四大核心領域への投資を継続、アリババグループのダニエル・チャンCEOによる四半期業績発表会報告

みなさん、こんにちは! 四半期業績電話発表会にご参加いただき、ありがとうございます。

アリババグループは2020年9月~12月に、またしてもすばらしい四半期を送りました。売上高は前年同期比37%増の2210億元(約3兆5800億円)に達しました。調整後EBITA(利払い・税引き・償却前利益、非GAPPベース)は21%増の613億元(約9930億円)に達しています。中国小売市場の年間アクティブ・コンシューマー数(ACC)、市場規模はいずれも健全な成長を続けています。(2020年3月に正式オープンした、メーカー直販格安小売サービスの)タオバオ特価版の月間アクティブユーザー(MAU)は1億人を突破し、急成長が続いています。そして、アリババクラウドはまた一つ、歴史的なマイルストーンを刻みました。調整後EBITAが初の黒字転換を果たしたのです。

写真はダニエル・チャン(張勇)アリババグループ会長兼CEO

これらの好業績は、中国経済全体がコロナ禍から急激に回復していることが背景にあります。後ほど、マギー・ウーCFO(最高財務責任者)から経営と財務の詳細を申し上げますが、まずは皆様がご関心をお持ちの点、中国政府によるインターネット・プラットフォームへの規制強化がアリババグループに与える影響について、現状をお伝えしましょう。

2020年9月~12月の四半期において、金融監督規制の強化に伴うアント・グループの上場延期、中国規制当局による独占禁止法調査という出来事がありました。

2020年12月24日、アリババグループは国家市場監督管理局総局による独占禁止法問題の調査通知書を受け取りました。当社は積極的に調査に協力しております。複数の関係部門担当者によるタスクフォースを立ち上げ、率先して関連業務を調査しています。今後も規制当局に協力し、当局とのコミュニケーションを保ちます。調査終了後、皆様に最新状況をお伝えすることを約束します。

独占禁止法調査については、誠実に向き合い、積極的に協力しております。数億人の消費者と数百万ものマーチャントを結びつけ、数兆元規模の年間取引額を持つ中国リテールマーケットを引き受ける企業として、プラットフォームは重要な社会的及び公共的属性を持つことを、我々は深く理解しています。中国の法律法規を満たすだけではなく、さらに消費者の権益保護、社会・リテールビジネスのデジタル化の発展、産業アップグレードに貢献することが重要です。この点について、今まで通りの努力を続け、果たすべき社会的責任を引き受けます。

アント・グループの状況についてはみなさんご存知のとおりです。アント・グループは11月初頭、上海証券取引所科創板(スター・マーケット)、香港証券取引所におけるIPO(新規株式公開)及び資金調達の延期を発表しました。延期は中国のフィンテック管理環境の重大な変化に起因するものです。アント・グループは現在調整案を策定中ですが、その案については監督部局の認可が必要です。ですから、アント・グループの業務の先行きと上場計画には大きな不確実性があります。現時点ではこうした変化と不確実性がアリババグループにどのような影響を与えるかについて、全面的かつ正確な評価を下すことはできません。アント・グループの改革案については監督部局の認可後、速やかに皆様に公開いたします。

最新の監督要請に応じての組織改革について、皆様が不安に感じていることは承知しております。消費者金融サービスである「花唄(ファーベイ)」が規模を縮小すれば、アリババグループの小売プラットフォームに悪影響を及ぼすのではないかとの懸念です。しかしながら、消費者がアリババを利用するのは、優れた商品を豊富に取りそろえていること、競争力のある価格でサービスを提供していること、そして消費ニーズを満足させ、時にはニーズそのものを作り出していることに起因しています。消費者金融サービスの供給額は(アリババの小売事業成功の)主要因ではありません。ファーベイは消費者の購入資金源のごく一部でしかないのです。また、ファーベイが設定している与信額のうち、実際に利用されている金額はごく一部ですし、大部分の消費者は(ファーベイ以外にも)クレジットカードを含む、さまざまな資金源を活用していることも申し添えておきます。

アント・グループの上場延期、アリババグループに対する独占禁止法調査はアリババの発展にとっては大きなチャレンジであることは事実です。しかし一方で、冷静に自社を見直し、向上させる重要な機会だと考えています。激烈な市場競争が続くなかで、我々は自らの限界に挑戦し、イノベーションを通じての顧客価値向上という能力を磨き続けます。中国の小売市場、(出前代行や口コミなどの)ローカルサービス、クラウドコンピューティング、海外EC(電子商取引)など多くの分野で、私たちは激烈な競争がもたらすチャレンジに直面していますが、それ以上にマーケットが持つ、潜在的な巨大なチャンスに目を向けています。我々はより強い決意を持って、核心領域への投資を続けます。イノベーションのために、顧客価値のために、長期的な発展のために投資を続けるのです。

 

ここで私たちが重視する4つの核心領域に関する考えについて、簡単にお話しましょう。

第一に中国小売市場です。新規ユーザー、とりわけ「下沈市場」(新興地域)の新規ユーザーの獲得に取り組みます。タオバオ特価版は月間アクティブユーザー数(MAU)1億人を急ピッチで達成しましたが、これを基盤として今後も下沈市場のユーザー拡大、そして販売するサプライヤーを拡大に務めます。中国で注目を集める(新たなビジネスモデルである)社区団購(コミュニティ共同購入)では、アリババは独自モデルの布陣を続けています。ユーザーへの補助金バラマキではなく顧客価値の提供に基づいて、良好なユーザー体験とビジネスの持続可能性を担保いたします。

第二にローカルサービスです。餓了麽(ウーラマ)を軸とし、アリペイとの協力を強化すること。時間と位置情報に紐付くサービスを根幹とすること。出前代行から始まり、各種商品の配送へと業務を拡大すること。この戦略を継続します。現在、ウーラマでは飲食以外の配送業務が急成長を続けています。そこに巨大なマーケット・ニーズがあるのです。現在の市場構造において、消費者もショップの双方が、なにか一つのサービスが肥大化するのではなく、より多様化された需要と供給の出口を求めているのです。このチャンスを我々は積極的に利用し、ローカルサービスへの投資を継続します。

第三にクラウドコンピューティング分野です。初となる調整後EBITAの黒字転換を今四半期に達成できたことを嬉しく思います。これも長年にわたる継続的な投資と長期的価値の追求の結果です。アリババクラウドは今四半期、なお前年同期比50%の高成長を続けています。この成長は中国クラウドコンピューティング市場が持つ、巨大な潜在需要を反映しています。中国のクラウドコンピューティング市場はまだ初期段階であるとかんがえられます。スマート化に伴うコンピューティング能力のニーズ、さまざまな業界の広範なニーズに応じて、アリババグループはその技術力とデータ活用における独自の長所を発揮して参ります。そのためにもビジネスの成長を目標として、今後も一貫して投資を継続して参ります。

最後にグローバル化です。東南アジアに代表される海外現地ECマーケットですが、Lazada(ラザダ)のユーザー規模、注文数は急成長を続けています。過去数年にわたるラザダの改革の成功を受け、我々はより強い自信を持ってさらなる投資を実現します。東南アジア市場は今、爆発的な成長を続けています。この成長市場において、シェアの拡大とユーザーマインドの模索を目標に、長期スパンに基づく成功を目指して投資を継続します。

中国経済は今、全面的なデジタルエコノミー時代に向かっています。アリババグループはこの20年、デジタルビジネス、金融、物流、クラウドコンピューティングとデータ活用という各分野で、実力を蓄積してきました。それによって、アリババはこの歴史的変革期で役割を担うための、最善のポジションを得たのです。アリババグループは内需、ハイテク、グローバル化という三大戦略を堅持しておりますが、この戦略は中国経済全体のトレンドと高度に一致しています。この点について、我々は自信を持っております。

ご清聴ありがとうございました。

 

※1中国人民元=16.2円(2021年2月現在)で日本円に換算。日本円は参考値です。

解説・翻訳協力:高口康太、編集:AlibabaNews 編集部