高齢者も簡単にネットショッピング、アリババのデジタル・デバイド対策が登場

解説:

中国政府は2020年11月、「高齢者のスマート技術の活用上の困難を解決するための計画に関する通知」を発表した。世界屈指のデジタル大国に成長した中国だが、高齢者などスマートフォンを使いこなせない人々が取り残されている問題は深刻だ。通知はIT企業に改善を求めたものだが、中国最大のEC(電子商取引)企業であるアリババグループは、買い物を簡単にするシニアモードを実装することで、課題解決に取り組む姿勢を示した。

デジタル化に取り残された人々をどう包摂するか。いわゆる「デジタル・デバイド」が世界的な問題となっています。中国も例外ではありません。スマートフォンで世の中が便利になるのは歓迎するべきことですが、新たなサービスを使いこなせない高齢者が大勢います。

中国工業・情報化部が今年3月に発表した統計によると、中国の高齢者のうち2億7,400万人が携帯電話ユーザーですが、スマートフォンを使ってモバイル・インターネットを利用している人数は、半数以下の1億3,400万人にとどまります。いかにして高齢者もデジタル生活の利便性を享受できるようにするかが今、問われています。

中国を代表するIT企業であるアリババグループも、この課題に積極的に取り組んでいます。年間最大のショッピングセールである「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」(毎年11月11日に開催されるセール)を前に、ネットショッピングアプリ「タオバオ」(淘宝)に、「シニアモード」を実装しました。現在は一部の機能がテスト段階にあり、一部のユーザーだけが利用可能の状態ですが、フィードバックを得て改善した後、一般向けに開放していく方針です。

シニアモードは高齢者でも見やすく使いやすいように開発され、「シンプルなインターフェイス」「大きなフォント」「音声アシスタント」という3つの特長を持っています。

シニアモード適用後のタオバオを開くと、その違いは歴然です。検索後に表示される商品リストが、通常は左右2列になっているところ、見やすく1列で並んでいます。商品の名称も大きな文字で表示され、画像も通常より拡大されます。文字入力が苦手な方も安心、音声入力で検索ワードを入力することができますし、困った時にはお客さまセンターの担当者に連絡することもできます。

 

写真左はシニアモードのタオバオ・アプリ画面。商品画像やテキストが大きく、見やすく表示されている。写真中央は薬品の撮影購入機能を使用した画面。撮影されたものと同じ薬品を売るネットショップが表示されている。写真右は用法など薬の注意書きに関する情報の表示画面。

写真撮影だけで薬が買える

高齢者の皆さんが困っている問題、その一つに「薬の購入」があります。いつも使っている薬が切れてしまったので薬局に行くも、薬の名前が長すぎて覚えられず購入できなかったと嘆く人は少なくありません。

この悩みを解決するために新たに実装されたのが、「拍藥瓶買藥」(容器を撮影すれば薬を購入できる)機能。タオバオ・アプリの撮影機能を使って、薬の容器を撮影すると、アプリが何の薬なのかを認識し、購入ページへと誘導してくれます。また、その薬がどんな病気に有効なのか、用法用量の基準、どんな場合には服用できないのかといった参考情報も表示されます。

実のところ、タオバオは過去10年間にわたり、高齢者向けの機能をいくつも実装してきました。たとえば、「親子アカウント」ではデジタルに詳しい子ども世代が親をサポートし、高齢者が銀行口座をアプリに登録しなくても決済できる仕組みを導入しました。スマートフォンの小さな画面で文字を読めない方には、読み上げ機能が便利です。また、高齢者向けのオンデマンド講座、オフライン講座の開講や、パンフレットの配布、デジタル生活支援ホットラインといったサービスも導入してきました。

アプリ連動の配車ステーションを整備

高齢者向けサービスに取り組んでいるのはタオバオだけではありません。アリババグループの地図アプリ「高徳地図」(AutoNavi)は配車アプリ機能を使いこなせない人のために、配車ステーションを開設するプロジェクトに取り組んでいます。

配車アプリの利用では通常、自分の現在地と目的地とを入力して車を呼びますが、スマートフォンに慣れていない高齢者にとってはなかなか難しい操作です。そこで高徳地図は住宅地や病院、公園など高齢者が車を呼びたい場所にステーションを構築します。ステーションといっても簡単なディスプレイが置いてあるだけですが、そこに掲示されているQRコードをアプリで読み込むと、タクシーなど呼んだ車がすぐにその場所に駆けつけてくれます。後は目的地を運転手に伝えるだけ。現金での支払いもOKですから、モバイル決済が使えない人でも安心です。この配車ステーションは今後、中国全土の300余りの都市で1万カ所を設置する予定です。

すでに北京朝陽区の一部住宅街では利用が始まっていますが、高齢者が外出しやすくなったと評判は上々です。配車アプリは車が迎えに来てくれるのが魅力ですが、現在地の入力を間違えたり、車が来ても高齢者が気づかなかったりというトラブルが多かったのです。ステーションがあれば、そうした問題はなくなります。

高徳地図は他にもアプリで「シニアサポートモード」という機能も用意しています。こちらは複雑な入力は不要で、ボタンを押すだけで車を呼び出せるというもの。近くにステーションがない場合でも、高齢者は配車アプリでタクシーを呼べるわけです。

機能拡充だけではなく、費用面での支援にも取り組んでいます。配車アプリを使った通院を対象に交通費の一部を補助するキャンペーンを行っています。今後5年間にわたり、毎年1,000万回の補助金を拠出します。

 

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