ない楽しく快適な海外旅行を提供しています。「アウトレットで行われるすべてのプロモーションは、すべてオンラインで行われます。海外旅行客が中国まで荷物を持ち帰りたくない場合は、オンラインでも購入できます」と、ニューヨークを拠点とするTmall Globalの幹部Demi Shiは述べています。

国連世界観光機関によると、中国人はコロナ前において世界一の購入者グループであり、2019年には2550億ドル(約34兆円)もの海外ブランド製品を購入しています。モルガン・スタンレーの予測によると、3年ぶりの中国人の海外旅行再開の効果は、高級ブランド品の今年の売上を20%向上させ、2030年までの高級ブランド品への支出額増加の60%を占めます。LVMHやリシュモンなどの高級ブランドや旅行業界アナリストの予測では、中国人の旅行先は香港が先ずは増え始め、2023年半ばにかけてヨーロッパ諸国が増加します。英国を本拠とするバークレイズによると、ヨーロッパで販売されている高級ブランドの衣料品や革製品は中国の店頭価格と比べ25%から45%安いため、より高価なブランド製品を購入することが、中国人の海外旅行の動機になっています。

 

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