「3つの新」で企業のデジタルトランスフォーメーションをサポートする、アリババの構想
解説:
アリババはEC(電子商取引)プラットフォームとして創業しましたが、その後、パートナー企業のニーズに応え、モバイル決済、金融、物流、マーケティング、クラウドなど多くの関連分野を開拓してきました。それらの機能を統合したのが2019年1月に発表された「アリババ・ビジネス・オペレーティングシステム」(ABOS)構想です。パートナー企業の成長に貢献するとともに、デジタルトランスフォーメーションを支援するソリューションです。2019年12月、アリババグループはアリババ・ビジネス・オペレーティングシステムの意義と成果を発表しました。
企業のデジタル化、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)は大きなトレンドです。ただし、デジタルトランスフォーメーションの前提は市場ニーズの正確な把握です。もしニーズを見失えば、デジタルトランスフォーメーションを推進したとしても、消費者に届くプロダクトやサービスを欠いたイノベーションになりかねません。
この課題を解決するのが「アリババ・ビジネス・オペレーティングシステム」(ABOS)です。2019年12月18日、中国浙江省杭州市で第2回アリババ・ワン・ビジネスカンファレンス(Alibaba ONE Business Conference)が開催されましたが、このイベントにおいてアリババは、アリババ・ビジネス・オペレーティングシステムの意義を強調しています。多角的かつ複数シーンを横断するアリババ・ビジネス・オペレーティングシステムは、「新製品」「新顧客」「新組織」の三要素を基軸に、パートナー企業のデジタルエコノミー時代における成長とデジタルトランスフォーメーションの推進をサポートすると宣言しました。
アリババ・ビジネス・オペレーティングシステムは、アリババグループがEC(電子商取引)プラットフォームから、世界的な総合テック企業へと進化する過程で生み出されました。過去20年間にわたるアリババグループの努力が生み出した各種機能、すなわちサプライチェーン、クラウドコンピューティング、物流システム、マーケティングモデル、リテール(小売)プラットフォーム、モバイル決済、さらに消費者に関するインサイトとニーズの分析を統合したのです。それにより、EC旗艦店からネットスーパー、実店舗、飲食店、出前、エンタメなど異なるシーンのすべてで、パートナー企業が消費者のさまざまなニーズに応じられるよう支援します。
現在はオンライン、オフラインの区別はない。あるのはデジタル化しているかどうかの違いだけ
アリババグループの会長兼CEOのダニエル・チャン(張勇)はアリババ・ワン・ビジネスカンファレンスの席上、「現在はオンライン、オフラインの区別はありません。あるのはデジタル化しているかどうかの違いだけです」と発言、さらに次のように言葉を続けました。
「アリババ・ワン・ビジネスカンファレンスは新たなプラットフォーム、新たなシーンを通じて、パートナー企業とともにさらに多くの可能性を生み出すために創設されたイベントです。そしてアリババ・ビジネス・オペレーティングシステムはたんなるプロダクト、ツールではありません。一つの理念であり方法論なのです。その力がパートナー企業内部の能力と組み合わさり融合することで、本当の意味での化学反応を引き起こす。そうした力を持つことを期待しています。」
新製品開発のインサイトを提供し、新顧客の獲得やコミュニケーションを最適化し、それらを実行するための組織のリソース配分を提案する
3つの要素の一つ、新製品では、パートナー企業が保有する製品開発能力と顧客管理能力を土台として、アリババ・ビジネス・オペレーティングシステムは消費者行動に関する広範なインサイトに基づいた、市場トレンドに適合的な新製品開発を提案します。その新製品を販売する際には新顧客、すなわち適切な販売プラットフォームや潜在的消費者とのマッチングを最速で実行します。同時に、デジタル化に基づくオンラインとオフラインの双方のシーンから情報を収集し、パートナー企業によるターゲット層の理解を支援し、新規顧客獲得能力を高め、企業と顧客のコミュニケーションを最適化します。最後に新組織ですが、その価値はデジタル化された運営データを組織管理に活用することで、新製品と新顧客の実行プランに最適なリソース配分を提案します。
アリババ・ビジネス・オペレーティングシステムはすでに以下のような成果を挙げています。
新製品
・2019年9月までに各ショップが天猫(Tmall:有力ブランドのB to Cマーケットプレイス)で9,000万種類もの新製品を発表。
・過去1年間でタオバオ(個人事業者でも参入が容易なC to Cマーケットプレイス)では2,000種類もの独自ブランドが誕生。
・C2M(カスタマー to マニファクチャー、顧客ニーズに基づく製造。アリババグループは製造能力を持つ産業集積地域と発注者とのマッチングサービス「淘工廠」を展開している)産業集積地域が製造したオーダーメイド品の数量は前年比7倍に増加。
・500以上のブランドによる4000以上の新製品がアリババグループのスマートスピーカー「Tmall Genie (天猫精灵)」と接続。アリババAI実験室の技術を活用している。
新顧客
・各パートナー企業が天猫で獲得した新規フォロワーは過去半年でのべ9億人を突破。
・各店舗がタオバオを通じて5億人もの新興地域の消費者にアプローチ。
・各店舗がライブコマースサービス「タオバオライブ」を通じて獲得したフォロワーは1億人弱に
・ミニアプリ(モバイル決済アプリ「アリペイ」上で動作する簡易アプリ)、「ブランド・ライトショップ(品牌軽店」が新規顧客獲得の契機に。2019年の天猫ダブルイレブンショッピングフェスティバル(以下、天猫ダブルイレブン)では、ランコムはアリペイから500万人以上の新規顧客を獲得。その3分の1はタオバオ、天猫のマーケットプレイスでランコムと接触していなかった新規顧客だった。
新組織
・アメリカの経済誌・フォーチュンが毎年発表する企業ランキング「フォーチュン500」の38%がアリババクラウドを利用。アリババクラウドは企業の「全面的クラウド化」のために100以上ものオーダーメイド・ソリューションを開発し、クライアント企業の情報テクノロジーに関する総合コストを半減させた。
・約200万の店舗が、AIによるスマート・カスタマーサービスを備えた新組織を設立。
オンラインとオフラインを横断する顧客インサイトを提供し、パートナー企業の発展に貢献する
アリババ・ビジネス・オペレーティングシステムについて、アリババグループのジエ・ジン(靖捷)ヴァイスプレジデントは次のように説明している。
「企業の発展における最大の任務は成長です。そして、効率の良い新製品開発、新規顧客の獲得、組織能力の活性化、これこそが成長の鍵を握る三大要素です。アリババ・ビジネス・オペレーティングシステムを利用すれば、パートナー企業はオンラインとオフラインを横断する顧客インサイトを獲得し、より多角的で複数のシーンを横断した顧客管理が可能となります。さらに、より機動的な組織運営能力を得ることで、従来以上に大きなプロジェクトも実行可能となるのです。」
*注釈
アリババ・ビジネス・オペレーティングシステムは2019年1月の第1回アリババ・ワン・ビジネスカンファレンスで発表されました。あらゆる課題解決プランを統合するワンストップソリューションを提供することで、パートナー企業のデジタルトランスフォーメーションを支援することが目的で、アリババグループの持つ膨大なユーザーから得られた消費者インサイトが活用されています。
(翻訳・編集:高口康太、AlibabaNews編集部)
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