2022会計年度第1四半期業績発表の電話会議におけるアリババグループ会長兼CEO張勇のスピーチ内容

アリババグループは2021年8月3日、2022会計年度(2021年4月~2022年3月)第1四半期の業績を発表した。同日、アリババグループ会長兼CEO(最高経営責任者)の張勇(ダニエル・チャン)は電話会議による発表会を行った。

好調な四半期業績によって、2022会計年度(2021年4月~2022年3月)のスタートを切ることができました。創業から22年間にわたり、アリババは発展を続けてきました。今では(ネットショッピングなどの)コンシューマー・インターネットと、(事業者向けソリューションなどを提供する)インダストリアル・インターネットという二つの事業領域にまたがり、多種多様なビジネス・エンジンを搭載している、長期発展型企業へと変貌しています。

それでは、まず、コンシューマー事業についてお話しましょう。2021年6月30日時点で、年間アクティブ・コンシューマー(AAC、年に1度以上購入したユーザー)は4500万人増の11億8000万人に達しています。すなわち、アリババは世界最大の消費者市場となっているのです。

中国本土のAACは前四半期の8億9000万人から9億1200万人に、中国本土以外の海外市場では2億4000万人から2億6500万人に増加しました。

写真はダニエル・チャン(張勇)アリババグループ会長兼CEO

 

重点戦略分野に積極投資を継続

新年度が始まった今、私たちは断固たる決意で未来への投資を宣言します。成長によって生み出された利益はすべて、重点的戦略分野に投資します。その分野とは、イノベーション、プラットフォーム出店者の経営コスト削減、ユーザー数の拡大、ユーザー体験の向上、サプライチェーンの強化、インフラ整備、新事業です。

そして投資の目的は、ターゲット・マーケットの規模拡大、消費者と出店者に多様な価値を提供すること、ユーザーのスティッキネス(サービスに対するユーザーの愛着心、利用時間や頻度で測られる)と購入頻度の向上にあります。

それでは、それぞれの重点戦略分野の現状をお話しましょう。

まず、中国本土のEC(電子商取引)です。我々はスマートフォンアプリ「モバイル・タオバオ」を消費分野のスーパーアプリにするとの戦略を、過去数年にわたり継続してきました。その方針を転換いたします。モバイル・タオバオへの集約から、複数のアプリによるポートフォリオへの転換です。

生産者と消費者を直結させる新たなECアプリの「タオター」(淘特、旧称はタオバオ特価版)は、コストパフォーマンスの高さというユーザー価値が明確になりました。下沈市場(地方部や農村を指す)における新規ユーザー開拓に力を発揮し、今四半期は1000万人ものAACを獲得しました。

中古品売買のC2C(消費者間)プラットフォーム「シェンユー」(閑魚)は、中古品や不要品の売買という専門的プラットフォームから、消費者同士のコミュニティへと変化しつつあり、取引される商品やサービスが多様になっています。今四半期には月間モバイルアクティブ・ユーザー(MAU)が1億人を突破しました。

そして、アリババのフラッグシップ・アプリであるモバイル・タオバオは、豊富な商品と豊かな体験で、消費者のニーズを満たし楽しい買い物体験を生み出す存在であり続けています。

 

さらに多様性を増したニューリテール

続いて、ニューリテールです。多様なニーズを満たす、多彩な事業ポートフォリオをアリババは構築しました。新型生鮮スーパーの「フーマー」(盒馬鮮生)、既存スーパーのデジタル化とデリバリーを支援する「タオシエンダー」(淘鮮達)を使えば、注文から1時間で商品は届きます。Tモール・スーパー(天猫超市)には半日以内配送、当日配送という選択肢もあります。

そして、コミュニティ共同購入モデル(団地などのコミュニティごとにピックアック拠点を置き、ネット注文した食品を消費者が自らピックアップして持ち帰るモデル)によって、新たに注文翌日の拠点配送、セルフピックアップという方式も加わりました。低コスト物流のため、コストパフォーマンスに優れています。

アリババのニューリテール・インフラは多業態で、サービスも多様であり、それらはデジタル化された高効率のサプライチェーンと契約システムによって支えられています。この事業ポートフォリオは、地域やレイヤーの異なる消費者の、多様なニーズを満たすことにつながります。

コミュニティ共同購入モデル(コミュニティコマース)を担当するMMC事業群のGMV(総流通額)は、前四半期から200%増というハイペースで成長しました。この成長を支えるべく、物流をサポートするのがRDC(地域配送センター)です。その面積は前四半期から260%増と急ピッチで整備しています。

われわれはコミュニティ共同購入を単独の事業分野とは考えていません。ニューリテールの一部なのです。コミュニティ共同購入の成長は、中国本土における新規ユーザーの成長につながり、既存ユーザーのアクティビティを引き上げます。

この分野については、政府による監督指導が始まっています。過去数カ月にわたり、管轄当局はダンピング及び正常な生産・経営を乱す行為があったとして、各社に改善を要求しています。その要求を充分に理解し、民生と消費者価値の向上、そして持続可能なデジタル化コミュニティ・ビジネスの発展に取り組みます。

 

ローカルサービス事業では組織改編を実行

続いて、中国本土におけるローカルサービス市場について説明します。今四半期、アリババは重要な組織変更を行いました。デリバリーサービスの「ウーラマ」(餓了么)、マップアプリの「オートナビ」(高徳地図)、旅行サービスの「フリギー」(飛猪)を管轄する、多様なローカルサービスを提供する事業ポートフォリオを構築しました。

ウーラマは「商品を家まで運ぶ」、オートマップは「目的地周辺の商品・サービスを探す」という役割を担い、消費者を集める重要な窓口です。ウーラマの注文数は今四半期、前年同期比50%増を記録しました。今後も全力で投資を続け、特に飲食品以外の自宅配送の比重を高めること、そして運営効率の改善に注力します。

オートナビですが、たんなるマップサービスから脱却しています。ナビ機能に加えて、目的地周辺でのサービスを探すツールと成長しているのです。タクシー配車、ガソリンスタンド・充電スタンドの検索、ホテル予約や観光チケット予約など、多くのサービスがオートマップから利用できます。オートナビ経由でのサービス購入をより多くのユーザーに使っていただきたいと考えています。今会計年度の末には、最低でもオートナビ経由でに利用していただくことを目的としています。

そして、フリギーは旅行分野専門のプラットフォームとして、よりハイレベルなホテル、交通、観光地のサービス供給に尽力。オートナビやアリペイなどアリババの持つさまざまなポータルと中国国内の9億人超のAACを生かし、そのサービスを提供し、成長してまいります。

 

海外コンシューマー市場と物流ソリューション

続きまして、海外コンシューマー市場です。ユーザー数と売上の力強い成長は続いています。海外のAACは2億6500万人に達しました。今四半期の売上は前年同期比54%増。100億元(約1700億円)を突破しています。東南アジアのECプラットフォーム「Lazada(ラザダ)」は、注文数が前年同期比90%増と高成長を続けています。特にベトナムとインドネシアがその中でもっとも成長の速い国で、増加スピードが前年同期比100%を超えました。

コンシューマー向けの越境ECプラットフォームの「アリエクスプレス」(AliExpress、速売通)は、スペイン、フランス、ロシアなどの主要市場を中心に大きく伸びています。物流ソリューション「ツァイニャオ」(菜鳥)との提携により、越境物流ネットワークの構築が進んだ効果です。

欧州連合(EU)は2021年7月1日より、22ユーロ(約2860円)以下の輸入商品に対する間接税免除措置を撤廃しました。その負の影響は本会計年度の第3四半期から出てくるでしょう。しかし、長期的には海外コンシューマー市場の発展トレンドが続くと考えており、今後も力を入れていきます。

物流ソリューションのツァイニャオですが、今四半期も売上は100億元(約1700億円)を突破しています。前年同期比では50%増の成長です。複数の事業がすべて好調なことから、この結果が生まれました。

住宅地近隣のセルフピックアップ拠点であるツァイニャオ・ステーションですが、取扱荷物数は急成長を続けています。また、前述したコミュニティ共同購入モデルとのシナジーもあります。フランチャイズ加盟したツァイニャオ・ステーション運営者が、コミュニティ共同購入のピックアップ拠点の運営者の仕事も兼任することで、より多くの収益チャンスを得られるようになったのです。

さらに生産者と消費者を直結するM2C(マニファクチュア to コンシューマー)モデルを推進するタオター(淘特)は急成長していることはお話しましたが、生産者に高効率なサプライチェーンと物流サービスを提供することで、ツァイニャオにもチャンスが訪れています。

海外市場向けですが、欧州主要国向けの越境輸出ネットワークの改善が進みました。物流のユーザー体験の向上によって、取扱荷物量も増加する。ポジティブな循環が続いています。

 

東京2020オリンピック競技大会を支えたアリババクラウド

アリババクラウドの売上は前年同期比29%増でした。インターネット業界、金融業界、小売業界での活用が広がったことが売上につながりました。プロダクト別でみると、データの保存、分析、AI(人工知能)学習、セキュリティに関するソリューションが成長ポイントです。

既存のITインフラから、IaaS(インフラ・アズ・ア・サービス)と呼ばれるクラウドコンピューティングへの代替が進むなか、クライアントもますますこの分野に注目するようになりました。

今四半期の売上成長率は近年の平均から比べると鈍化していますが、これには特定の理由があります。海外政府の要請に従って、ある主要クライアントが中国国外における我々のサービスの利用をストップしたためです。この要因をのぞけば、売上は前年同期比で40%近い成長となります。

アリババグループは国際オリンピック委員会(IOC)の最上位スポンサーである「TOP」です。東京2020大会では、アリババクラウドがオリンピック放送機構(OBS)と共同で世界配信システムを構築しました。1964年の前回東京大会で初めて衛星中継が導入されましたが、それ以来続いてきた配信方式が変更され、クラウドによるオリンピックの世界配信が初めて実施されたのです。

ここまでアリババグループの重点戦略分野についてお話してきました。もう一つ、すべての投資家が関心を持っているトピックがあります。中国におけるインターネット業界に対する政策法規の変化です。

そうした変化については積極的に学び、ビジネスへの影響を検討している最中です。ただし、当局による政策法規の変化は、社会経済の発展と民生の重視に基づくものであり、インターネット業界が長期的かつ健全に発展するための配慮だと確信しています。

私たちアリババの社是は「デジタル技術によって中小企業をサポートすること」「弱者のためのサービスを作ること」「消費者の理想の生活のために尽くすこと」です。これらの社是は新たな法律法規の変化と完全に合致するものです。

私たちは中国経済が長期的成長を続ける潜在能力があると高く評価していますし、自社の長期的発展にも自信を持っています。法律法規の変化に積極的に応じ、プラットフォーム企業の責任と義務を果たします。中国を基盤とし、全世界に視野を広げ、社会に長期的価値を生み出す、良き会社であること。この目標を目指して、努力してまいります。

 

*為替レートは1元=17円、1ユーロ=130円で計算。

 

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解説・翻訳協力:高口康太、編集:AlibabaNews 編集部

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