アリババ傘下の物流プラットフォーム「菜鳥」が進推するエコな「グリーン物流プロジェクト」

中国配達協会(中国快遞協會)の調査によると、中国の2019年の物流件数は600億件を超え、2020年11月の時点では700億件を超えています。人々が気軽にネット通販を楽しめるようになった反面、急速に発展した物流業界では、無視できない問題として「ゴミ問題」が浮上しました。

ゴミ問題を解決するため、アリババグループの物流ソリューションを担う「菜鳥網絡(ツァイニャオ・ネットワーク、以下「菜鳥」)」は2016年より約4年間、中国国内外の企業と連携し、環境に優しい物流を推進する中国最大級(※1)の取り組み「グリーン物流プロジェクト」を進めています。今回は、その取り組み事例をご紹介いたします。

※1:プロジェクト立ち上げ当時の連携物流パートナー企業数を基準としています。

菜鳥のこれまでの活動

菜鳥は「グリーン物流プロジェクト」の取り組みの一環として、中国全土で電子伝票、段ボールサイズの最適化、配送ルートのスマート化・最適化、エコ包装、リサイクルボックス、電気自動車(EV)活用、太陽エネルギー活用などを実施してきました。

また2017年には、菜鳥、アリババ公益基金会、中華環境保護基金会、大手物流企業数社が出資して中国初の物流環境保護チャリティー基金「菜鳥グリーン連盟公益基金」を設立しました。菜鳥グリーン連盟公益基金は各団体の連携を通じて、数百億もの荷物すべてを環境に配慮しながら送り届けることを可能にし、「シンプルな物流」を推し進めています。

菜鳥、アリババ公益基金会、中華環境保護基金会、大手物流企業数社が出資して、中国初の物流環境保護チャリティー基金「菜鳥グリーン連盟公益基金」を設立したときの様子(2017年)

世界最大級のショッピングイベント「天猫ダブルイレブン」での活動

アリババグループが毎年開催する流通総額(GMV)ベースで世界最大級のショッピングイベント「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル(以下、天猫ダブルイレブン)」は昨年2020年、過去最高となる4,982億元(約7兆7,200億円、2020年11月時点のレートである1人民元=15.5円で換算)規模にまで成長し、物流基盤である菜鳥は23.2億件の荷物配送オーダーを処理しました。環境保護対策なしでは、その配送中に何万トンものパッケージ材料の廃棄と二酸化炭素(CO2)の排出が発生してしまいます。二酸化炭素(CO2)排出量を削減するため、アリババ自身はもちろん、各ブランドや消費者にもご協力いただきながら、天猫ダブルイレブンにおいて環境保護活動に取り組んでいます。

天猫ダブルイレブンにおける菜鳥のグリーンプロジェクト責任者は、2020年の同イベント終了後、以下のようにコメントしました。

「2020年はマーチャント(出店事業者)、物流事業者、消費者に、一体となってゴミ削減やリサイクルなどのグリーン物流に取り組んでいただいたおかげで、物流チェーン全体のグリーン化を実現できました。具体的な取り組みとしては、発送の段階での過剰パッケージの回避、物流の段階での再包装の回避、また菜鳥が設置したリサイクルボックス設置を活用することで消費者による商品受け取り段階での開封後パッケージのリサイクルボックス投入が進んだこと等がありました。マーチャント、物流パートナー、消費者の皆様に感謝いたします。皆様のおかげでエコな天猫ダブルイレブを実現することができました。マーチャントから消費者、倉庫から地域社会、都市から地方へと、天猫ダブルイレブンのグリーンプロジェクトへの参加がますます深く、広範に進みました。」

2020年天猫ダブルイレブンで使われた名取の新しいテープレス生分解性ボックス

• マーチャント(出店事業者)による取り組み:多重包装やプラスチックを削減

出店ブランドと菜鳥が緊密に協力することで、2020年の天猫ダブルイレブンにおけるパッケージの多重包装が大幅に減少しました。

菜鳥が2020年11月16日に発表したデータによると、2020年の天猫ダブルイレブンにおいて、ネスレ、薇諾娜、宝潔、海底撈、フィリップス、ハイアール、美的集団、小狗電器、Kindle、Vonmieなど、約500のブランドのサポートにより、菜鳥が包装に使用するテープが、2019年の天猫ダブルイレブンと比較して8,600万メートル減少しました。この長さは地球約2周分に相当します。

また、菜鳥は500以上の中国および海外のマーチャントと連携し、約399万個の環境に優しいバイオベースの環境バッグを使用することで、推定7.9万キロのプラスチック使用量を削減しました。

菜鳥網絡広州増城園区のパッケージ担当である張氏は、「今年の多くの商品は再包装が不要なため、元の包装に伝票を貼り付けるだけでよく、多くのブランドがユニークな包装をしている」と述べています。菜鳥ステーション南京棕榈団地ステーションの責任者である廖芸氏は、「ほとんどの荷物は元のパッケージのままステーションに送られてくる」と説明します。

物流事業者による取り組み:AIによる段ボールサイズ最適化、電子伝票の普及促進

菜鳥は、率先して物流業界の環境保護活動に取り組んでいます。昨年2020年の天猫ダブルイレブンでは、菜鳥の倉庫から出荷されたパッケージのほぼ100%に環境に優しい生分解性素材を使用し、紙製パッケージのほぼ半分をテープレスにしました。段ボールの大きさにもこだわりました。従来は作業員の経験に基づいて段ボールの大きさが決められていましたが、菜鳥が独自開発した、人工知能(AI)のアルゴリズムを活用する「インテリジェント・パッキング・アルゴリズム」により、段ボールサイズの最適化を自動で行えるようになり、無駄の多い過剰パッケージを減少させました。

また、中国主要物流会社の協力により、2枚続きの紙の伝票を電子伝票に変更する取り組みが普及しました。天猫ダブルイレブンの期間中(2020年11月1日~14日)、宅配業界において22億枚以上の紙を節約しました。

消費者による取り組み:段ボールのリサイクル

2020年、中国全土8万か所以上の菜鳥ステーションと物流パートナー企業の集配拠点を経由し、天猫ダブルイレブンの14日間で、1億個以上の宅配便パッケージ材料を回収しました。

 

主な活動①:ゴミの削減

電子伝票を導入し、6年間で4,300億枚の紙を節約

2014年、菜鳥は電子伝票の使用を開始しました。2014年から2020年までの6年間で4,300億枚の紙を節約し、215億元のコストを削減しました。2019年には、さらなる環境負荷削減のため、電子伝票の面積を半分に縮小させました。すでに菜鳥の提携パートナーの中国国内の物流会社の半数がこの縮小版の電子伝票を使用し、グリーン物流化を進めています。

左:電子伝票の面積縮小後 右:電子伝票の面積縮小前

独自技術開発により、1年間に2億9,000万個のパッケージ材料を節約

段ボールサイズの最適化と合理的なパッケージ方法の独自開発により、無駄の多い過剰なパッケージを抑制し、パッケージ材料を平均15%節約しました。菜鳥が保有する倉庫では1年間に2億9,000万個の各パッケージ材料の節約に成功しており、この技術は中国全土で活用されています。

天猫スーパーと零售通(LST)にて、50%以上のパッケージの二重包装を停止

アリババグループ傘下のネットスーパー「天猫超市(Tモール・スーパー)」と小売支援プラットフォーム「零售通(LST)」は、菜鳥の推進の下、リサイクル段ボールの使用推進および二重包装の抑制を進め、段ボールとパッケージ材料の使用を大幅に削減しました。現在、天猫超市と零售通のパッケージの50%以上は二重包装をしていません。中国が提唱するeコマースの二重包装削減方針と一致しており、急速に進展しています。

菜鳥はリサイクル段ボールの使用推進や二重包装の抑制により、紙資源の使用を削減し、森林保護を推進しています

 

主な活動②:リサイクル

中国国内31省にリサイクルボックスを設置

菜鳥と提携パートナーの物流各社は、全国の菜鳥ステーション(菜鳥が学校や住宅団地に設置している物流サービスセンター)と提携パートナーの物流店舗に段ボールのリサイクルボックスを設置しました。リサイクルボックスを活用した「リサイクル計画」を展開することにより、物流パッケージの分別と再利用を促進しました。菜鳥のリサイクルボックスは中国国内31省に設置されており、毎年何億箱もの段ボールを再利用することで、74万本の植樹と同等の二酸化炭素(CO2)排出量を削減できると推計されています。

消費者が菜鳥ステーションで段ボールをリサイクルボックスに入れる様子

■ 主な活動③

•  菜鳥、中国大手物流会社5社と連携して「グリーン物流デー」を立ち上げ

2019年5月28日に杭州で開催された全球智能物流峰会(GSSC)において菜鳥は、中国大手物流会社(圓通、中通、申通、韻達、百世)と共に「グリーン物流デー」を立ち上げ、5万個のリサイクルボックスの新設を進めていくことを発表しました。

2019年5月28日に杭州で開催された全球智能物流峰会にて、物流各社が共同で「グリーン物流デー」の立ち上げを発表しました

 

菜鳥網絡(ツァイニャオ・ネットワーク)とは

菜鳥スマート・ロジスティクス・ネットワーク(Cainiao Smart Logistics Network)は2013年に設立された、アリババグループ傘下のテクノロジーと物流の関連会社です。革新的かつオープンなデータ・プラットフォームを通じて、サプライチェーン上で協働する全てのプレーヤーとパートナーの効率と顧客体験を向上させています。菜鳥はアリババグループのミッション「あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる(To make it easy to do business anywhere)」を引き継ぎ、中国国内では24時間以内に、世界中では72時間以内に配達することを目標に掲げ、取り組んでいます。詳細は ▶︎ 菜鳥サービス紹介ページ

 

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