アリババのニューリテール戦略を代表する“盒馬生鮮”中国全土で130店舗以上をオープン
アリババグループ傘下のオフライン生鮮スーパー盒馬鮮生(フーマー、以下フーマー)は、大潤発、歳宝百貨、三江購物、貴州星力集団などの多数の小売企業との提携を通じて、2019年1月時点で、中国全土において130店舗以上をオープンしました。
フーマーは、アリババグループが生み出した全く新しいコンセプトのオフライン生鮮スーパーで、中国においては、アリババグループが推進するニューリテール戦略の先駆けとなる事例として認知されています。いずれの店舗も、「スーパーマーケット、レストラン、オンラインショップ、ロジスティクス」を複合させた斬新なビジネスモデルで、中国のみならず世界中から大きな注目を集めています。
フーマー上海南翔店は、はじめての“ロボットレストラン”としてオープンされた。注文から決済までを全てアプリ上で完結し、小さなロボットカーによって配膳を行うレストランは大きな話題となりました。(詳細はこちらの動画からご覧ください。)
大潤発(RT-Mart)と提携し、海南省海口市に一号店をオープン
フーマーと大潤発との提携により生まれたフーマー1号店・海南店は、海口海航国際広場C座の2階に位置し、店舗面積は約5,000平方メートル、7箇所のイートインコーナー、2箇所のサービスカウンターを構える店舗です。新鮮な野菜、肉類、海外から輸入された海鮮類に加え、地元の看板料理である文昌雞、加積鴨、和樂蟹および東山羊など、6,000種類を超えるグルメを取り揃えています。
フーマー首席執行官特別助理・唐焱(トウ・エン)は、大潤發との提携について、「大潤発がこれまで培ってきた豊富な小売経験、精密な管理能力や強力なサプライチェーンシステムと、フーマーのニューリテールモデルはお互いに強力なシナジーをもたらしています」と話しています。
さらに2018年6月、大潤発は傘下の大型スーパーマーケット・大潤発(RT-Mart)の100店舗をニューリテールモデルにリニューアルすると発表しました。リニューアル後の成果も著しく、1店舗あたり1日平均1,200件以上の新規注文が増加したほか、単月の売上高は10%以上伸びており、新規の若年層消費者は累計2万名増加しているといいます。
歳寶百貨と深センに4店舗出店
フーマーの特徴の一つに、オンライン・オフライン両方からの注文に対し、完全に融合したロジスティクスシステムでサービス提供するという点があげられます。実店舗は倉庫の役割を果たしており、半径3キロ圏内であれば、最短30分以内に無料配達を行うスマートロジスティスティクスを実現しています。
フーマーは歳寶百貨と提携し、2018年10月時点で深センに8店舗を出店。店舗におけるオンライン注文は全体の56%を超えており、中でも中信和広場店は70%がオンラインからの注文と圧倒的に多く、皇庭広場門店はオープン5ヶ月で黒字化を達成するなど好調が続いています。
フーマー深セン総経理・王麗娜(オウ・リナ)は、「深センは全国と比較して住民の平均年齢が最も若く、インターネットや小売業の発展も成熟期に入っている都市であるため、住民は適応能力が高く、フーマーという新しいモデルの店舗をすんなりと受け入れることができたのでは」と分析しています。
2018年6月中旬、フーマーと歳寶百貨は戦略的なパートナーシップ協議を締結しました。たった3ヶ月という短い期間で、歳寶百貨傘下の既存スーパーマーケットはニューリテールモデルの新たな店舗へとリニューアルを遂げています。
従来のスーパーマーケットを大きく上回る売上高
2018年9月17日に行われたアリババ投資家集会でのフーマーの発表によると、オープンしてから1年半以上経過している店舗の1坪あたりの売上高は5万元(約80万円)、一日の平均売上高は80万元(約1,280万円)を超えるといいます。これらの数値はいずれも従来のスーパーマーケットを大きく上回っており、さらにオンライン上の売上は全体の60%を超えていることから、盒馬の新しいビジネスモデルが大きな成果をあげていることが分かります。
また、フーマーが保有する様々なデータも中国の消費者の新たな消費トレンドが分かる興味深いものとなっています。例えば、フーマーの利用者の男女比で見ると、男性が40%であるのに対し女性は60%。注文件数をベースにすると、時間帯別では朝7時から9時の間に注文が集中しており、地域別では「上海、福州、北京」が上位3都市となっています。それに対して、売上高ベースでみた場合は、時間帯は夜21時以降が注文のピークで、地域は「福州、深セン、広州」が上位3都市です。
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