ペットにもお正月のごちそうを！舶来品もバカ売れする中国旧正月ペット商戦

解説：

中国でペット消費が急成長している。単身者や、子どもがいないDINKs世帯で、家族としてペットを飼う人が増えている。「毛孩子」（毛の生えた子ども、ペットの意）という流行語まで生まれているほどだ。旧正月もペットと楽しく暮らしたい、ペットにごちそうを食べさせたいという思いから、新年を迎えた今、ペット商戦がくり広げられている。

2022年2月1日、中国は旧正月を迎えました。伝統的な祭日ですが、その過ごし方は時代とともに大きく変化しています。その変化の一つが旧正月ペット商品の登場です。ペットを自分の家族、自分の子どもとみなす人々が増えています。かわいい子どもたちにもステキな旧正月を過ごしてもらいたいと、ペットオーナーたちの財布のひももゆるむようです。

中国調査企業iResearchの報告書「2021年中国ペット消費トレンド白書(2021年中國寵物消費趨勢白皮書)」によると、中国ペット市場は2020年にほぼ3,000億元（約5兆4,000億円＊）にまで拡大しています。今後も高成長が続き、2023年には4,456億元（約8兆円）に達する見通しです。

画像は人気の旧正月ペット用品の一覧

まるでコスプレ？！トラ柄のペット服が人気に

2022年は寅年です。「トラはネコ科の動物だから、うちのペットは年男、年女と言ってもいいんじゃないか」と、ネコの飼い主たちは力が入っているようです。

アリババグループのマーケットプレイス「タオバオ」（淘宝）では、多種多様なネコ用アパレルが販売されています。旧正月向けの商品でも、まるで着ぐるみのようなフード付きのトラ柄マントもあれば、伝統的意匠をあしらった中国スタイル、中国では年男年女が着る真っ赤な服など、さまざまな種類がそろっています。

タオバオで販売されている旧正月のペット用アパレル製品

売れ行きも上々のようで、タオバオの統計によると、旧正月向けペット用アパレル製品の売上は今年1月には前年同月比31％増を記録しました。検索数は前月比3倍という急上昇で、ペットオーナーたちの熱意が伝わります。

アパレル以外にも、旧正月限定のネコハウス、首輪、入浴セット、さらにはペット用サプリといった商品も人気でした。

写真はタオバオで出品されている春節シーズンのペットアパレル商品です

旧正月はペットフードもごちそうに

輸入商品でも、旧正月ペット商戦がくり広げられています。アリババグループの越境EC（電子商取引）プラットフォームの「Tモール・グローバル（天猫国際）」の販売額は急上昇中です。お得な新年セットの検索数は前年比で倍増しています。また、缶詰のペットフード、ペットの身だしなみ用品などの売り上げは前年同期比で60％以上伸びています。

なぜ旧正月にペット用品が売れるのでしょうか。Tモール・グローバルのペット用品担当者は、「90後（1990年代生まれ）、95後（1995～1999年生まれ）の若者はペットを飼っている比率が非常に高く、しかも我が子のようにかわいがっています。こうした若者たちが旧正月商戦の主役となる年頃となりました。ペット向け旧正月用品がブームになっている理由です」と分析しています。

写真はTモール・グローバルのペット用品専門ページ

若者たちの消費力が向上するにつれ、ペット向けの輸入商品の売れ行きも伸びています。Tモール・グローバルの統計によると、販売額は過去3年で5倍以上に上昇、購入者数も4倍に増えました。ペット向け輸入商品の購入者のうち、30％弱は90後、約40％が95後です。

ペットにもなるべく美味しいものを食べて欲しい。そうした気持ちからでしょう。ペットフードの中でも急速に売上を伸ばしているのがフリーズドライ製品です。2021年の売上は前年比で倍増以上となりました。もともと海外では人気でしたが、中国にも飛び火した格好です。米ペットフードブランド「インスティンクト（Instinct）」のフリーズドライ製品は中国での販売開始後、飛ぶように売れるなどで話題になっています。

フリーズドライ・ペットフードを販売する米Stella & Chewy’sは、1月31日に大袋の旧正月セットを発売したところ、人気商品となりました。人間もごちそうをたべる旧正月休みですから、ペットにもおいしい食事をあげたいと考える人が多いようです。

かわいい服を着せたい、おいしい食事をあげたいというニーズ以外にも、ペットの世話を簡単便利に済ませたいというニーズも強いようです。全自動のペットトイレや給餌器が売れているほか、散歩にいかなくても室内で運動できる犬用ルームランナーまで登場しています。

＊為替レートは1人民元＝18円で計算。

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