アリババのEコマースサービス「Tモール」、持続可能な消費を促すカーボンラベルを試験的に導入

解説:
消費者の間で環境問題への関心が高まる中、アリババグループのB2C EコマースプラットフォームであるTモールは、買い物における持続可能な選択を可能にするため、購入する商品が環境に与える影響を見える化したカーボンラベルの提供を開始した。2035年までに15億トンの二酸化炭素排出量を削減するという大きな目標に向かって、アリババは更なる一歩を踏み出す。

環境に配慮した製品の証であるカーボンラベル付きの電化製品が並ぶTモール(写真出典:アリババグループ)

 アリババグループのB2C EコマースプラットフォームであるTモール(天猫、Tmall、以下Tモール)は、消費者が商品購入の際に持続可能な選択ができるよう、商品が環境に与える影響を見える化したカーボンラベルの提供を開始しました。

 Tモールでは電化製品へのラベリングを今月から開始し、順次その他の商品にも追加していく予定です。また、Tモールの商品表示ページでは、エネルギー効率の高い製品を使用することで従来品と比較してどれほど二酸化炭素排出量が削減できるかを確認することができます。

 アリババの中国デジタルコマース部門の電化製品ESG責任者である孫艶(ソン・イェン)は、「購入における一人ひとりの判断が、どれほど環境に影響を与えているかを感じてもらい、環境に配慮した消費行動を促進したい」と述べています。

 省エネ家電として認定されるには、Tモールの審査を受ける必要があり、これまでに加盟店3,000社の30万点以上が省エネ家電製品として認定されています。

 二酸化炭素排出量が少ない製品を奨励することで、アリババは、2035年までに15億トンの二酸化炭素排出量を削減するという目標に一歩近づこうとしています。

 アリババグループの会長兼CEOであるダニエル・チャンは、同社がカーボンニュートラル目標を発表した際の声明にて、「私たちは、社会に革新的で良い変化をもたらす企業になりたい」と述べています。

環境に優しい商品に関するガイドラインの設定

 アリババはすでに、環境に配慮した交通手段の利用や中古品の購入を消費者に呼びかけています。また、あらゆる商品カテゴリーにおいて、持続可能な商品・ブランドと消費者と橋渡しをしています。

 コンサルティング会社PWCが2021年に行った調査によると、中国の消費者の72%が環境意識の高い企業からの商品購入を努めているものの、うち41%の消費者が環境に配慮した商品の選択肢が少ないことを、買い物をする際の最大の障壁として挙げていました。

 Eコマースプラットフォームとブランドは、商品の環境負荷を消費者に伝えるためにカーボンラベルを採用する方向にありますが、商品のカーボンフットプリントを測定するための広く普及した基準がないことなど、課題は残されています。この課題を解決すべく、アリババは業界全体のルール作りに取り組んでいます。

 先月、アリババは数社のパートナー企業とともに中国標準化研究院と協力し、環境配慮型商品に関するガイドラインを起草しました。3月31日から施行されている本ガイドラインは、商品の二酸化炭素排出量を測定する具体的な方法を定めており、アリババは自社Eコマースプラットフォームに同ガイドラインを採用した初めての中国企業になりました。

 米国環境保護庁(EPA)が運営する「国際エネルギースタープログラム」と同様のコンセプトに基づき、中国で認定されたエネルギー効率レベル1のエアコンは、従来品と比較して年間52.62kgの二酸化炭素排出量を削減することができます。

 「消費者の持続可能性に対する関心の高まりを受け、より多くのブランドが環境に配慮した製品開発を進めることを期待しています」とアリババの中国デジタルコマース部門の電化製品ESG責任者である孫艶(ソン・イェン)は呼びかけています。

 

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