買い物を通じてより良い社会を、アリババ主催のショッピングフェスティバル「天猫ダブルイレブン」が今年も開催

解説:

アリババグループのショッピングセール「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」は、今や世界最大のショッピングセールへと成長した。販売額の大きさだけではなく、新たなマーケティングツールや消費カルチャーの普及など、人々の行動や考え方を変える契機としての意義も大きい。今年もエコロジーや社会的弱者への支援などの取り組みがフィーチャーされている。

写真は10月20日、中国消費者向けの天猫ダブルイレブンのキックオフ・イベント

 

アリババグループが主催する年間最大のショッピングセール、それが「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」(以下、「天猫ダブルイレブン」)です。今年は最多記録の更新となる29万ブランドが参加します。Tモールは9億人超の消費者に向けて、1400万種以上の割引き商品が販売されます。

今年で13回目を迎えますが、たんなるセールを超えた、社会的意義の大きなイベントへと発展しました。アリババグループ最高マーケティング責任者(CMO)のクリス・タン(董本洪)は、天猫ダブルイレブンの意義について、次のように話しています。

「天猫ダブルイレブンは中国の強大な消費力を示すイベントであり、同時に世界の小売業を発展させるチャンスとなってきました。アリババグループは消費者、マーチャント(出店者)、ブランド運営企業などのパートナーと手を携えて、包摂的恩恵と持続可能な発展を促進し、新たなダブルイレブンを切り開いていきます」

写真は10月20日、キックオフ・イベントに登壇したクリス・タンCMO

天猫ダブルイレブンは10月20日午後8時から予約販売が始まりました。11月11日までの22日間にわたりセールは続きます。予約した商品を決済できる販売期間は、11月1日~3日と11月11日の2回が用意されています。

天猫ダブルイレブンといえば、お得な値引きが毎年の注目ポイントです。今年の割引き条件は「200元(約3500円)ごとに40元(約700円)引き」(※1)となりました。昨年の「300元(約4650円)ごとに30元(約465円)引き」(※2)と比べて使いやすいのが特徴です。

なお、アリババグループの有料会員である「88VIP会員」にはクーポンや一部店舗での5%オフの特典が提供されます。

今年のセールでは、昨年同様にライブコマース(動画配信とネットショッピングを融合した販売方式)が主要な販売方式です。販売者と消費者が双方向にコミュニケーションできるため、販売促進に加えてブランドイメージの向上が期待できるためです。アリババグループのライブコマース・プラットフォームである「タオバオライブ」では、セール期間中に700人もの有名インフルエンサー、著名人、企業代表が参加します。

また、タオバオ・アプリには新機能が実装されました。予約販売期間中に、アプリのショッピングカートに保存した購入予定商品を、ソーシャルメディアを通じてシェアできます。「ソーシャルショッピング」という新たなユーザー体験を強化する狙いです。

エコと低炭素がテーマに

2021年のダブルイレブンでは、「エコなライフスタイル」がテーマとなりました。省エネ製品や低炭素製品を展示する専門サイトが用意されたほか、対象商品を購入する際に利用できる「エコショッピングクーポン」が合計1億元(約17億5000万円)相当も発行されます。

アリババグループ自身も環境への取り組みを強化しています。最新の省エネ機能を実装したのが河北省張家口市張北県のアリババクラウド・データセンターです。天猫ダブルイレブン期間中に3000万キロワット時近い電力を消費しますが、高い省エネ性能によって通常のデータセンターと比較して、二酸化炭素排出量を2億6000万トンも削減できる見込みです。

アリババグループの物流ソリューション企業であるツァイニャオ(菜鳥)は梱包材の削減に取り組んでいます。11月1日から全国20都市の1万超の菜鳥(ツァイニャオ)・ステーションで、リサイクル可能な包装材が導入されます。さらに電子伝票やAIによる適切なサイズのダンボール選択などの技術活用で、エコ・テクノロジーを追究しています。

エコと並んで、ツァイニャオが力を入れているのは、地方の生産者支援です。中国全土の30を超える製造業集積地、農業生産地に倉庫を開設し、さらに29省の1000県に合計2000万平方フィートの共同配送センターを構築しました。これらの倉庫、共同配送センターを通じて、地方の製造業や農家は都市の消費者に直接販売できるようになります。

 

ショッピングを通じてチャリティーを

もう一つのテーマが「社会的弱者の支援」です。

タオバオ・アプリはダブルイレブンを前に「シニア版」を実装しました。大きなフォントとシンプルな画面、音声アシスタントなどの機能が組み込まれており、高齢者でも使いやすいのが特長です。高齢者でも楽しめる、シンプルなゲームも搭載されています。ゲームをクリアすると、割引きクーポンがもらえる。ショッピングをもっと楽しくする工夫です。

また、アリババグループは2006年から「公益宝貝」と呼ばれるチャリティー・プロジェクトを実施してきました。2021年は、一人暮らしの高齢者、地方に住む留守児童(両親が遠隔地に出稼ぎに行き、農村に取り残された子ども)、低所得層が主な支援対象となりました。

アリババの「公益宝貝」チャリティー・プロジェクトはどのような仕組みなのでしょうか。有志のネットショップの運営者はチャリティー商品を設定し、販売額の一定の割合を寄付するか、一定額の寄付を行うことでプロジェクトに参加できます。ネットショッピングをする際に、チャリティー・プロジェクトに参加しているショップから購入する。そのちょっとした意識だけで、困っている社会的弱者を支援することができるわけです。

CMOのタンは、「便利で高品質な商品が買えるだけではなく、社会の発展のために長期的な取り組みを行っていきたい」と、チャリティー・プロジェクトへの姿勢を説明しています。

「公益宝貝」プロジェクト開始から15年で、累計800万超のショップ、7億人の消費者が参加しました。それにより合計473億回もの寄付が行われ、のべ4300万人を支援しています。チャリティー・プロジェクトへの参加実績はアプリから簡単に調べることができます。なお、寄付回数が一定回数に達したネットショップは、店舗サイトにプロジェクト参加バッジを表示することができます。

今年はチャリティー・プロジェクトに新機能が実装されました。それがソーシャル機能です。各ユーザーは自分の貢献履歴をソーシャルメディア(SNS)で友人たちにシェアすることができます。誰がどれだけ寄付したのか、情報をシェアすることによって、チャリティーの輪を広げることができます。また、ソーシャル機能を通じて貢献履歴が友人に閲覧されると、アリババグループは1元(約17.5円)を寄付します。自分の取り組みをシェアする、そのちょっとしたアクションが支援額を増やすことにつながるのです。

 

※1:2021年10月時点の換算レート、1人民元=17.5円で計算しています。
※2:2020年10月時点の換算レート、1人民元=15.5円で計算しています。

 

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