アリババグループ、2022年4-6月期の決算を発表
アリババグループ・ホールディング・リミテッド(銘柄コード:NYSE:BABA、HKEX:9988、以下「アリババ」「アリババグループ」「グループ」「当社」)は2022年8月4日、2022年4-6月期(2023会計年度第1四半期または当期)の決算を発表しました。
※アリババグループの2023会計年度は、2022年4月1日から2023年3月31日までの期間です。
※下記、1中国人民元=20円(2022年8月現在)で日本円に換算しています。日本円は参考値です。
アリババグループ会長兼CEOダニエル・チャン(張勇)のコメント
「本四半期、当社はマクロ環境のさまざまな変化に積極的に対応し、引き続きお客様のために価値創造能力を強化することで常に長期的な戦略に注力してきました。4月、5月こそ成長率が鈍化しましたが、6月にはすでに改善の兆しが見られています。質の高い消費者基盤と、顧客の多種多様なニーズを満たすことができる多様な事業基盤があるため、これからの長期的な成長に対して自信を持っております」
アリババグループ最高財務責任者(CFO)トビー・シュウ(徐宏)のコメント
「頻発する新型コロナウイルスの流行にもかかわらず、当社の売上高は前年同期比で堅調を維持しています。継続的に運営効率を改善し、コスト最適化に注力することで、主要な事業の赤字幅の縮小に成功しました。最近、当社は香港証券取引所にプライマリー上場を申請する計画を発表しました。香港とニューヨークでの重複上場を実現することで、より多くの投資家を迎えられるようになります」
当期、グループの売上高は2,055億5,500万元(約4兆1,111億円)で、前年同期比で堅調を維持しています。2022年6月30日までの12カ月間、1億2,300万人を超える年間アクティブ・コンシューマー(AAC)が、タオバオとTmallでそれぞれ1万元(約20万円)以上消費し、過去12カ月と比較して約98%のユーザーがアクティブ・コンシューマーとしてサービスを利用しています。当期、グループには2,500万人の88VIP会員(=アリババグループ各種サービスの年間会員資格)がおり、会員の年間平均消費額は5万7,000元(約114万円)以上となっています。
当期の純利益(非GAAPベース)は前年同期比30%減の302億5,200万元(約6,050億円)、希薄化後ADS1株当たり利益(非GAAPベース)は前年比29%減の11.73元(約234円)となりました。調整後EBITDA(非GAAPベース)は前年比15%減の411億1,400万元(約8,222億円)、調整後EBITA(非GAAPベース)は前年比18%減の344億1,900万元(約6,883億円)となりました。
自社株買い計画では、当期、米国預託株式3,860万株(約3億870万普通株に相当)を約35億米ドルで買戻しました。2022年6月30日現在、グループの自社株買い計画のうち120億米ドルは未使用のままです。2022年6月30日現在、グループの現金、現金同等物及び短期投資額は4,531億9,300万元(約9兆638億円)です。
当期、中国コマース事業の売上高は1,419億3,500万元(約2兆8,387億円)でした。新型コロナウイルス感染症の流行による影響を受けつつも、特にタオバオとTmallは、購買力の高い消費者に対して高い顧客維持率(リテンション率)を保ち続けています。5月下旬に物流ネットワークの正常化と、天猫618ショッピング・フェスティバルの牽引もあり、流通総額(GMV)は回復しています。天猫618ショッピング・フェスティバルではGMVが前年同期比で増加となり、88VIP会員の力強い購買力を示すものとなりました。
タオター(淘特、旧・タオバオ特価版)は、より多くの製造者がタオバオとタオターで消費者に対して直接販売(M2C=manufacturing to consumer)ができるよう、引き続きサポートしています。当期、タオバオとタオターのM2C商品による流通総額(GMV)は前年同期比で40%以上増加しました。当期、タオターはユーザー獲得のためコストを最適化し、またアクティブ・コンシューマーの平均購入額を増やすことで、赤字幅を前年同期比及び前四半期比で大幅に縮小しました。タオツァイツァイ(Taocaicai)は、人口密度が高く、購買力の高いエリアに迅速に参入しました。当期、タオツァイツァイのGMVは急速に成長し、前年同期比で200%以上となっています。また、価格戦略の最適化、購入額の拡大、運営コストの削減により、タオツァイツァイの赤字幅は前四半期比で大幅に縮小されました。
当期、グループの直販・その他売上高は前年同期比で8%増の647億1,400万元(約1兆2,942億円)でした。これは主にフーマー(盒馬鮮生)、Tモールスーパー(Tmall Supermarket)、サンアート・リテールのオンラインでの食品、雑貨、日用消費財の売上牽引によるものです。当期、フーマーとサンアート・リテールのオンライン売上高はそれぞれ68%と36%でした。当グループは、複数の直営事業とオンデマンド配送施設を備えており、将来的には、食品、雑貨、日用消費財のオンデマンド配送に対する消費者のニーズに、より応えることができるようになると確信しています。
グローバルコマース事業の当期売上高は前年同期比2%増の154億5,100万元(約3,090億円)となりました。Lazada、AliExpress、Trendyol、Daraz等のプラットフォームを含むグローバル小売事業の当期売上高は105億2,400万元(約2,104億8,000万円)でした。当期、Lazadaの東南アジアにおける注文数は、前年同期比10%増で、堅調な成長を記録しました。東南アジアでは新型コロナウイルスに関連した制限が解除され、オフラインでのショッピングが回復したため、注文数増加は前年同期比で鈍化しています。Lazadaは継続的に運営効率を改善することで、当期の赤字幅を前年同期比で縮小しました。また、当期のTrendyolの総注文数は前年同期比46%増でした。主な消費者グループにさらに良いサービスを提供するために、Trendyolは継続的に高品質の地域密着型サービスの拡大と投資を実施しています。2022年6月30日現在、Trendyolはマーケットプレイス型プラットフォームを通じて22万5,000以上のマーチャントにサービスを提供しています。
グローバル卸売事業では、当期の売上高は前年同期比で12%増の49億2,700万元(約985億円)となりました。この成長は主に越境ビジネス関連の付加価値サービスの売上増加によるものです。Alibaba.comの取引額は前年同期比16%増で、主に工業製品取引の堅調な成長によるものです。
ローカルサービス事業の売上高は前年同期比5%増の106億3,200万元(約2,126億円)でした。度重なる新型コロナウイルス感染症の流行による予防措置の影響を受け、当期の総注文数は前年同期比で5%減となりました。デリバリー業務では、ウーラマ(餓了麼)において戦略都市における顧客維持率と経営効率の改善と、デリバリー以外のサービスを引き続き拡大させることに注力しました。当期、ウーラマのデリバリーサービス以外の注文数は堅調に増加しています。当期、ウーラマのユニットエコノミクス(1受注あたりの収益性)はプラスとなりました。これは主に平均注文額が前年同期比で増加し、ユーザー獲得にかかるコストの最適化と注文あたりの配送コストの削減に継続的に注力したことによるものです。
Amap(高徳地図)やFliggy(フリギー)を含む「目的地型」事業では、Amapが6月に力強い成長を遂げ、同サービスのアクティブユーザー数が1億2,000万人以上になりました。これは主に新型コロナウイルス感染症の影響が緩和したことと、ローカルコンテンツとサービス施設を継続的に増やすことにより、ユーザーが地元のマーチャントを見つけ、連絡し、訪問できるようになり、Amap経由の注文数が大幅に増加したためです。
ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の当期の売上高(アリババグループ内の事業間取引控除前)は前年同期比5%増の121億4,200万元(約2,428億円)で、これは主に中国コマース事業に提供するフルフィルメントソリューションと付加価値の高いサービスにより売上が成長したためです。当期、ツァイニャオ・ネットワークの総売上の70%は外部顧客からのものでした。中国では、ツァイニャオは引き続き宅配サービスを含む付加価値サービスを拡大し、さらにツァイニャオ・ステーションにおける顧客体験を向上させることにより、中国コマース事業と補完し合いながら発展しています。2022年6月30日現在、地方や大学等を除く70%のツァイニャオ・ステーションが宅配サービスに対応しています。
ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)はエンドツーエンドの物流機能を強化することで、スマート物流ハブ、長距離輸送網、仕分けセンター、ラストマイルネットワークを含む国際的な物流基盤を拡大し続けています。2022年7月、ツァイニャオ・ネットワークは新しい国際仕分けセンターをイスラエルに設置し、同社の海外仕分けセンターは合計で10か所になりました。当期、ツァイニャオは世界中の消費者の配送体験改善のために、スマートキャビネット機能の充実、ボルトオン買収、ヨーロッパでのラストマイル配送能力の強化など、機能性を高めるための投資を続け、さらに越境ECを展開するマーチャントをサポートしました。現在、ツァイニャオ・ネットワークはヨーロッパで7,700台以上のスマートキャビネットを設置しています。
クラウド事業の当期の売上高(アリババグループ内の事業間取引控除前)は前年同期比で10%増の176億8,500万元(約3,537億円)でした。Alibaba Cloud(アリババクラウド)の売上高が前年同期と比較して増加していることは、主に金融サービス、公共サービス、電気通信業者の牽引により、非IT業界全体が回復傾向であることを反映しています。当期、IT業界以外の顧客からの売上高はAlibaba Cloudの総売上高(アリババグループ内の事業間取引控除前)の53%を占め、前年同期比で5ポイント以上の増加となりました。当期、クラウド事業の調整後EBITA(非GAAPベース)は2億4,700万元(約49億円)で、これは主にグループの技術開発への投資額増加によるものです。
Alibaba Cloud(アリババクラウド)は、顧客企業により良いサービスを提供するために、開発と拡張を続け、パートナーに対するサポートを継続しています。Alibaba Cloudは、エコシステムをさらに強化するための施策を講じており、エコシステムパートナーの収益貢献が拡大すると予測しています。また、クラウドネイティブ・データセンター向けに自主開発したクラウド基盤であるクラウドインフラプロセッシングユニット(CIPU)を発表し、ネットワーク、ストレージ、セキュリティ、コンピューティング能力など、複数のパフォーマンスの向上を実現させました。CIPUシステムは、飛天(Apsara)クラウドオペレーションシステムとともに、次世代のクラウドコンピューティング基盤の中核となることが期待されています。2022年3月の新型コロナウイルス感染症の再流行以降、中国でハイブリッドワークモデルがより広範に受け入れられ、企業や学校、公共機関などがDingTalk(釘釘)の製品やサービスを活用するようになったことが、顧客生涯価値と粘着性を高める要因となりました。
デジタルメディア及びエンターテインメント事業の当期の売上高は72億3,100万元(約1,446億円)でした。当期におけるヨウク(Youku)の1日平均有料会員数の規模は、前年同期比15%増となりました。この背景にあるのは、主に良質なコンテンツと、88VIPメンバーシッププランによる継続的な貢献です。ヨウクはコンテンツや制作能力への規律ある投資を通じて経営効率の改善を継続しており、当期で5期連続、前年同期比で赤字幅を縮小しています。
※本原稿は、2022年8月4日に発表されたアリババグループ本社プレスリリースの原稿を抄訳したものです。本記事の正式言語は中国語であり、その内容および解釈については中国語を優先します。
関連記事:
2023会計年度の年次報告書の発表に際して、アリババグループ会長兼CEO ダニエル・チャンから、株主の皆さまへのメッセージ
シェアする
リンクがコピーされました