アリババ、脱炭素の取り組み方針を発表、技術開発を通じてカーボンニュートラルの実現へ
気候変動は、世界が直面している最も深刻な問題の一つです。2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を減少に転じさせ、2060年までのカーボンニュートラルを実現する目標を中国政府が掲げている中、アリババグループは「カーボンニュートラル時代」に向けた取り組み方針を発表しました。低炭素技術の開発を加速させ、グリーンで低炭素なライフスタイルを推進し、自然と生態環境の保護を全面的にサポートします。
アリババグループの最高技術責任者(CTO)チェン・リー(程立)によると、CO2排出のピークアウトとカーボンニュートラルに向けた進歩は新しい技術革新を生み出す可能性が高いと予測しています。技術革新の観点から、アリババは以下の3つの取り組みが必要不可欠だと考えています。
アリババグループ自身のCO2排出量削減
プラットフォームとしてパートナー・業界の脱炭素への支援
更なる広範囲なグリーンで低炭素な消費の促進
チェン・リーは、「アリババはカーボンニュートラル技術開発のロードマップを発表する予定です。カーボンニュートラルを達成するには、技術開発からアプローチする必要があり、一企業だけではなく社会全体の努力が必要です。」と述べています。
技術によるカーボンニュートラルの実現
カーボンニュートラルを実現するための方法の1つとして低炭素モデルが提案されています。中国のすべてのサーバーが液冷技術を採用した場合、1年間で三峡ダム(中国・長江中流域にある世界最大級のダム)の年間総発電量に匹敵する量の電力を節約できます。宅配便のスマート梱包アルゴリズムが普及すれば、中国の約500億個の小包を軽量化できます。各家庭に放置してある中古品を小売市場に流通させることができれば、一種のモバイルリサイクル工場となり、消費者のCO2排出を減少させることができます。
アメリカで世界初の電子計算機「ENIAC」が誕生した際、そのコストの高さから、需要は世界のコンピュータ市場で5台に満たないと予測されていました。しかし大規模なデータセンターが一般的に使用されるようになった現在では、コンピュータ処理に要するエネルギー消費に起因するCO2排出量をいかに削減するかが世界全体で取り組むべき課題となっています。
インターネット経済は低炭素経済を促進すると期待されています。過去数年間、アリババグループのクラウドコンピューティング部門であるアリババクラウドは、デジタルエコノミー時代のインフラストラクチャを構築し、継続的に低炭素生産を促進することに取り組んできました。アリババクラウドが2020年に中国・杭州に建設したスーパーデータセンターは、環境に優しいクリーンエネルギーを前年比266%増の4億1,000万kWh使用し、CO2排出量は削減率が前年比127%増となる30万トンの削減を実現しました。
当データセンターは世界最大の浸水式液冷サーバー群で、サーバーは特殊な冷却液に浸されています。電力使用効率(power usage effectiveness,PUE)は、最も効率が良いとされる1.0に近く、年間7,000万kWhの節電が可能です。節約した電力で中国・杭州の西湖周辺のすべての街灯に8年間電力を提供することも可能です。また、中国・広東省河原市のデータセンターは、深層湖水冷却方式を採用しており、2022年にはクリーンエネルギーを100%使用した、アリババグループ初のカーボンニュートラルを実現するデータセンターとなる予定です。
お客様と共にカーボンニュートラルを実現
新型コロナウイルス感染症の流行以降、アリババグループは中小企業がコストを削減し、効率を向上させるのに役立つデジタルインフラストラクチャの構築に取り組み、同時にさまざまな企業と協力して環境保護に取り組んでいます。
例えば、アリババは、鉄鋼生産を営む攀鋼集団の鉄鋼業界向けのソリューション開発を支援しました。現在、生産される鉄鋼1トンあたり1.28 kgの鉄を節約でき、毎年1,700万元の製鋼コストの削減が見込まれています。固体廃棄物処理事業に従事するグランドブルー・エンバイロンメント(翰藍環境)は、アリババの支援のもと、燃焼安定性を23%向上させました。アリババ傘下のモバイルオフィスソリューション 「DingTalk(ディントーク)」は、2020年末までに炭素排出量を1,100万トン削減しました。これは、6,300平方キロメートルの砂漠に約600万本の木を植えることに相当します。
グリーンで低炭素な消費を促進する
アリババグループは長年にわたり、グリーンで低炭素な消費の促進に取り組んできました。2014年以来、アリババ傘下の物流プラットフォーム「菜鳥(ツァイニャオ)」は1,000億個以上の小包に電子伝票を使用することで、約4,000億枚の紙を節約し、約200億元のコストを節約しました。菜鳥の段ボール回収のためのグリーンリサイクルボックスは、中国の31の省、自治区、直轄市を含む合計315の都市に設置され、1億個以上のカートンがリサイクルされています。アリババ傘下のフードデリバリーサービス「餓了麼(ウーラマ)」は食器なしオプションの注文を約4億件受け、炭素排出量を6,400トン削減しました。
2020年には、アリババグループ傘下のフリマアプリ「閑魚(Xianyu)」のユーザーが、家に放置されている約10億個の物品を商品として売りに出しました。2017年以来、閑魚上では5万トン以上の古着、約2,370万冊の古本、366万台の携帯電話、145万台の家電製品が購入され、リサイクルにつながりました。アリババが買収したデパート「銀泰百貨(インタイム)」はアプリ「喵街(ミャオジェー)」を通じたペーパーレスのキャッシュレジスター、電子請求書、電子受領書の使用により、約1,600トンの紙を節約しました。消費から物流、中古品の取引に至る全てのサイクルにおいて、消費のグリーン化が形成されています。
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