売上が前年比10倍増に！Z世代を魅了する新世代ペットグッズ・メーカー
解説：
今、中国ではペットが大流行。癒しをペットに求めるZ世代（1990年代半ばから2010年までに生まれた世代）の若者が多いという。「毛孩子」（毛の生えた子ども、家族として扱っているペットの意）という流行語まで生まれたほどだ。アリババグループは新たな成長ジャンルをいち早く発見し、取り組むことで中国消費者のニーズに応えてきた。ペットも例外ではない。アリババグループのマーケットプレイス「Tモール（天猫）」「タオバオ」では、売上急上昇中のホットジャンルとなっている。
現在、中国ではペットを家族として一緒に暮らす若者が急増中です。大事な家族にお金を使うのは当然ということから、ペット関連の消費も急激に伸び、「ペット経済」という言葉まで生まれたほど。アリババグループのマーケットプレイスでもペット商品はホットなジャンルです。
このブームを捉えて急成長している企業があります。それがHomerun（ホームラン、霍曼）。広東省深圳市に本拠を置くペット商品メーカーです。
創業者・劉坤（リュウ・クン）氏は大の動物好き、その気持ちのままに2015年に創業したのですが、業績は上々です。2017年にアリババグループのマーケットプレイス「タオバオ」にネットショップをオープン、2019年にEコマースプラットフォーム「Tモール（天猫）」に旗艦店をオープンしましたが、年平均売上は毎年前年比2～3倍と爆発的に伸びています。今年にいたっては前年比5倍増を達成する見通しです。その原動力となっているのがTモール。Homerunの売上の半分以上はTモールですが、その売上は前年比1,000％増という驚異的な数字を記録したのだとか。
写真はHomerun創業者の劉坤氏
「マーケットに出ているペット商品は、デザインも機能も若者たちの心をとらえられていませんでした」と、劉坤氏は成功の秘密を話しています。「インターネット時代ですから、あっという間に口コミは広がります。すばらしいプロダクトを作り、消費者の評価を勝ち取れるか。それが企業の長期的発展の成否を決めます。ですから、私たちはよいプロダクトを作ることに専念したのです」
この努力が実を結び、Homerunは今やTモールのペットジャンルでトップクラスの業績を誇ります。同社は、ペット向けのスマートデバイスを製造しています。自動給餌器や自動給水器、ネコ用トイレ、ペット乾燥機、ペット用玩具など幅広いプロダクトをそろえています。中国本土においては、直営のネットショップが主な販売ルートです。
HomerunのTモール旗艦店の売り上げランキング
売上増も口コミ評価アップも！ダブルイレブンの力
毎年11月に開催される世界最大のネットショッピングセール「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」。今年で4回目の参加となるHomerunにとっては、きわめて重要なイベントです。
「天猫ダブルイレブンのような大型キャンペーンは売上を伸ばすだけではなく、知名度と口コミ評価を高め、さらに多くの顧客を集めるチャンスです。この機会を生かそうと、ダブルイレブンに会わせて新商品を開発しました。セール期間中に売るだけではなく、その後の売上増につながる基盤となるからです」（劉坤氏）
天猫ダブルイレブンの商戦での成功を目指して、Homerunは割引クーポンやおまけのギフトなど、さまざまな施策を用意しました。その甲斐あって、成果は上場だったようです。
「現時点（11月1～3日のダブルイレブン第1期販売期間終了時）で、3つのプロダクトがペット用品カテゴリーの売上トップを獲得しました。特に、ペット用スマート乾燥機は、中国本土市場の類似商品の売り上げ全体の80％を占めるという圧倒的存在です。天猫ダブルイレブンに合わせて発売した新商品のReal自動給餌器も、所属商品カテゴリで売上トップとなりました」
Homerunは中国だけではなく、海外の消費者からも高く評価されるようになりました。今では売上の4割が海外です。現在は米国、日本、欧州が主な販売先ですが、新たな市場として成長が続くのが台湾です。現在は2種類の商品を台湾でクラウドファンディングに出展しており、強い反響を得ています。その人気ぶりに代理店からの引き合いも強いといいます。
次の市場として目標に定めているのが香港です。アリババグループのTモール・ホンコン（天猫香港）への出店を計画中です。
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