ジェンダーギャップを打ち消すデジタルエコノミー

解説:

「あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる」がアリババグループのミッションだ。無料で始められるネットショップ「タオバオ」は、中小零細事業者でもネットビジネスを展開するためのチャネルを用意した。フィンテックサービスは担保となる資産を持たない人でも、事業資金を獲得する手段を作り出した。そしてデジタル技術は、ジェンダーギャップ(性別による不利)の縮小にもつながっているという。

アリババグループの研究機関、アリ研究院は、中国新就業形態研究センターと共同で、3月7日に報告書「デジタルエコノミーと中国女性の就業創業:デジタル・ジェンダーボーナスの解放、デジタルエコノミーの“Her”パワーを発揮」を発表しました。

画像は報告書「デジタルエコノミーと中国女性の就業創業:デジタル・ジェンダーボーナスの解放、デジタルエコノミーの“Her”パワーを発揮」の表紙。

報告書によると、デジタルエコノミーはEC(電子商取引)などの分野で、5,700万人もの女性の雇用を生み出しています。労働市場におけるジェンダーギャップ(性別による不均衡)を軽減し、女性の労働力の価値を高め、新たな分野の雇用を創出する原動力となっています。また、農村や辺境における女性創業者のチャンスを高めていることも明らかになりました。

アリババグループのB2C マーケットプレイス「タオバオ」には、2,300万人を超える女性ショップオーナーがいます。そのうち農村在住者は392万人です。ライブコマース(ネットショッピングと動画配信を融合したネット販売形態)には、1,200万人超の女性配信者がいるほか、フードデリバリーなどの配送サービスには20万人弱の女性配送員、配車アプリには約136万人の女性ドライバーがいることがわかりました。

従来は女性の就業が難しかった分野でも、雇用が生まれています。その好例が物流業界です。力仕事が多い業界でしたが、自動化が進むことで女性の働き手が増えてきました。アリババグループの物流ソリューション部門「ツァイニャオ」によると、2021年3月1日時点で配送員の20%あまりは女性です。

また、末端物流拠点「ツァイニャオ・ステーション」を経営するフランチャイズ・オーナーも、女性が増えつつあります。2021年3月1日時点の統計で前年比228%増という急増を記録しています。数万人の女性がフランチャイズ・オーナーとして起業しているのです。

子どもを産んでもキャリアを捨てない

今ではすっかり社会に定着したリモートワークですが、時間や場所の制限が緩和されたことで、女性が働きやすい環境を作る助けとなっています。

アリババグループ・ユーザーエクスペリエンスセンターに勤める何麗娜(ホー・リーナー)さんは、その恩恵を受けた一人です。彼女はアリババグループの進める、故郷での就労を支援するプロジェクトの第一期メンバーに選ばれました。生まれ故郷の江西省贛州市尋烏県という、中国でも田舎に属する地域で働いています。

大都市で働いていた女性も、出産後、子育てのために帰郷しキャリアを断念するケースは少なくありません。インターネットを使えば、中国のどの地域にいてもカスタマーサービスなどの仕事につけます。何さんの職場では従業員の7割が母親。故郷で安心して子育てをしながらも、キャリアを続けることができるのです。

写真は何麗娜さん。

デジタル時代に生きる、女性の強み

デジタルエコノミーの発展に伴い、新たな仕事が続々と生まれています。中国政府が認定した新たな職種には、「オンライン学習サービス師」「デジタル化管理師」「メディア運営師」など聞き慣れない名称が並んでいます。

こうした新たな仕事は女性の雇用を増やしています。報告書「2021中国農村婦女就業調査研究報告」によると、決済アプリ「アリペイ」のデータアノテーター(人工知能の学習データを作るために、データにタグ付けをする仕事)のうち、62.3%は女性だといいます。また、アリババクラウド・カスタマーサービスの72%、農村ライブコマース配信者の53%は女性です。

女性ならではの強みを発揮できる場面も増えています。「消費者や市場の洞察力」「相手の感情を読み取り、理解する能力」などの能力に優れた人は、デジタルエコノミーで求められている人材だからです。

その強みはどのように発揮されるのでしょうか?女性デザイナー・于曉丹(ユー・シャオダン)のエピソードをご紹介しましょう。親友が乳がんにかかったことを契機に、于は新たな下着製品の開発を始めました。乳房を切除した女性たちにも尊厳が必要だ。そうした女性たちを美しく飾る下着が必要だと直感したのです。幾度となくブラッシュアップを重ねた末、于が開発した下着ブランドは2021年から販売を始め、注目されています。

 

関連記事:

多様性を活かせる職場で自分らしく活躍している女性リーダー 〜 アリババ社員たちが祝う 国際女性デー2022 ~

アリババ ジェンダー平等 多様性 女性活躍