“だれでも起業”の時代に輝く女性たち、ECショップオーナーたちの横顔
解説:
アリババグループは複数のEC(電子商取引)プラットフォームを持っていますが、その一つ、タオバオは簡単な手続きでネットショップを開設できるサービスです。開設された店舗数は数百万を数えます。副業としてショップを運営する人もいれば、自らのビジネスを成功させようと奮闘する起業家も少なくありません。創意工夫と努力さえあればだれにでもチャンスがある場だけに、タオバオにチャレンジするEC起業家には多くの女性が含まれています。
起業に性別は関係ありません。デジタルエコノミー時代では、女性は以前よりもはるかに多くのチャンスを持てるようになりました。今年の国際女性デー(3月8日)時点のデータでは、アリババグループのC to Cマーケットプレイス「タオバオ」のネットショップオーナーの男女比は1対1です。その女性経営者の半分弱が90後(1990年代生まれ)、3分の1が80後(1980年代生まれ)という年齢構成です。それどころか、早くも00後(2000年代生まれ)の女性創業者も増えつつあり、前年比で倍増しました。
タオバオでの創業はネットショップを開設する以外の選択肢もあります。多くの女性がタオバオライブでの創業を選びました。薇婭(本名は黃薇)や張大奕などの大物インフルエンサーの成功に続こうと、参入する女性が増えているのです。女性配信者数は前年比で3倍弱にまで増えています。
以下では、タオバオで起業という夢を追っている女性実業家をご紹介します。
タオバオで活躍する女性起業家たち
張夢迪
1990年代生まれ。大学卒業後、故郷で起業することを決めました。特産品である、籐編みの工芸品を、タオバオで販売する事業です。たんに販売するだけではなく、張は120人を超える職人たちと一緒に制作にも係わっています。職人などの仲間には農村平均所得を下回るような経済状況の厳しい人も含まれていますが、彼女の事業によって平均で月2100元(約3万1500円*)以上の収入を得ています。特許や商標を取得するなど製品のブランド化も進んでいます。自分だけではなく、多くの村民に利益を分け与える。今や、張は「村の希望」と呼ばれるようになりました。(*1元=15円で換算)
方先蓉
起業は若者たちだけの特権ではありません。中高年になってもチャレンジする権利があるのです。60後(1960年代生まれ)の彼女も、中高年起業家の一人です。彼女は湖北省荊門市の出身。植物標本のネットショップを経営しています。子どもの頃から詩と植物が大好きだった彼女にとって、標本採集は個人的な趣味でした。ですが、ある時、息子から仕事にするよう勧められて、ネットショップを開設し、木の葉のしおりを販売するようになりました。自分で望んで始めたわけではありませんが、今では創業の魅力にとりつかれています。百科事典のような、豊富な品揃えの植物標本ショップを開設することが夢となりました。この冬は新型肺炎により採集に出られませんでしたが、再開に向けて新製品の開発やショップデザインの変更などに取り組んでいます。
お茶屋経営の姉妹
お茶農家に生まれた、この90後の姉妹は子どもの頃からお茶に親しんできました。とりわけ、中国六大茶の一つである白茶の、爽やかで上品な香りに魅了されたといいます。二人はそれぞれ別の本業を持っているのですが、タオバオショップは仕事以外での達成感が得られる大事なチャレンジだと言います。父から教えられた経験、お茶農家の出身という優位を生かして、規模は小さいけれどもすばらしい白茶ブランドを作り上げました。タオバオでがつがつ稼ごうという気持ちはなく、いわば「仏系」(日本の流行語“仏男子”が中国で広まったネットスラング。草食系以上にがつがつしない姿勢を差す)です。お金ではなく、ちょっと違う人生経験を求めての起業なのです。
冷秋穎
ネットショップにより、意欲さえあれば、だれでも起業にチャレンジできるようになりました。冷秋穎は先天性脳性麻痺を患っています。健常者と比べると手足は不自由ですが、足の指を器用に使ってタイピングができます。両親がプレゼントしてくれたパソコンは彼女を広い世界に連れ出しました。タオバオに「卡哇衣精品小屋」(カワイイ良品店)という名のネットショップを開設してはや9年。その収入は冷の生活費だけではなく、一家の助けとなるほどにまで増えました。
10万人の中高年がチャレンジ、データで見るショップオーナー
タオバオの女性ショップオーナーたちはどのようなビジネスを展開しているのでしょうか。ジャンル別に見ると、第1位は女性向けアパレルなのですが、驚くべきことに第2位は金物です。意外に思う人が多いのではないでしょうか。
新型肺炎でリアル店舗のビジネスがうまくいかないこともあり、ネットショップに参入する人が増えています。この2カ月で約100万人がタオバオにお店を開きました。性別比はほぼ五分五分です。新たな女性創業者の数を地域別に見ると、広東省が1位です。全体の20%弱で、2年連続のトップとなりました。同率2位が浙江省と江蘇省の10%。その後に山東省、上海市、北京市、河南省と続きます。
年齢別で見ると、毎年10万人以上の中高年女性(55才以上)がタオバオのネットショップを開設しています。起業によって、「第二の青春」を迎えているのではないでしょうか。多くの女性創業者の方々がいます。年齢や事情は1人1人違いますが、事業への献身や意志の強さという点ではみな同じです。
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