アリババ、5つの中国EC攻略法を発表
アリババグループは、過去1年間に傘下の各プラットフォームで実施された100超のマーケティング戦略の結果に基づき、ECプラットフォームの活用、消費者を巻き込んだB2Bキャンペーン、共感マーケティングやインタラクティブ性の強化、的確なターゲット層へのリーチが、クリエイティブかつ効果的な5つの中国EC市場攻略法と発表しました。これらの攻略法を活用することで、海外ブランドは中国市場への参入や同国での事業拡大を効率的に達成することができるはずです。
その1:ECプラットフォームを活用して、顧客へのリーチを最大化する
海外ブランドは、10億人もの年間アクティブ・コンシューマー(AAC)を抱えるアリババの巨大プラットフォームならびに同社が実施する中国最大級のセール618ショッピングフェスティバル(以下、618)や天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル(以下、ダブルイレブン)などの販促機会を活用し、顧客へのリーチを最大化すべきです。アリババのB2C越境ECプラットフォームTmall Global(天猫国際、Tモールグローバル)は、昨年の618とダブルイレブンにおいて、海外ブランドによる中国限定の新商品を販売しました。オーストリアのジュエリーメーカーであるスワロフスキーは中国で古くから繁栄と順調のシンボルとして親しまれている如意模様のネックレスを、スイスのチョコレートメーカーのリンツは財運に良い豚の形をした貯金箱を模したギフトボックスを販売しました。これらの中国限定商品は、Tmall Globalのマーケティング支援により、合計で約76億円(4億人民元)の流通総額(GMV)を達成しました。また、オーストラリアのサプリメントブランドSwisseは、飲みやすいミニサイズのカルシウムサプリを発売し、ダブルイレブンにおける同社のGMVは前年比約23%増となりました。
その2:B2Bキャンペーンを消費者に身近なものにする
バイヤーである顧客企業に直接営業をかける従来のアプローチではなく、まずは消費者をターゲットにしてブランド認知度を高めることで需要を喚起するB2Bキャンペーンが近年増加しています。Alibaba Cloud(アリババクラウド)は、中国の若手映画監督に制作ツールとなるクラウドコンピューティング技術を提供することで、高度な技術概念を消費者にとってより身近なものにしようとしています。Alibaba Cloudは10人の若手映画監督に同社オリジナルの手のひらサイズのクラウドノートPC「無影クラウドブック(Wuying Cloudbook)」を提供し、彼らがクラウド上で制作した作品を、近日開催される国際映画祭において公開する予定です。
その3:共感マーケティングを心掛ける
危機的状況下においては、思いやりや共感が最も大きなマーケティング効果を発揮します。Tmallは、9つの消費財ブランドと共同で、上海において新型コロナウイルス感染症が拡大している時期に住民がどのように団結したかをドキュメンタリーにする、「Thank you, my neighbor」キャンペーンを実施しました。これをきっかけに、住民たちは隔離期間中に隣人や周囲の人々のためにTmallで日用品などを隣人へのギフトとして購入するようになりました。
アリババのナビゲーション・プラットフォームAmap(高徳地図)は、今年の春節旅行ラッシュ時に、友人や家族の絆を強める旅行の魅力を訴求しました。Amapは、休日旅行の関連情報や視聴覚ナビゲーションガイドを紹介し、Amapを利用することで中国の長距離旅行をより安全で快適にできることを強調しました。
その4:マーケティングキャンペーンをよりインタラクティブにする
SNSの普及により消費者がブランドのアンバサダーや共同制作者となっているなか、ブランドは消費者の力を活用し、キャンペーンをよりインタラクティブにすることで、成功を掴むことができます。アリババのオンデマンドデリバリープラットフォームであるウーラマ(餓了麼)は、昨年6月、クイズに参加することで加盟店から無料の食べ物や飲み物を獲得できるキャンペーンを実施し、何十万人ものユーザーが、無料の食べ物や飲み物の写真を自身のSNSで共有しました。開始から2か月ほど経った頃には数百の都市の住民が参加する大盛況キャンペーンとなり、結果、開始から半年で1億人がクイズに参加し、何千もの加盟店が同キャンペーンを活用したプロモーションを行うなど、ブランド認知を大幅に高めることに成功しました。
その5:ターゲット層を把握し、顧客へのリーチを最大化する
潜在顧客からの共感を得るためには、まず、ターゲット層を特定する必要があります。アリババのディスカウントプラットフォーム、タオター(淘特、旧・タオバオ特価版)は、食料品の購入や家事を担当する消費者を主要ターゲットと定め、このセグメントを惹きつけるキャンペーンを実施しました。同セグメントの消費者は、お得な買い物情報を見つけることに最も関心を持つことから、タオターは中国の家計を圧迫する家計費に関するドキュメンタリーを制作しました。また、同プラットフォームで商品を購入する消費者に対し、最大約19億円(1億元)の補助金を提供するキャンペーンも実施しました。
課題は、食料品の購入や家事を担当する消費者の多くが、インターネットの普及率が低いシルバー世代であることでした。そこで、Tmallは、Z世代の消費者にシルバー世代の家族と一緒に過ごしている写真の投稿を促すなど、世代を超えた親密さを活用したマーケティングキャンペーンを実施し、ブランドはより多くの消費者に自社商品をアピールすることができました。
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