アリババグループ、2021年1-3月期及び2021会計年度の決算を発表
年間売上高は前年比41%増
アリババグループ・ホールディング・リミテッド(銘柄コード:NYSE:BABA、HKEX:9988、以下「アリババ」「アリババグループ」「グループ」)は2021年5月13日、2021年1-3月期(2021会計年度第4四半期)及び2021会計年度通期(会計年度または2021会計年度)の決算を発表しました。
※アリババグループの2021会計年度は、2020年4月1日から2021年3月31日までの期間です。
※下記、1中国人民元=17円(2021年5月現在)で日本円に換算しています。日本円は参考値です。
2021会計年度のグループの年間売上高は前年比41%増の7,172.89億元(人民元、以下同様)(約121,939億円)に達しました。主に中国小売事業の急速な増加(2020年10月に合併したサンアート・リテールを含む)及びクラウドコンピューティング事業とツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の物流事業の着実な収益成長によるものです。サンアート・リテール統合の影響を考慮しない場合、グループの年間売上高は前年比32%増の6,744.20億元(約114,651億円)で、2021会計年度の収益ガイダンスを上回りました。
アリババグループ会長兼CEO ダニエル・チャン(張勇)のコメント
「アリババグループは、2021会計年度に世界の年間アクティブ・コンシューマー数(AAC)が10億人に達し、重要なマイルストーンとなりました。当社の事業全体は健全な基盤の上で力強く成長し、アリババのエコシステムも本会計年度のGMVが1.2兆ドルという新記録を達成しました。これらの成果は、私たちが消費者やマーチャントに提供する明確な価値に基づいています。生活と仕事のあらゆる面でデジタル化が加速しており、私たちは中国の消費主導型の経済成長を期待しています。デジタル時代の社会において、「あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる(To make it easy to do business anywhere)」という使命を果たすために、ユーザー体験とイノベーションによる顧客価値の創造に、引き続き注力していきます。」
アリババグループ最高財務責任者(CFO)マギー・ウー(武衛)のコメント
「2021会計年度の年間売上高は、収益ガイダンスを上回り、前年比32%増の力強い成長を達成しました(新たに買収したサンアート・リテールの小売売上を除く)。これは、我々のコアコマース事業の力強い業績と、アリババクラウドの継続的な成長によるものです。新規事業及び主要な戦略的成長分野への投資を増加した後も、調整後EBITDAは前年比で25%増を実現しました。2022会計年度には、年間売上高が9,300億元(約158,100億円)を超えると予想しています。市場の可能性、我々の確証された利益とキャッシュフローを生み出す能力を考慮し、2022会計年度にはすべての増分利益と追加資本を用いてプラットフォーム上のマーチャントを支援し、新たなビジネスと主要な戦略的分野に投資します。これによって、消費者の財布内シェアを増やし、新しい潜在的市場への参入を有利にしていく予定です。」
2021会計年度のグループの年間純利益は1,432.84億元(約24,358億円)となり、中国国家市場監督管理総局(市監総局)が課した独占禁止法による罰金(以下、独占禁止法罰金)、およびアント・グループ関連で従業員に付与された株式ベース報奨金を反映しています。この影響及びその他のいくつかの項目を除くと、2021会計年度の年間純利益(非GAAPベース)は前年比30%増の1719.85億元(約29,237億円)となり、年間の希薄化後ADS1株当たり利益(非GAAPベース)は、前年比23%増の65.15元(約1,108円)となりました。年間の調整後EBITDA(非GAAPベース)は前年比25%増の1968.42億元(約33,463億円)となりました。
2021会計年度1-3月期、グループの四半期売上高は前年同期比64%増の1873.95億元(約31,857億円)となりました。サンアート・リテール合併の影響を考慮しない場合、グループの四半期売上高は前年同期比40%増の1599.52億元(約27,192億円)となります。四半期の純損失は76.54億元(約1,301億円)でした。これは主に、前述の独占禁止法罰金によるものです。この影響及びその他のいくつかの項目を除くと、四半期の純利益(非GAAPベース)は前年同期比18%増の262.16億元(約4,457億円)となり、四半期の希薄化後ADS1株当たり利益(非GAAPベース)は、前年同期比12%増の10.32元(約175円)となりました。四半期の調整後EBITDA(非GAAPベース)は前年比18%増の298.98億元(約5,083億円)となりました。
2021年3月31日現在、グループの現金、現金同等物、及び短期投資額は4,736.38億元(約80,518億円)です。
多様な商品の供給を充実させて継続的にユーザー体験を改善
「質」と「量」の両方を兼ね備える消費者層を形成
2021会計年度、コアコマース事業の年間売上高は、前年比42%増の6211.46億元(約105,595億円)で、中国小売事業の年間売上高は、前年比42%増の4736.83億元(約80,526億円)となりました。アリババ・エコシステムのグローバル年間アクティブ・コンシューマー数(AAC)は10億人を超え、重要なマイルストーンとなりました。そのうち、8.91億人は中国小売市場、ローカルライフサービス、デジタルメディア、エンターテインメントプラットフォームを利用するコンシューマーで、2.4億人は越境小売プラットフォームのAliExpress(アリエクスプレス)や東南アジアのLazada(ラザダ)を含む海外小売市場を利用する中国国外コンシューマーです。
中国小売市場における月間モバイルアクティブ・ユーザー数(MAU)は2021年3月末に9.25億人に達し、前年同期比および四半期比にそれぞれ7,900万及び2,300万の純増となりました。2021会計年度中国小売市場の年間アクティブ・コンシューマー数(AAC)は8.11億人に達し、前年比および四半期比にそれぞれ8,500万及び3,200万の純増となりました。2021会計年度は、新規の年間アクティブ・コンシューマーの約70%が新興地域からの流入でした。
2021会計年度は、市場の多様な消費者ニーズに対応し、新興地域および農村部に焦点を当てる戦略で商品とサービスの供給を拡大したことにより、中国小売市場で力強いGMV(流通総額)とユーザーの成長を実現しました。現物商品のオンライン取引による年間GMV(未払い注文を除く)は、主に日用消費財(FMCG)と室内装飾品に牽引され、前年同期比21%増となりました。2021年1-3月期には、アパレルと室内装飾品の牽引により、前年同期比33%増に達しました。天猫(Tモール)における現物商品のオンライン取引による四半期GMV(未払い注文を除く)は前年同期比で26%増加しました。また、タオバオにおける現物商品のオンライン取引による四半期GMV(未払い注文を除く)は前年同期比で速い成長を示しており、中小企業が新型コロナウイルスの流行による影響から回復してきていることを反映しています。
アリババグループのアプリケーションプログラム(APP)プラットフォームは、日増しに多様化するさまざまな収入レベルの消費者グループを引き付け、同時に一人の消費者にさまざまな買い物シーンを提供し、成長を続けています。タオバオ特価版は、価格に敏感な消費者に費用対効果の高い製品を提供しています。タオバオ特価版の年間アクティブユーザー数は2021年3月末時点で1.5億人を超え、理想的なユーザー維持率を有しており、新興地域の多くのユーザーを引き付けています。
注目に値するのは、消費者はグループの中国小売アプリケーションプログラムプラットフォーム上でより多くのインタラクションを行っているということです。消費者がショッピングのためにグループのプラットフォームに長く滞在すればするほど、より多くの注文と、より多様なカテゴリーを跨いで多くの消費が生み出されます。2021会計年度のグループの中国小売市場における消費者の平均年間支出は9,200元(約156,400円)に達し、各消費レベルにおいて高い保持率を示しています。
タオバオアプリは、中国最大級のソーシャルECプラットフォームで、豊富で関連性が高く、しっかりと構築されたコンテンツや機能を提供しています。マーチャントは、ライブ配信、ショートビデオ、インタラクティブゲーム、ミニブログを通じて消費者と交流できます。2021会計年度、ライブ配信プラットフォームのタオバオライブを通じた年間GMVは5,000億元(約85,000億円)を超えました。
当グループは、ブランド品や輸入品の範囲を拡大し、農家から直接農産物を仕入れることにより、費用対効果の高い商品とロングテール商品の選択肢を拡大しています。消費のアップグレードもグループのビジネスを促進しました。2021年3月末時点で、カルティエ、ファーフェッチ、グッチ、IWC、ヴァンクリーフ&アーペルなど200以上の高級ブランドと小売業者が、グループの中国小売市場のプラットフォームに旗艦店をオープンしました。
デジタルサプライチェーンの拡大により、物流フルフィルメントサービスを強化
マルチモデルによるニューリテール事業の拡大
ニューリテール事業は、グループのニューリテール戦略として、オンラインとオフラインをシームレスに統合するデジタルビジネス基盤を構築し、消費者にワンランク上の体験を提供します。長年にわたり当グループは、多くの小売業者のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援し、消費者インサイトとテクノロジーを活用することでさまざまな小売モデルの形態を生み出し、新しい消費者体験をもたらしてきました。グループのエコシステムは、サプライチェーン機能と多様なフルフィルメントサービスの継続的な開発を通じて、これらのニューリテール事業の発展をサポートします。
グループのニューリテール事業基盤により、即時配達、当日配達または翌日配達、翌日セルフピックアップサービスなど、あらゆるタイプの消費財と現物商品に適した高頻度なフルフィルメントサービスを提供することができます。グループは、引き続き全国各地で物流フルフィルメントサービスを拡大し、大都市や新興地域のより多くの消費者にサービスを提供するとともに、中国小売市場でより効果的なクロスセリングを実施することで購入頻度の向上を促進していきます。
当社は新たなニューリテール事業の開拓の一環として、中国の一部の地域でビジネスコミュニティ・プラットフォームを開始しました。この事業は、翌日ピックアップ配送サービス、フーマー(盒馬鮮生)、サンアート・リテール及び様々なパートナーのサポートに支えられています。初期の成功と長期的な成長の可能性を考慮して、グループは引き続きアリババ・エコシステムのリソースと機能を統合し、コミュニティーコマース基盤の成長を加速させます。グループのコミュニティーコマース基盤は、物流とフルフィルメント基盤を急速に拡大しており、今後1年以内に中国本土を広範囲に普及させる計画です。
アリババグループが運営する小売チェーン・スーパーのフーマー(盒馬鮮生)は本会計年度、引き続きマルチモデル及びマルチブランドの拡大戦略を推進し、既存店売上高の健全な成長を達成するとともに、製品選択の充実と最適化、及び消費者体験を向上させるための新たな取り組みを開始しました。2021年3月末時点で、中国本土の1級都市、2級都市を中心にフーマーの直営店舗を257店展開しています。
淘鮮達(Taoxianda)は、アリババグループ提供するFMCG(日用消費財)ブランド及びサードパーティの商品小売パートナー向けのオンライン・オフラインを統合した小売ソリューションです。淘鮮達はグループの他のビジネスと連携して、サンアート・リテールのデジタル化の推進とオンライン収益の成長を促進しています。2021会計年度、淘鮮達のオンライン上の年間売上高はサンアート・リテールの小売商品売上の24%を占め、2020会計年度の一年間より17%増加しました。2021年3月31日の時点で、淘鮮達は、サンアート・リテール以外にも42の小売チェーン店がオンラインストアを開くことをサポートし、中国の145都市でサービスを提供し、168の小売チェーン店、スーパーマーケット、マーケットプレイスでマーケティングのデジタル化を実現しています。
アリババのエコシステムがデジタルトランスフォーメーションを促進
着実な発展を維持
スマートロジスティクスやクラウドコンピューティングなどのグループのデジタル基盤は、グループの各プラットフォームをエンパワーメントおよびサポートすることで、ビジネス、ローカルライフサービス、エンターテインメントビジネスに対してサービスを提供し、絶えず変化する消費者のニーズに対応する独自のテクノロジー機能を提供し、企業のお客様やビジネスパートナーのデジタルトランスフォーメーションをサポートします。
ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の2021会計年度の年間売上高は、前年比68%増の372.58億元(約6,334億円)となり、グループ総売上高の5%を占めています。これは本会計年度の営業キャッシュフローの黒字化を実現させた重要なマイルストーンとなりました。収益の増加は主に、グループ内で急成長を遂げている越境及びグローバル小売事業による履行済み注文数と注文平均収益の増加によるものです。2021年3月末時点、ツァイニャオ・ネットワークの世界中での1日に処理する荷物量は、平均500万件を超えました。中国では、ツァイニャオはツァイニャオ・ステーションがカバーするエリアを拡大し、ツァイニャオ・グオグオ(ツァイニャオのクラウドソーシングを活用する荷物ピックアップと宅配サービス)の顧客体験を向上させました。2021年3月、ツァイニャオ・ステーションの1日の平均荷物量は、前年比で2倍近く増加しました。
クラウドコンピューティング事業の2021会計年度の年間売上高は、前年比50%増の601.20億元(約10,220億円)となりました。これは主にインターネット、公共部門、及び金融業界の顧客収益の増加によるものです。2021年4月の米調査会社ガートナー(Gartner)のレポートによると、2020年にアリババグループは世界のIaaS(Infrastructure as a Service)市場において第3位、アジア太平洋地域では第1位にランク付けされました。2021会計年度のアリババクラウドの主要なテクノロジー・ハイライトには、前世代と比較して全体的なコンピューティングパフォーマンスが40%向上した第7世代のECSパブリッククラウドサーバー、自社開発のコアデータベース製品のPolarDB、サーバーレス製品の1つであるAlibaba Cloud Function Compute などが挙げられます。
越境及びグローバル小売事業の2021会計年度の年間売上高は前年比42%増の344.55億元(5,857億円)となりました。Lazada(ラザダ)の2021会計年度と2021年1-3月期の注文数は、どちらも前年比3桁の成長を達成しました。Lazadaは、マーチャントがより良いサービスを消費者に提供できるように、テクノロジーと物流への投資に引き続き注力しています。また、プラットフォーム上の店舗管理及びビジネス分析ツールが多くのマーチャントに採用されており、グループはその規模拡大およびGMV増加を支援しています。AliExpress(アリエクスプレス)は、引き続きローカライゼーションの最適化、製品供給の差別化、ローカル配送サービスの改善に取り組み、2021会計年度にユーザーとGMVの力強い成長を実現しました。
越境及びグローバル卸売事業の2021会計年度の年間売上高は前年比50%増の143.96億元(約2,447億円)となりました。これは主にAlibaba.com(アリババドットコム)の有料会員数の増加と越境ビジネス関連の付加価値サービスの収益増加によるものです。
ローカルサービス事業の2021会計年度の年間売上高は前年比24%の315.37億元(約5,361億円)でした。2021会計年度、デリバリープラットフォーム「ウーラマ(餓了麼)」は加盟店の供給と運営効率を改善し続け、加盟店数が増加しました。GMVに占める全国及び地域のチェーンストアの割合が増加し、1注文あたりの利益は前年に比べて改善されています。この成長に基づき、ウーラマは2021年1-3月期から、ユーザー獲得とユーザー体験の向上への投資を拡大しました。2021年1-3月期にウーラマの1日平均有料会員数は大幅に増加し、前年同期比で約40%増となっています。
デジタルメディア及びエンターテインメント事業の2021会計年度の年間売上高は前年比7%増の311.86億元(約5,302億円)となりました。ヨウク(Youku)の1日平均有料ユーザー数は引き続き順調に増加しており、前年比35%増となっています。有料ユーザーの増加は、主に魅力あるオリジナル・コンテンツと独占配信コンテンツで効果的に新規ユーザーへリーチしたこと、さらにグループの中国小売市場における88VIP会員計画の多大な貢献によるものです。グループは、オリジナルコンテンツと独占配信コンテンツに投資する一方、費用対効果と投資収益率も確保しているため、本事業における当期の調整後EBITA損失を前年同期比で減少させることに成功しています。
イノベーション事業及びその他の事業は、前年比8%増の48.37億元(約822億円)でした。そのうち、Amap(高徳地図)は中国で月間アクティブユーザー数(MAU)が最大のモバイルデジタルマップ、ナビゲーション、リアルタイムの交通情報を提供するサービスプロバイダーです。Amapは、データ活用に基づくデジタルマップ・テクノロジーを駆使して、ローカルサービス、タクシー配車サービス、ソーシャルネットワークなど、さまざまな業界の主要なモバイルアプリケーションをサポートしています。2021年4月、Amapは、1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)が単月で1億人を超えるという重要なマイルストーンを達成しました。
※本原稿は、2021年5月13日に発表されたアリババグループ本社プレスリリースの原稿を抄訳したものです。本記事の正式言語は中国語であり、その内容および解釈については中国語を優先します。
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