中国130万店以上の小規模小売店がアリババのB2B流通プラットフォームLSTを導入
2019年2月、中国にある家族経営の小規模小売店と日用消費財ブランドを繋ぐB2B流通プラットフォームLST(零售通)は、中国市場全体の約6分1にあたる、130万店超の小規模小売店がLSTシステムを導入したことを発表しました。中国の地方都市に多く存在する家族経営の小規模小売店、いわゆるパパママショップは、LSTを導入することで、アリババが保有するビックデータを活用し、仕入れから流通、在庫管理、販促に至るまで、店舗運営の効率化が可能になります。
小規模小売店の生き残りをかけた「デジタル化」の波
中国では、消費のレベルアップとともに、消費者ニーズも変化が生じており、昔ながらの小規模小売店が提供する商品ラインナップや購買スタイルはすでに今の消費者のニーズを満たすことはできず、全国の小規模小売店は苦戦を強いられています。アリババ副総裁、LST事業部の総経理・林小海(ケビン・リン)によると、中国には約600万店の小規模小売店が存在しているものの、賃料や人件費の継続的な上昇により、昔ながらのパパママショップは減少の一途をたどっているといいます。直近1年以内では、全体の約5%が廃業に追い込まれており、残りの約30%の商店も売上は減少傾向にあります。
一方で、アリババグループのLSTを導入し、天猫小店へとリニューアルを遂げた小売店の売上は増加しており、1日の売上高は平均5,000〜6,000元(約8万円)と、導入前より30%増加しています。
林小海はサービスの顧客価値について、「LSTは簡単な操作と低いコストを強みに、導入ハードルを下げて、小規模商店のデジタル化をサポートして経営効率の向上につなげていく」と話しています。アリババグループCEO の張勇(ダニエル・チャン)も、LST事業について次のようにコメントしています。「近年、アリババはニューリテール戦略を掲げ、非常に多くの施策を行ってきました。しかし、最も根本的かつ重要なアジェンダは、店舗を運営する企業に対して、できる限り広範囲な消費者ニーズに関する情報を提供し、さらにそれらのデータを活用するための万全なインフラと技術体制を構築し、企業のデジタル化をサポートすることです。」
LSTは小規模小売店の運営をトータルサポートする流通プラットフォームであり、消費者トレンド・ニーズを分析・予測し、売れ筋商品のタイムリーな仕入れを可能にします。その店舗の近隣住人のニーズをデータで可視化した上、的確に応えていくことで、店舗経営の効率化の向上にも繋がります。
小規模商店のオンラインビジネス進出もサポート
LSTは消費者トレンド分析、店舗の仕入れや在庫管理、商品選定などの戦略面での機能以外にも、アリババグループ傘下のサービス、タオバオ(Taobao)、天猫(Tmall)、アリペイ(Alipay)などのチャネルを活用することで、よりダイレクトにオンライン上で潜在顧客にアプローチすることが可能になります。
例えばLSTを導入した店舗は、アリババのオンライン出前サービス「ウーラマ(eleme)」上に、ワンクリックでネットショップを開設することができます。さらに、店舗情報は、地図アプリの高徳地図に掲載される他、ECサイトのタオバオ(Taobao)上で検索した際にも店舗情報が表示されるため、オンライン上の露出も増やすことができます。
LSTを導入した天猫小店オーナーが、無料でレンタルできる自動販売機
また、小規模小売店の人員には限りがあり、フランチャイズのコンビニエンスストアのように24時間営業することが難しいかもしれません。そんな小規模小売店の運営効率を高めるため、天猫小店のオーナーには無料で自動販売機の貸し出しを行っています。この自動販売機も、LSTの商品選定レコメンド機能および補充機能と合わせて使用すれば、運用コストを下げることができます。
LSTは日用消費財ブランドと小売店を繋ぐ業界No.1のB2B流通プラットフォーム
LSTのプラットフォーム上には、2017年までに、3,500を超えるブランドが出品しており、実店舗およびオンライン店舗に対して、たくさんの仕入れ商品の選択肢を提供しています。林小海は、「LSTは今後も様々なシステムとサービスを進化させて、130万強の店舗の仕入れや新規開拓、オンラインマーケットとの連携を全面的にサポートしています。またこれらの取り組みにより、小規模小売店の経営効率を向上させ、“300メートル商圏”を作り出していきたいと思います。LSTは小規模小売店と日用消費財ブランドを繋ぐ業界No.1のB2Bプラットフォームになっていきます」と話しています。
天猫小店は消費者ニーズに合わせた商品を仕入れることで、顧客満足度アップにつなげる
アリババグループCEO張勇(ダニエル・チャン)はLSTについて、「LSTの核心は『小売り』であり、LSTの次の一手は、技術やデータを活用するだけではなく、ブランドや店舗が主導して消費者に対して販促を行うことができるプラットフォームを作ることだ」と指摘しました。また、LSTの今後の方向性については、次のように述べました。「これからのビジネスは、ますますC2B(消費者から企業)の方向へ進むと考えています。売り手側は自ら積極的に消費者のニーズを把握するよう動き、そしてそのニーズを満足させるためにより良い製品を作り出す…という一連のサイクルが企業の成長に繋がります。LSTの技術やデータを使って、ブランドやメーカーをエンパワーメントし、新しい時代の消費者が本当に必要としている商品を生み出し、消費者へと届けることを、パートナー企業と共に取り組んでいきます。」。
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