コロナ禍でも継続して売上を伸ばしている森永乳業の越境EC戦略の3つの秘訣とは?

 

概要:中国で、年に一度の買い物日和といえば独身の日、11月1日から11日まで開催される中国年間最大のショッピングイベントこと「ダブルイレブン」が近づいてきました。2020年からコロナ禍によって、インバウンド観光客が途切れ、日中間の行き来もほぼ途切れている中でも、毎年中国への越境EC売上高を更新し続けている森永乳業株式会社に、海外戦略の秘訣に迫りました。

森永乳業株式会社 海外BtoC事業部 マネージャー 王 麗芳氏

―― どういったきっかけで、越境ECをはじめたのでしょうか?

 コロナ禍前の2019年7月からTmall Globalで越境EC海外旗艦店を開設し、3年以上経ちました。中国向けの一般貿易だと規制が多く、ハードルが高いですが、越境ECの場合は、日本で完成した商品をそのまま中国向けに販売できます。スピーディにスタートでき、かつ参入ハードルも低いため、中国市場を知るためにも、越境ECでの販売を開始しました。いろいろな越境ECプラットフォームがあるなかで、圧倒的なユーザーベース、トランザクションを持つ業界1位のアリババのTmall Globalを選びました。

―― コロナ禍の中でも、売り上げが伸び続けていると伺っておりますが、その理由は?

 2019年に越境EC海外旗艦店をスタートさせてから、毎年高い伸び率で売上が伸び続けています。今年に入ってから、個別の大都市のロックダウンで多少影響受けましたが、それでも4月〜10月の販売額は昨年同期比+20%ほど成長しています。

 一番の理由は、商品に満足度いただいていることだと思います。これまで日本市場で培ってきた開発技術力・ノウハウを活かして、森永乳業ブランドから、より健康・栄養に貢献する商品ラインナップを拡充し、それをお客様へ分かりやすくお伝えすることに取り組んでいます。主に、ビフィズス菌関連の商品や中高年の方向けのプロテインなどを中国の消費者向けに販売していますが、おかげさまでリピーター率が高い時に5割強に達しています。新しいものが好きな中国消費者に対して、非常に高い水準を保っています。

越境ECで中国消費者から人気を博している森永ビヒダス

 次に、一度商品を手にとっていただいた消費者へのきめ細かいケア、これはとても大切です。例えば、Tmall Globalで初めて商品を購入してくれた新規のお客様に対し、購入1週間後に必ず電話をしてフォローをしています。時には、飲み忘れのリマインドの連絡をしたりし、日本にいる研究員からお客様向けに健康セミナーを開催することもあります。また、Tmall Globalでは、店舗のフォロワーや会員向けのシステムが提供されています。ロイヤルカスタマーへの特典提供など、自社でそのサービスを設定することが可能です。このような丁寧なコミュニケーションを通じて、一度購入いただいたお客様にリピーター、そしてファンになっていただくまでのプロセスに力を入れています。

 最後は、ローカライズされた店舗運営を磨くこと。中国の消費市場は、目まぐるしいスピードで変化しているので、現地のオペレーションは、日本と感覚が異なります。天猫ダブルイレブンを控えて、中国現地の保税倉庫のスタッフの皆さまも夜中まで稼働し、全力で手伝っていただきました。非常に感謝しています。

―― 今後のご展望は?

当社は、世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業になることを、グループ10年ビジョンにおいて掲げています。その中でも、中国をはじめとするアジア市場は大事なマーケットであり、越境ECは、お客様一人一人と直接コミュニケーションをとることができる貴重な場です。そのため中国事業全体の計画立案にあたって大変貴重な場であり、当社として最も注力する事業の一つです。。今後も引き続き、中国のお客様の健康課題に配慮した当社ならではの高品質な商品やサービスをお届けすることで、着実に成長いきたいと思っております。

(文責:黄未来)

 

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