AIにデジタル・エコポイント、テックで実現するアリババの「脱炭素」
解説:
アリババグループは昨年、ESGと共同富裕を社会的責任の二大戦略として採用した。EC(電子商取引)は便利な一方、輸送やダンボール包装による環境負担は年々増している。また、新時代のビジネスに欠かせないクラウドコンピューティングの電力消費量も急増している。こうした課題をいかに解決するべきか。アリババグループは、国際的に求められている基準よりもさらに野心的な目標を発表している。
アリババグループは昨年、脱炭素を企業ミッションに採用しました。2030年までのカーボンニュートラル実現を計画しています。
温室効果ガス削減の世界的基準である「GHGプロトコル」では、自社が所有、管理している排出源から発生する温室効果ガスを算出するスコープ1、購入する電力の発電に伴う排出量も算出するスコープ2、原材料の製造や製造した商品の輸送、販売、廃棄など川上川下での排出量を算出するスコープ3という、3つの基準が設定されています。
これらに加えて、アリババグループでは、エコシステムに関わるパートナー企業の排出量を算出する「スコープ3+」という基準を独自に提案しています。すなわち、パートナー企業を含むエコシステム全体が一丸となって二酸化炭素排出量削減に取り組む方針です。2035年までにエコシステム全体で累計15億トンの二酸化炭素排出量削減を実現する目標を掲げています。
アリババ自身の取り組みとは
脱炭素に向けての息の長い取り組みがついに始まりましたが、アリババグループは以前から企業活動のさまざまな曲面を想定したエコ・ガイドラインを策定してきました。まずは自社から脱炭素に取り組もう、という考えです。
本社キャンパスでは、セントラル空調システムをスマート化しました。気象条件、室内温度、人流などの条件から、自動的に空調をコントロールします。これにより、エネルギー消費量は約11%軽減しました。また、現在ではLED照明、AI(人工智能)による照明コントロール、太陽電池照明システムの導入を進めています。
出張時の交通機関利用による二酸化炭素排出量も削減する必要があります。中国各地にあるアリババグループのオフィスでは、駅までのシャトルバスを運行しています。マイカーや配車アプリではなくこのシャトルバスを使うことで、従業員は脱炭素に貢献できます。さらに、「歓豆」(ホワンドウ)と呼ばれるアリババ社内で運用されている出張関連のエコポイントを獲得できる仕組みを開発しました。歓豆を貯めれば、ギフトなどと交換できます。エコな行動をとることで特典がもらえる、楽しい脱炭素の取り組みです。
「歓豆」以外にも、「有心」(ヨウシン)という従業員向けエコ奨励プラットフォームがあります。人がいなくなった時にオフィスの照明を消したか、資源ゴミのリサイクルに協力したか、コピーは両面にしているか、エレベーターではなく階段を使ったか。こうした一つ一つのアクションにポイントを付与することで社内のエコ活動を「見える化」する仕組みです。「千里の道も一歩から」と言いますが、一人一人が身近なエコ活動に取り組むことが大きな力になると、アリババグループは確信しています。
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