商品在庫は前年比2倍の約1000万トンを用意、中国最大の商戦「天猫ダブルイレブン」が始動

解説:
中国最大のネットショッピングセール「天猫ダブルイレブン」が始まった。小売り、ネットショッピングのイベントであると同時に、膨大な荷物が広大な中国を移動する物流のビッグイベントでもある。アリババグループは物流企業、倉庫企業のオペレーションを効率化・デジタル化するスマート・ロジスティック・プラットフォーム「菜鳥」(ツァイニャオ)を手がけている。ダブルイレブンの販売数は年々大きく成長し物流にかかる負荷も増しているが、菜鳥の貢献もあり、配送スピードや品質など、消費者の満足度はむしろ改善しているという。


11月11日が近づいてきました。今年も「天猫ダブルイレブン・ショッピング・フェスティバル」(以下、ダブルイレブン)の季節を迎えました。

ダブルイレブンに向けて消費者に商品を届けるためのサプライチェーンは準備万端です。アリババグループの物流ソリューション部門である菜鳥(ツァイニャオ)の倉庫には、既にブランドやマーチャントから多くの商品が預けられました。その規模は、10月21日時点で1000万トン近い商品が用意されています。昨年の約2倍規模の在庫を確保しており、今年の盛況が予想されます。販売が始まれば、商品は迅速かつ適切に消費者の元に届けられます。

 

 

菜鳥の中国国内サプライチェーンマネージャー 黄巍はダブルイレブンにかける意気込みを語った。「新型コロナウイルスの流行を経て、全世界の企業にとって中国市場こそが新たな希望となりました。ダブルイレブンという年内最強の成長チャンスをつかむため、中国内外の数十万ものブランド、数百万ものマーチャントが在庫を用意しています

その意気込みに応え商品を届けるのが菜鳥の役目です。中国には2つの大動脈があると言われています。1つは人々を運ぶ新幹線、もう1つは荷物を運ぶ菜鳥の物流網です。1回のセールで1000万トンもの商品が移動するのは、確かに驚くべき規模です。この荷物を運ぶには、世界最大級の貨物船「マルコポーロ」で50隻以上、ボーイングの大型貨物機で5万機以上が必要となります。まさに物流大動脈と呼ぶにふさわしい規模でしょう。

在庫データから読み解くダブルイレブンの最前線

菜鳥の倉庫に保管されている在庫データをみると、ダブルイレブンの人気商品が一目でわかります。在庫が最も多い三大ジャンル、フェイスパック、生理用品、ビューティケア用品(シャンプー・リンス・洗顔用品)。フェイスパックだけでも数億枚が販売されます。長年ダブルイレブンでは女性の「美の追究」が最大のテーマとなっているのです。

在庫データからは他にも興味深い情報を得ました。それは中国の地域差です。配達時間を短縮するためになるべく購入者の近くの倉庫に在庫を集めるので、データからは各地域の人々が何を求めているかがわかります。中国北部地方では寒さを乗りきるために米や小麦、油などエネルギーになる食品が多いですし、のんびりとした生活リズムで知られる西南地方はナッツ類が多いのです。そして酒豪ぞろいで知られる華北地方(北京、天津、河北、山西、内モンゴル)では、ビールが中国伝統の白酒に比べると2倍以上の在庫を確保しているようです。お酒好きは変わらなくても、好みはぞれぞれのようです。華東(山東、江蘇、安徽、上海、浙江、江西、福建)・華南(広東、海南、広西)地方では浄水器や電源ケーブルなど家庭用品が人気で、おうちライフの充実がテーマのようです。

ビジネスを成功させるためにはいい商品を作るだけではなく、いかに速やかに商品を届けるか、品切れや売れ残りをいかに防ぐかが重要です。菜鳥はデータ面から企業をサポートし、昨年にデータ解析により在庫回転数の向上や地域ごとの適切な在庫配置をアシストするソリューション「大促宝」をリリースしましたが、今年はバージョン2.0にアップデートし、さらに精度を向上させています。「サプライチェーンの精度を高められれば、在庫と資金を節約できます」と黄マネージャーはその意義を強調しました。

また、サプライチェーンの効率を向上させ、消費者がより早く商品を受け取れるようにダブルイレブンでは予約販売期間が設けられています。手付金が払われた商品については事前に、最寄りの輸送拠点にまで商品を運んでおくのです。残りの支払いが終了後、最短で商品を消費者に届けることができます。

輸入商品の“国連”に

ダブルイレブンは中国のみならず、全世界のお祭りでもあります。

まず海外から中国への輸入ですが、世界各国と地域から3億件を超える商品が輸入されています。特に今年は新型コロナウイルスの流行で、海外旅行に行けないため、越境EC(電子商取引)を通じて海外商品を手に入れようとする中国消費者が多いようです。Tモールグローバルやコアラ(Kaola)など、アリババグループの越境ECプラットフォームは今年になって売上を急成長させています。

写真は菜鳥の保税倉庫。Tモールグローバルやコアラなど越境ECの在庫がダブルイレブンスタート前にすでにこちらで保管されている。

輸入された商品で主役となるのは化粧品、保健食品、赤ちゃん用品。また、日韓の美顔器、イスラエルのフェイスパック、オーストラリアのヘルスケア商品、東南アジアの燕の巣、ウルグアイの牛乳、モルドバのフルーツジュース、イギリスのルームフレグランス……世界各国の多種多様な商品が集まっており、まるで輸入商品の「国連」のようです。

また、今回のダブルイレブンで注目を浴びたのが男性消費者とペット用品です。男性用メイク商品の在庫は前年同期比3000%増という爆発的な成長を遂げています。ペット用品も200%増という伸び率。詳細を見るとキャットフードよりもドッグフードがわずかに多い在庫を持ち合わせているという結果になりました。

輸入だけではなく、輸出も大きなテーマです。菜鳥海外倉庫は貿易会社と協力し、掃除機、お掃除ロボット、工具などの人気商品を世界各地に設けられた菜鳥海外倉庫から出荷することで、世界の消費者にも最短3日で商品を届けられます。また、海外倉庫に在庫がなく、中国から発送する場合でも、物流ネットワークの改善により主な海外消費者市場へ約10日でお届けできるようになりました。

解説・翻訳協力:高口康太、編集:AlibabaNews 編集部(広辺)

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