零細・中小企業は「ポストコロナ経済の基幹」とアリババの調査レポートが指摘
6月27日の「零細・中小企業デー」に際し、アリババとアリババグループの調査部門であるAliResearch(阿里研究院)は、レポート「ポストコロナ時代の零細・中小企業の課題、対応、変革」を発表しました。本レポートは、零細・中小企業がコロナ禍での生き残りをかけて取った行動を多角的に分析しており、以下の重要な結果を明らかにしました。
- 零細・中小企業は世界中の企業の90%、雇用の70%以上、GDPの50~60%を占める世界経済にとって不可欠な存在。
- コロナ禍において世界の零細・中小企業の最大70%が売上を落とし、3分の2は40%の売上減少を経験するなど、零細・中小企業は大きな打撃を受けた。特に零細企業の被害が深刻だった。
- 零細・中小企業のオフライン事業は需要不足により深刻な打撃を受けたが、オンラインでの売上は急増した。零細・中小企業にとって、デジタル化は事業リスク回避に有効な手段であり、Eコマースが活発な地域の零細・中小企業の生存率は、そうでない地域よりも7ポイントも高い。
本レポートは、アリババおよびAliResearchが実施した零細・中小企業に対する定量調査、および様々な公的・学術的機関による調査結果をもとに、テキサスA&M大学(Texas A&M University)の経済学者甘犁教授とその研究チームが主導して起草したものです。本レポートは多言語で提供されており、こちらからダウンロード可能です。
国連総会は、持続可能で包摂的かつ強靭な経済成長、そしてすべての人々のための繁栄と適切な職場環境の実現に零細・中小企業が大きく貢献していることへの認知を高めるため、6月27日を「零細・中小企業デー」と定めました。
本レポートの最も重要な見解のひとつは、零細・中小企業がポストコロナ時代の経済回復の基幹であるだけでなく、より包摂的で多様な経済への貢献者であるということです。本レポートによると、零細・中小企業は世界の企業の90%、雇用の70%、GDPの50%〜60%を占めています。
また、本レポートでは、コロナ禍において、零細・中小企業の中でもより小規模な企業が最も大きな打撃を受けたことが明らかになりました。これは、多くの小規模な小企業が、度重なる操業停止、行動制限、物資不足などのコロナ禍における課題に対応するための経営資源やインフラを持っていなかったためです。
コロナ禍の打撃を免れることができた零細・中小企業は4分の1以下(売上が減少しなかった零細・中小企業はわずか23.5%)で、3分の2もの零細・中小企業が、40%の売上減少を経験しました。これらの統計は、2年以上続いているコロナ禍における零細・中小企業の経営状況のほんの一部を明らかにしたに過ぎません。
アリババグループ バイスプレジデント 兼AliResearch 研究所長である高紅氷は下記のように述べています。「零細・中小企業は経済の重要な担い手であるだけでなく、その健全性と繁栄が世界経済の完全かつ持続可能な回復に不可欠であることを認識しなければなりません。零細・中小企業に焦点を当て、より大きな経済効果を得るために必要な支援の在り方について、広範で実践的な議論を促進するために、本レポートを発表しました」
デジタル化は、コスト削減、タイムリーな情報入手、ワークフローの最適化、新市場への進出などを支え、コロナ禍で多くの零細・中小企業にとって生命線になることが実証されています。小売業では既にEコマースが非常に盛んでしたが、コロナ禍で卸売業や製造業においても、デジタル化が加速されました。
調査の結果、Eコマースの普及率が高い地域では、低い地域に比べて、零細・中小企業の生存率が7ポイントも高いことが明らかになりました。また、Eコマースの普及率が高い地域では、景気悪化度合いが比較的小さいという結果も出ています。
Alibaba.comのバイスプレジデントである鄭晗は下記のように述べています。「コロナ禍で世界の商取引は大きく変わりました。企業や個人が甚大な影響を受けたことは否定できませんが、零細・中小企業がコロナ禍の多くの経営課題を克服するために発揮した創意工夫には、尊敬の念を抱かざるを得ません。Eコマースはコロナ禍での生存手段として活用されたかもしれませんが、今後も世界の商取引において重要な手段であり続けるでしょう。ソーシャルセリング、ライブコマース、バーチャル・トレードショー、見積ツールによって、売り手は潜在顧客へのアプローチを工夫できるようになり、理想の顧客層へよりリーチしやすくなっています。また、零細・中小企業はデジタル化により、インターネットトラフィック、需要予測、その他の重要な分析結果などに関連した消費者インサイトを簡単に入手でき、より良い経営判断を下せるようになります」
鄭は、同日、国際貿易センター(ITC)と共同で開催した、世界経済への零細・中小企業の貢献を称えるオンラインイベントにも参加し、零細・中小企業に対する認知向上と支援を呼びかけました。ITCのシニアアドバイザーのJames Howe氏、ITCのアジア・太平洋オフィスチーフの蒋学軍氏とともに、Alibaba.comのマーチャントであるPetram社CEOのSami Abdulweisse氏、Deltha Pharma Srl社CEOのMaria Francesca Aceti氏を招き、Eコマースが零細・中小企業にもたらす恩恵について対話しました。このイベントを通じ、「デジタル化は、零細・中小企業への需要不足を解消する最も効率的な方法の1つということを実感した」と、鄭は話しています。
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