元ハンターが野生動物の守り手に、パンダを救うデジタル技術

解説:
中国は自然動物の宝庫だ。しかし、広大な地域を見回り、密猟者たちから動物を守るのは容易ではない。いかに少ない人手で動物たちを救うのか。近年、急激な進歩を続ける通信やAI(人工知能)を活用した、動物保護のDX(デジタル・トランスフォーメーション)が始まっている。

四川省綿陽市平武県に位置する老河溝保護区は、野生のジャイアントパンダをはじめとする、さまざまな野生動物の宝庫として知られています。この地を守る巡視員の一人である甘明東は日々、山谷を10キロメートル以上も駆け回り、密猟者から動物たちを守っています。また、野生動物の資料を収集し、科学研究の手助けをしています。

元ハンターの転身

2000年代はこの地でも密猟が盛んでした。今は巡視員として動物を守っている甘も、かつては猟師の一人でした。当時、まだ10代という若さで狩りを始めたといいます。しかし、たくさんいた動物たちは激しい密猟の末に急激に数を減らしていきます。

写真は甘明東

故郷の動物たちに絶滅して欲しくない。自分の子どもたちも動物たちを目にすることができる未来であって欲しい。そう思った甘はハンターから自然保護へ、真逆の道に転身しました。かつてはハンターだった甘は密猟者たちの手口を熟知し、隠された罠にも気づけます。

巡視員の仕事は決して楽ではありません。ひとたび山に入れば、長期にわたり妻子と離れた孤独な生活が続きます。山々を越え密林を歩く日々。甘の走行距離はで1700キロメートルにも達しています。精神的にも肉体的にもタフな仕事ですが、美しい自然とそこに住む動物たちを守る使命を果たしているという誇りから、後悔したことはありません。

中国の野生動物を守る巡視員たち。中国全土の12,000カ所あまりの保護区で、およそ5万人以上がこの大事な仕事を果たしています。

パンダを守るDX

巡視員たちの仕事ですが、以前は紙とペンで日誌をつけていました。2018年からアリババクラウドは桃花源生態保護基金会に協力し、老河溝保護区にスマート巡視保護システムを設置しました。データの収集、アップロード、分析、バックアップがリアルタイムに実施できるほか、AI(人工知能)による情報の整理が可能です。これにより情報整理の時間が80%も短縮されました。

写真は保護区に設置されたカメラで撮影された野生動物

また、保護区各所に設置された赤外線カメラによって、大量の記録写真が撮影されています。以前は撮影に加えて、写真にとらえられた動物の分類、写真整理に時間がかかっていましたが、アリババクラウドのAI画像識別システムは自動でこの仕事をこなします。20種類以上もの野生動物を99%という高精度で識別可能です。

老河溝保護区とは中国初の社会公益型保護区で、地方自治体ではなく、桃花源生態保護基金会によって管理されています。アリババ公益基金会はパートナーとして支援を行っています。

 

 

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解説・翻訳協力:高口康太、編集:AlibabaNews 編集部

 

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