持続可能な発展のために、ユニリーバとアリババが提携を深める

解説:
温室効果ガスの排出量削減は、今や世界的な課題となっている。ビジネスの成長と持続可能な発展をいかに両立させるか、今や世界の大企業にとっての最重要タスクだ。世界25億人の消費者を擁するユニリーバとアリババグループ、この2社は、共同でいかにエコなビジネスを構築できるかの模索を始めている。

英国の食品・日用品大手のユニリーバは、中国EC(電子商取引)大手アリババグループと持続可能な発展に関する協力をアップグレードすることを発表しました。

昨年開催された第3回中国国際輸入博覧会において、両社はすでに「プラスチック利用削減アクション」と、AIに基づく回収システムの開発を発表しましたが、さらにグリーン・サプライチェーン、グリーン・デジタル・マーケティング、グリーン・ディスプレイなど複数の分野で緊密に協力していきます。これにより、ビジネス的価値と社会的責任を両立させた、新たなビジネスモデルを共同で構築し、日用品業界における、エコで持続可能な発展をリードしていきます。

ユニリーバのアラン・ジョープ(Alan Jope)最高経営責任者(CEO)は、「戦略協力パートナーであるアリババと、エコロジーの分野で協力できることを光栄に思います。両社の協力は持続可能な発展のモデルケースになることは間違いありません」と話し、「AI(人工知能)を活用した回収システムを共同で開発しました。これは、再利用可能なプラスチックを自動的に認識し分類するもので、持続可能な発展のための取り組みです」と、その意義を明かしています。

回収システムは、モバイル決済アプリ「アリペイ」を使って起動できます。ペットボトルなどのプラスチックゴミをAIで自動的に分類した後、再生処理センターに輸送します。再利用可能なゴミは、処理を経て再利用されます。

アリババグループ会長兼CEOのダニエル・チャン(張勇)は、「我々のプラットフォームが持つ独自の価値を今後も保ち、持続可能な発展という理念をプラットフォームのガバナンスに融合させます。エコを奨励し、クライアント企業とともに環境保護に取り組みます」と話しています。

AI回収システムは現在、20台製造され、ユニリーバのオフィス、上海市や杭州市の住宅地、大学キャンパス内の小売店舗「天猫校園」に設置されています。今後も設置を進め、1,000台以上を稼働させる予定です。

グリーンなショッピングに向けて

11月11日に開催された世界最大のショッピング・フェスティバル「天猫ダブルイレブン」では、物流を担うアリババ傘下の菜鳥網絡(ツァイニャオ・ネットワーク)が、エコ包装材料、物流拠点の集約、包装材の回収というグリーン・サプライチェーンに取り組みました。ユニリーバもこの取り組みに加わり、プラスチックを使わない再生可能資源を使ったグリーン物流ソリューションを採用しました。

また、アリババのECプラットフォーム「天猫(Tモール)」は天猫ダブルイレブンにおいて、エコ製品を集約したオンライン特設売り場「グリーン会場」を初めて立ち上げました。低炭素商品の供給拡大によって、消費者を低炭素消費へと導き、セールにおけるエコ消費のあり方を模索する狙いです。ユニリーバは今後、Tモール及びアリババの直営ネットストア「天猫超市(Tモール・スーパー)」、小売チェーン「大潤発(RT-Mart)」と協力し、日常的なエコ販売に取り組みます。

協力は東南アジアに拡大

両社の協力は中国を飛び越え、東南アジアにも拡大しています。アリババグループが擁する東南アジアのECプラットフォーム「Lazada(ラザダ)」では、ユニリーバと持続可能な発展に関するパートナーシップを調印しました。

消費者が簡単にエコ商品を選べるようにすること、そしてLazadaとユニリーバの共同の努力によって、デジタルエコノミーにおける資源の浪費と温室効果ガスの排出を削減することが目的です。

 

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