アリババ、グリーンテクノロジーの導入を加速するために「低炭素特許権の不行使誓約(LCPP)」に参加

アリババグループとして、初となる9件のエネルギー効率化関連特許技術の無償公開を誓約
2030年までにアリババクラウドのすべてのデータセンターをクリーンエネルギーで稼働させることを目標に

 アリババ グループは、グリーンテクノロジーの採用を加速させ、共同技術革新を促進するために、低炭素技術に関する特許を共有することを奨励する国際プラットフォーム「低炭素特許権の不行使誓約(Low Carbon Patent Pledge、以下「LCPP」)」に参加し、グリーンデータセンター技術に関する9件の重要特許を無償で公開することを決定しました。アリババグループのデジタル技術とインテリジェンスの中枢であるアリババクラウドも、環境保全に関する取り組みの一環として、2030年までにグローバルのすべてのデータセンターをクリーンエネルギーで稼働させることを目指しており、まずは中国の5カ所のハイパースケールデータセンターをアップグレードする予定です。

 国際社会のさまざまな企業が参画するLCPPに参加することで、アリババグループは初めて同社の持続可能性に関する重要な知的財産を幅広く提供することを誓約することになります。これにより、これまで以上に広範な協力関係を構築して、国際社会のために低炭素で持続可能な未来の実現に向けた長期的な取り組みを強化していきます。今回提供する9件の特許は、アリババのグリーンデータセンター技術の一部であり、アリババが2015年から自社のデータセンターで展開している独自のサーバー冷却システムである液浸冷却技術も含まれます。この非機械的な冷却方法は、従来の機械的な冷却と比較して70%以上のエネルギー削減を実現できます。

アリババグループのバイスプレジデント兼サステナビリティ運営委員会議長のチェン・ロン(陳龍)博士は、次のように述べています。

 「アリババは、将来の低炭素循環型経済への移行において、技術革新が重要な推進力になると確信しています。業界のパイオニアとして、またグローバルなテクノロジー・リーダーとして、当社はテクノロジーによって均等な機会を提供し、より幅広い社会集団に影響を与え、長期的な価値を創造すべく、より広範にわたる社会的責任を果たせるよう取り組んでいます。オープンなコラボレーションや、共同イノベーション、相互インスピレーションを通じて、社会と環境のために持続可能で包括的な未来を集団で構築しようとする、この誓約に参加できることを嬉しく思います。」

特許誓約の学術専門家であるジョージ・コントレラス(Jorge Contreras)教授は、次のように述べています。

 「LCPPは、低炭素技術の推進と共同イノベーションの促進を目的として、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、マイクロソフト、メタの3社によって2021年のアースデイに発足されました。より多くの企業が加わることで、同誓約は強化され、低炭素エネルギー源への移行を加速するための取り組みに産業のあらゆるセクターが貢献できることを示しています。」

テクノロジーによるデータセンターのグリーン化

 アリババクラウドは、グリーン経済向けのインフラストラクチャープロバイダーとして、最先端のグリーンテクノロジーを導入することで、2030年までにグローバルのすべてのデータセンターをクリーンエネルギーで稼働させることを目指しています。

 アリババクラウド・インフラストラクチャのインターネット・データセンター部門ゼネラルマネージャーのガオ シャン ユアン(高山渊)は、次のように述べています。

 「環境に配慮したデータセンターは、当社の持続可能な事業運営に欠かせません。当社のハイパースケール施設では、最先端のグリーンテクノロジーを採用しており、中でも液体冷却と再生可能エネルギーによる電力貯蔵は、二酸化炭素排出量の削減に大きな効果を発揮しています。たとえば、杭州のデータセンターでは、サーバークラスタを専用の液体冷却剤に浸して、ITハードウェアをより素早く冷却しています。」

 アリババクラウドの張北データセンターも同様の方式を採用しており、2021年には中国で初めてヒートポンプ技術を採用した施設として、北京電力交換センターから「グリーン電力消費証書」を取得しています。アリババクラウドは、安全で弾力性のあるグローバルインフラストラクチャーネットワークを構築しており、自社のデータセンターに導入している先進技術が新たな標準となることで、今後、中国全土やより多くの国で液冷が普及すると考えています。

 クリーンエネルギーは、多くの課題を解決する一方で、その利用には独自の課題もあります。太陽光や風力によるエネルギー供給は環境に左右され、天候が良く風が強いときには最大限に電力を供給できても、天候が悪化すると発電できなくなることがあります。この課題に対処するために、アリババクラウドは、より安定したエネルギー供給を計画すると同時に、エネルギー取引制度をより効果的に活用するための炭素管理ツールの評価を行っています。また、再生可能エネルギーを必要なときまで貯蔵する一般的な方法である水の汲み上げ方法やその他の最先端技術も研究しています。

 電力使用量をさらに削減するために、アリババは初の自社開発チップである「Yitian(イーテン) 710」を発表しました。「Yitian 710」には、最大600億個のトランジスタを搭載でき、他のモデルに比べてエネルギー効率を50%向上させることができます。これにより、供給における予測が難しいとされる太陽光や風力といったエネルギー源に対する需要を減らすことができ、クリーンエネルギーへの移行が容易になることが期待されています。

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