観光スポットとして人気の博多屋台、QRコード決済をうまく活用している繁盛店

“キャッシュレスシティ”とも称される福岡市、導入から1年を経た屋台の実感を取材

2018年8月から開始された福岡市によるQRコード決済の実証実験をきっかけに、アリペイ(Alipay)の導入を始めた「博多っ子純情屋台 喜柳」様。数ある博多・天神(福岡市博多区・中央区)エリアの屋台の中でも、「モチモチぎょうざ」をはじめとした多彩でおいしいメニューと確かなサービスが評判の人気の屋台です。導入から1年。導入の経緯や実感している効果、今後に向けて感じている課題などについて、車長の迎敬之氏に取材をしました。

博多・天神で長く愛される「博多っ子純情屋台 喜柳」

喜柳は、自分が先代から継承してからは13年、店としては48年になります。場所の移動はしていますが、ずっと天神内で営業しています。

屋台は出来合いのものを出す店も多いのですが、当店は博多の鶏や豚や明太子などを使い、目の前で手作りしたものを提供しています。季節感などを取り入れた限定メニューやここでしか食べることのできないメニューも10数種類あり、こうした独自のメニューを楽しみにいらっしゃる常連客も多いです。また、接客を含めたサービスにも力を入れています。

メリットや消費税還元などの説明を受け、導入を決意

アリペイ(Alipay)導入のきっかけは、昨年(2018年)8月に福岡市が行ったQRコード決済の実証実験に関するイベントに参加したことです。

QRコード決済は難しい印象があり、また日本や福岡で普及するのか不安もありましたが、消費増税の還元や導入によるメリット、優遇や特典などの説明を受け、店とお客様の双方にメリットがあることならやってみようと決めました。最初に国内の決済事業会社を導入し、1か月後にアリペイ(Alipay)とPayPayを導入しました。

お金の出し入れが無く、会計がスムーズに

導入の効果はありましたね。当店では観光客のほかに、私自身が生まれも育ちも福岡ということもあり地元のお客様も常連客として多く来店していただいているのですが、キャンペーン内容を伝えることで、まずは常連のお客様が活用するようになりました。

QRコード決済だと、お釣りなどのお金の出し入れがない点はやはり楽ですね。基本操作はQRコードを見せるだけで、決済の確認は私の携帯電話に送られてくるので、従業員の手間もほとんどありません。また従業員は私より若く、新しいテクノロジーに対しての抵抗感も無かったようです。

中国観光客の来店数増加を実感

国内外問わず、屋台を楽しみにしている観光客は多いと感じていましたが、アリペイ(Alipay)導入後は、中国からの観光客の来店が増えている実感はあります。店のメニューも日本語・英語・中国語・韓国語で表記し、写真をつけるようにしています。

インバウンドのお客様の場合、現金支払いですと見慣れないお札や小銭を使うことになるので、どうしてもお釣りのやりとりで時間が取られることがあります。その点アリペイ(Alipay)で支払われるお客様は、複数で来店された方でも会計を個人ごとに分けて支払いができ、会計を提示して決済し画面を確認するだけで完了します。時間の手間が省けてだいぶ楽になりました。

今後に向けて:QR決済の導入が進むことで屋台同士の連携もより強固に

今は天神の屋台の半分程度がQRコード決済を導入しています。今後さらに導入率が高まっていけば、店舗同士での横のつながりが構築できると感じています。例えばお客様に食べたいものを聞かれたら「それならあの店舗はキャッシュレスで食べることができる」と教えてあげることができます。

一方で、仕組みが分からずに導入をためらう店もあります。私は天神屋台組合の副組合長をさせていただいており、会合の場でも推進するよう話していますが、やはり面倒と思う方も多いのが実情です。

ただ、導入ハードルは高くなく、導入してしまえば日々の業務がとても楽になります。店にもお客様にもメリットのあるサービスですので、使用率も導入率も、もっと浸透してほしいなと思います。