アリババ、市場競争力と企業価値向上を目的とした新組織体制を発表

 アリババグループは3月28日、市場競争力と企業価値向上のために、同社を6事業グループに分割し、各事業が独立した経営を行う新組織体制を発表しました。6事業は、クラウドインテリジェンス事業、Taobao Tmallコマース事業、中国国内ローカルサービス事業、ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)事業、グローバル・デジタル・コマース事業、デジタルメディア及びエンターテインメント事業で、創業以降同社にとって最大かつ最も重要なカバナンス変革となります。

 ダニエル・チャン(張勇)は引き続きアリババグループの会長兼CEOを務めます。アリババグループは持株会社となり、6つの事業グループにはそれぞれCEOが着任し、取締役会が設立されます。「市場は最高の試金石であり、各事業グループや企業は、独立した資金調達やIPO(新規株式公開)を目指すことができます」とダニエル・チャンは述べています。

 すでに発表されているように、ダニエル・チャンは、Alibaba Cloud(アリババクラウド)のCEOを兼務します。同事業には、クラウドサービスや人工知能(AI)関連のビジネスならびにDingTalk(釘釘)などのコミュニケーションプラットフォーム事業が含まれます。Taobao Tmall コマース事業はトゥルーディー・ダイ(戴珊)が牽引し、同事業にはタオバオ(淘宝)、Tmall(天猫、Tモール)、タオター(淘特、旧・タオバオ特価版)、タオツァイツァイ(淘菜菜)、1688.comなどの中国EC事業が含まれます。中国国内サービス事業は、ユー・ヨンフー(兪永福)がCEOを務め、Amap(高徳地図)やウーラマ(餓了麼)などが傘下に入る予定です。ワン・リン(万霖)は、引き続きツァイニャオのCEOとして物流事業を牽引します。グローバル・デジタル・コマースビジネス事業は、ジアン・ファン(蒋凡)がCEOを務め、Lazada、AliExpress、Trendyol、Daraz、Alibaba.comなどの海外向けEC事業が傘下に入ります。一方、デジタルメディア及びエンターテインメント事業のCEOにはファン・ルーユアン(樊路遠)が就任し、ヨウク(Youku)やアリババ・ピクチャーズ(Alibaba Pictures)などを統括します。

 各事業は資本調達やIPOを目指すための柔軟性を有している一方、Taobao Tmall コマース事業のみ例外的にアリババグループの100%子会社となります。アリババグループは、上場企業としてのコンプライアンス遵守に必要な機能のみを残し、その他業務は関連事業会社に委託することで、経営管理部門および事務管理部門をスリム化します。

 「この再編により、当社の各事業はより活発になり、迅速な意思決定や市場変化への速やかな対応が可能になります」とダニエル・チャンCEOは述べています。

 アリババグループは、同社の多様な事業価値を市場により明確に提示し、株主価値を向上させるために、この再編を実施しました。これにより各事業がそれぞれ独自の報奨制度を持つため、より大きな独立性が生まれることも期待しています。