2022年天猫ダブルイレブンで、バーチャルインフルエンサーが中国のデジタルネイティブ世代を魅了
概要:2022年天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル(以下、天猫ダブルイレブン)では、出店企業がバーチャルインフルエンサーを起用し、中国のデジタルネイティブ世代を惹きつけるべく、様々なメタバース戦略を打ち出しています。バーチャルインフルエンサーに関する最新の動向と企業の活用事例をご紹介します。
アリババ発のバーチャルインフルエンサーAYAYIとNoahは、出店企業が認知度を高めるためのあらゆる支援を提供することで、中国のデジタルネイティブ世代から大きな支持を集め、ブランドアンバサダーとしての地位を確立しつつあります。
昨年5月に、デジタルヒューマンIPの運営・制作会社Ranmai Technologyとアリババが共同で開発したAYAYIは、真珠色の髪と穏やかな性格で知られる中国初のバーチャルインフルエンサーで、SNSのフォロワーは100万人を超えています。
10月21日から24日にかけて上海で開催されたメタバースをテーマにしたデジタルアート展にて、AYAYIはホスト兼キュレーターを務め、音、光、アニメーションを駆使した没入型体験イベントを成功に導きました。
アリババのデジタルマーケティング部門アリママにてデジタルマーケティングを担当しているマネージャーの胡海勇(フー・ハイヨン)は、「バーチャルインフルエンサーはマーチャントのデジタル事業を強化し、若年層の消費者へのアプローチを容易にしています」と述べています。
バーチャルインフルエンサーに特化した会社Virtual Humansによると、バーチャルインフルエンサーは、2015年に世界でわずか9人だったのが、2022年には200人以上までに増加しています。また、中国ではバーチャルアイドル産業が2019年から2021年にかけて2倍以上になったことが、市場調査会社iResearchのデータで明らかになっています。
DIOR(ディオール)やGUCCI(グッチ)などの高級ブランドは、バーチャルランウェイショーも開催しており、AYAYIはアリババのTmallラグジュアリー・パビリオン(天猫奢品)のアンバサダーとして、LOUIS VUITTON(ルイヴィトン)やBURBERRY(バーバリー)など30以上の高級ブランドと提携しています。
ターゲットに合わせて理想のインフルエンサーをカスタムメイド
上海にあるChina Skinny社の創設者であるMark Tanner氏は、「スポーティ、真面目、おしゃれ、芸術的など、さまざまなターゲット層の心を掴むバーチャルアイドルを開発することが可能になります」と述べています。
アリママの最新作として登場した、長身のイケメン男性バーチャルアイドルNoahは、国内ソーシャルメディア、ウェイボー(微博)での消費者アンケートをもとに開発されました。21,000人以上のユーザーが性格、特技、容姿などに関して好みを投票し、黒髪でK-POPスターのようなダンスができるNoahが誕生しました。
Daxue Consulting社のアナリストであるAntonello Germano 氏は、「バーチャルアイドルは従来のインフルエンサーを完全に置き換えるものではなく、ブランドが起用するインフルエンサーを多様化するひとつの方法です」と語っています。
ライブストリーミングにおけるバーチャルインフルエンサーの活躍
9月に行われたアメリカのファッションブランドTommy Hilfiger(トミーヒルフィガー)のライブストリーミングでNoahは、1時間以上消費者と対話をしたり、ゲストと一緒に踊ったりしました。
このNoahを起用したライブストリーミングは670,000人以上の視聴者により視聴され、同ライブストリームによって生み出されたトミーヒルフィガーの1日の流通取引総額(GMV)は、同社の1日の平均GMVの4倍近くになりました。
「中国のEコマースはより体験型であり、ブランドは消費者のために魅力的なコンテンツを作ることに多大なリソースを費やしています」とMark Tanner氏は話します。
バーチャルインフルエンサーの今後
急速なデジタル化とアプリケーションの広がりを受け、バーチャルインフルエンサーは中国のデジタルネイティブ世代にとって新しい常識になりつつあります。アリババ発のバーチャルインフルエンサーは増え続けており、彼らの役目は消費者エンゲージメントにとどまりません。
今後、出店企業やブランドはバーチャルヒューマンをカスタマーサービスやライブストリーマー、サポートスタッフとして、Eコマースの枠を超え、様々な場所で起用するようになるでしょう。
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