賞味期限間近の食品が中国の若者に人気に。食品ロス削減にも役立つか

タオバオ(淘宝)(アリババグループが運営する中国最大のソーシャルECプラットフォーム)で「臨期食品(賞味期限間近の食品、以下臨期食品)」と検索すると、定価8元(約135円)のポテトチップスが3.5元(約59円)、定価32元(約542円)のコーヒーが5.8元(約98円)と表示されます。これらの食品は通常、賞味期限の残りが半分以下になっているものの期限切れではないことと、価格が大幅に割引されているという2つの特徴があります。

 

タオバオの「隠れた巨大市場」となる臨期食品

 

昨年、210万人もの人がタオバオでこの「臨期食品」を購入しており、多くの若い消費者から人気を得ています。タオバオで販売されている「臨期食品」の商品ページのコメント欄には、「お宝ショップで毎月1度は買いに来ています」、「30元でこんなに買えるなんて、お買い得すぎる!」など、リピーターからの書き込みが頻繁に見られます。

豆瓣(ドウバン、中国の若者の間で流行しているコミュニティサイト)では「我愛臨期食品(賞味期限間近の食品が大好き)」グループが立ち上がりました。わずか半年で3万人以上のメンバーが集まり、日々、「臨期食品」をオンラインで購入するコツや経験を共有し合っています。

4月12日、タオバオと科普中国が共同で発表した「臨期食品」の豆知識によると、ポテトチップスなどの膨化食品*、インスタントラーメン、ドリンク、ビスケットなどが「臨期食品」の売れ筋となっています。(*膨化食品…食品の内部に閉じ込められた気体の体積が増加する、あるいは内部で気体が発生することにより、大きく膨らむ食品。スポンジケーキ、パン、あられ、シュークリーム、饅頭、ポン菓子など。)

賞味期限に応じた値引き販売を専門とするタオバオ店舗、「好食期」を立ち上げた雷勇氏は「皆さんの想像する『安物買い』とは異なり、お店の常連客は若いホワイトカラーや大学生がほとんどです。一定の判断力があり、理性的な判断でコストパフォーマンスを求めて購入されています。臨期食品という商品カテゴリーを見つけると、どんどん”お宝”を発掘していくのです」と述べました。

「臨期食品」のタオバオ商品ページに書き込まれたコメント

「臨期食品」を”お宝”と考える人もいれば、「賞味期限が迫っていると心配」と思う人もいます。「臨期食品」は本当に安全なのでしょうか? 華東理工大学FDA研究センターの副所長である劉少偉教授は次のように述べています。「臨期食品は、賞味期限切れ食品ではありません。期限内で適切に管理していれば品質と安全性に問題はなく、安心して購入できます。」

実際、中国スナック食品業界は毎年約5%の在庫過多に直面しており、賞味期限まで半分以上を過ぎた商品を再度市場に流通させるのは困難となっています。2019年にiiMedia Researchが発表した「臨期食品」に関するデータによると中国スナック食品業界の市場規模は1兆556億元(約17.9兆円)に達しており、2020年には1兆1,000億元(約18.7兆円)を超えると予想されてします。その状況の中で、膨大な在庫過多を適切に処理できなければ、大量のフードロスを招くことになります。しかし、「臨期食品」の販売により、これらの食品にチャンスが巡って来ているのです。

※日本円は、2021年8月時点の換算レート、1人民元=17円にて計算しています。

 

 

 

 

 

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