アリババグループ、2021年4-6月期の決算を発表
アリババグループ・ホールディング・リミテッド(銘柄コード:NYSE:BABA、HKEX:9988、以下「アリババ」「アリババグループ」「グループ」「当社」)は2021年8月3日、2021年4-6月期(2022会計年度第1四半期または当期)の決算を発表しました。
※アリババグループの2022会計年度は、2021年4月1日から2022年3月31日までの期間です。
※下記、1中国人民元=16.9円(2021年8月3日現在)で日本円に換算しています。日本円は参考値です。
2022会計年度第1四半期のグループの売上高は前年同期比34%増の2,057.40億元(人民元、以下同様)(約34,770.06億円)に達しました。これは主に中国小売事業の売上高の着実な伸び(2020年10月に合併したサンアート・リテールを含む)、ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の物流事業、越境及びグローバル小売事業における着実な収益成長によるものです。サンアート・リテール株式会社(以下「サンアート・リテール」)統合の影響を考慮しない場合、グループの年間売上高は前年比22%増の1,873.06億元(約31,654.71億円)となります。
アリババグループ 会長兼CEO ダニエル・チャン(張勇)のコメント
「好調な業績とともに、新たな会計年度を迎えました。2021年6月末時点で、アリババのエコシステムにおける年間アクティブ・コンシューマー数(AAC)は11.8億人に達し、前四半期から4,500万人増加しました。そのうち9.12億人の消費者は中国市場からとなっています。20数年にわたる事業展開を経て、私たちは『コンシューマー・インターネット』と『インダストリアル・インターネット』にまたがる企業となっており、多様なグループ事業がアリババの長期的成長を支えています。私たちは常に、中国経済の継続的な成長と、アリババが長期的価値を創造できることを確信しています。我々は引き続き技術面での優位性を強化することで、消費者体験を向上させ、お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現をサポートします。」
アリババグループ最高財務責任者(CFO)マギー・ウー(武衛)のコメント
「当期の売上高は、34%増の力強い成長を達成しました。前四半期の業績報告で述べたように、増分利益と追加資本を新たなビジネスと主要な戦略的分野に利用し、プラットフォーム上のマーチャントをサポートして、多様な消費者に対してより良いサービスを提供できるようサポートしつつ、新しい潜在的市場への参入を行っております。私たちは、自社株買い計画の総額を100億米ドルから150億米ドルに増やしました。これはグループ史上最大の自社株買い計画であり、長期的成長への確信を反映したものです。当社は堅調なネットキャッシュのレベルを維持しており、今年4月1日(2022会計年度開始日)から現時点までに、約37億米ドルの米国預託株式(ADS)の買い戻しを行いました。」
今年8月2日、グループの取締役会は、自社株買い計画の総額を100億米ドルから150億米ドルに上増しすることを承認しました。今年の4月1日から、株式買い戻しに関する承認に基づき、米国預託株式(ADS)約1,810万株(約1.445億株の普通株)を約36.80億米ドルで買戻しました。2021年6月30日現在のグループの現金、現金同等物及び短期投資額は4,708.24億元(約79,569.26億円)です。
当期の純利益(非GAAPベース)は前年比10%増の434.41億元(約7,341.53億円)となり、希薄化後ADS(米国預託株式)1株当たり利益(非GAAPベース)は前年比12%増の16.60元(約280.54円)となりました。調整後EBITDA(非GAAPベース)は前年比5%減の486.28億元(約8,218.13億円)となりました。調整後EBITA(非GAAPベース)は、前年比8%減の417.31億元(約7,052.54億円)となりました。これは主に、収益増加の機会を獲得するための戦略的分野(コミュニティーコマース事業、タオバオ特価版、ローカルサービス事業やLazadaなど)に投資したことにあります。また、閑魚(シェンユー)やタオバオライブなど、中国小売市場における新規事業へも注力すると同時に、マーチャントへのサポートも強化しています。
各事業のハイライト
当期のコアコマース事業の売上高は、前年比35%増の1,802.41億元(約30,460.73億円)で、中国小売事業の売上高は、前年比34%増の1,358.06億元(約22,951.21億円)となりました。2021年6月30日時点で、アリババエコシステムのグローバルにおける年間アクティブ・コンシューマー数(AAC)は約11.8億人に達し、2021年3月31日時点と比較すると4,500万人増加しました。そのうち9.12億人は中国市場から、2.65億人は中国国外市場からです。中国国外市場からの2.65億人にはLazada(ラザダ)、AliExpress(アリエクスプレス)、Trendyol及びDarazサービスのコンシューマーが含まれます。2021年6月時点で、アリババグループの中国小売市場における月間モバイルアクティブ・ユーザー数(MAU)は9.39億人に達し、四半期単体では1,400万人の純増となりました。
アリババグループは、新興地域市場への進出を引き続き強化しています。これは、豊富なFMCG(一般消費財)の供給により消費者の多様なニーズを満たすという戦略が成功していることを示すものです。当期、タオバオ特価版は、より高品質でコストパフォーマンスの高い製品をコンシューマーに提供することで、ユーザー数の力強い成長を続けています。2021年6月30日時点で、タオバオ特価版の年間アクティブ・コンシューマー数(AAC)は1.9億人を突破しました。また、中国におけるアリババグループのC2Cコミュニティ及びプラットフォームである閑魚(シェンユー)も力強い成長を見せ、月間モバイルアクティブ・ユーザー数(MAU)は1億人を超えました。
天猫618ショッピング・フェスティバル期間では、昨年の2倍以上となる約25万のマーチャントとブランドが参加し、100万を超える新商品を発売しました。マーチャントとブランドが獲得した新規会員数は数千万人にのぼります。このセールを通じて、マーチャントとブランドは会員限定キャンペーンや会員特典を提供し、消費者と直接交流することができました。
ニューリテール事業において、アリババグループは、マルチモデルによる事業を引き続き拡大しています。1時間配達、半日配達及び翌日配達といったあらゆるタイプの高頻度なフルフィルメントサービスを通じて幅広い消費者の多様なニーズに応えるとともに、今年からはコミュニティーコマース事業を強化し、複数の地域で翌日セルフピックアップサービスを提供しています。これにより新興地域及び農村地域のユーザー基盤をさらに拡大しました。当社のコミュニティーコマース事業は急速な成長を続けており、GMV及びエリア配送センター(RDC)の建築面積は、前四半期比でそれぞれ200%及び260%の増加となりました。
また、当四半期は、サンアート・リテールのオンライン注文数が前年比で約28%増となりました。これに最も貢献したのは、天猫超市(天猫スーパー)との在庫共有の取組でした。サンアート・リテールは、当社グループのコミュニティーコマース事業における主要サプライヤーでもあります。2021年6月30日時点で 、サンアート・リテールは、中国の29省、235都市に実店舗を設置しており、品質保持期限の短い生鮮食品、日用消費財及び一般商品などの類目において、高い現地調達能力及びサプライチェーン能力を誇っています。
ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の当期の売上高は、前年比50%増の116.01億元(約1,960.57億円)となりました。収益の増加は主に、グループ内で急成長している、AliExpress(アリエクスプレス)や天猫国際(Tモール・グローバル)といった越境及びグローバル小売事業において、「ツァイニャオ・フルフィルメント」サービスを採用するマーチャントが増加したことによるものです。中国本土におけるツァイニャオ・ネットワークの事業は現在も急速に成長中であり、その一例が、利用者の増加が続くツァイニャオ・グオグオ(ツァイニャオのクラウドソーシングを活用する荷物ピックアップと宅配サービス)です。ツァイニャオ・グオグオの本四半期の注文数は、前年比で63%増となっています。
クラウドコンピューティング事業の当期の売上高は、前年比29%増の160.51億元(約2,712.62億円)でした。これは主にインターネット、金融サービス、及び小売業界の顧客収益の力強い成長によるものです。前四半期と同様、売上高の増加率が前年比で鈍化した主な理由は、インターネット業界における主要顧客あたりの売上単価が減少していることです。今後、当社のクラウドコンピューティング事業の売上高は、顧客及び産業ごとにいっそう多様化する傾向が続くものと確信しております。
アリババクラウドの重要コア戦略の1つは、オフィスツール「DingTalk(ディントーク)」を統合し、より多くのアリババクラウドユーザーにDingTalkを採用してもらう、というものです。今年初頭に「雲釘一体(アリババクラウドにDingtalkなどの新しいシステムを取り込んだサービス)」戦略の実践を開始して以来、復星集団、山東能源集団及び蒙牛乳業等の大企業を含め、アリババクラウドとDingTalkを同時採用する顧客が増加しました。2021年4-6月期から、アリババグループでは、これまでイノベーション事業及びその他の事業として財務状況を報告していたDingTalkについて、クラウドコンピューティング事業へと再分類しました。DingTalkは未だ投資時期にあるため、DingTalkのクラウドコンピューティング事業への再分類は、当期におけるクラウドコンピューティング事業の収益性の低下には影響を与え得るものの、売上高増大への貢献は限定的です。
越境及びグローバル小売事業の当期の売上高は前年比54%増の108.00億元(約1,825.20億円)となりました。これは主に、Lazada(ラザダ)及びAliExpress(アリエクスプレス)の成長によるものです。当四半期におけるLazadaの注文数は前年比で90%超の増加となりました。また、Lazadaは、過去6四半期連続でユーザーアクセス頻度が向上しています。これには、技術への集中投資を継続し、モバイルアプリのユーザー体験及びレコメンデーション(おすすめ)機能を強化させたことによって、消費者からの支持及びユーザーの定着がいっそう強くなったことが反映されています。
越境及びグローバル卸売事業の当期の売上高は前年比37%増の44.02億元(約743.94億円)となりました。これは主にAlibaba.com(アリババドットコム)の有料会員数の増加と有料会員の平均売上高の増加、及び越境ビジネス関連の付加価値サービスの収益増加によるものです。
ローカルサービス事業の当期の売上高は前年比23%増の87.57億元(約1,479.93億円)でした。顧客獲得及びユーザー体験の向上のための投資拡大を続けているウーラマ(餓了麼)では、当四半期の注文数が前年比で50%超の増加となりました。ウーラマは、新しいユーザーの日々拡大するニーズを満足させるため、様々な取り組みを通して良質なマーチャント基盤を向上させることで、全国及び各地域のチェーン店によるGMV(流通総額)への貢献比率が前年比で上昇しました。
デジタルメディア及びエンターテインメント事業の当期の売上高は、前年比15%増の80.73億元(約1,364.34億円)となりました。当期におけるヨウク(Youku)の1日平均有料会員数の規模は、前年比17%増となりました。これは主に、良質なコンテンツの提供によるものです。ヨウクは、コンテンツへの慎重な投資及び有料会員プランの最適化を行うことによって、運営効率を継続的に向上させており、当四半期の損失は前年比でさらに縮小しました。
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