アリババグループ、2022年1-3月期及び2022会計年度の決算を発表
アリババグループ・ホールディング・リミテッド(銘柄コード:NYSE:BABA、HKEX:9988、以下「アリババ」「アリババグループ」「グループ」)は2022年5月26日、2022年1-3月期(2022会計年度第4四半期)及び2022会計年度通期(会計年度または2022会計年度)の決算を発表しました。
※アリババグループの2022会計年度は、2021年4月1日から2022年3月31日までの期間です。
※下記、1中国人民元=19円(2022年5月現在)で日本円に換算しています。日本円は参考値です。
アリババは2022会計年度通期において、主に中国コマース事業、クラウド事業およびグローバルコマース事業の収益成長により、前年度比19%増の8,530億6,200万元(約16兆2,000億円)の売上高を達成しました。
全世界のアリババグループの2022会計年度年間アクティブ・コンシューマー(AAC)は約13億1,000万人に達し、前年比2,830万人の増加となりました。この中には、歴史的なマイルストーンとなった10億人を超える中国の消費者と、3億500万人の海外の消費者が含まれており、年間の純増数はそれぞれ1億1,300万人と6,400万人となっています。
2022会計年度のグローバルにおける流通総額(GMV)は史上最も多い8兆3,170億元(約158兆円)に達しました。
アリババグループ会長兼CEO ダニエル・チャン(張勇)のコメント
「アリババグループは、第4四半期に10億人に上る世界の年間アクティブ・コンシューマー(AAC)のニーズに対応し、2022会計年度の流通総額(GMV)は最高額となる8兆3,170億元(約158兆円)に達しました。マクロ経済要因がサプライチェーンや消費者心理に悪影響を及ぼしましたが、当社は顧客価値の創造と価値提供のための体制構築に引き続き注力しました。事業全体で目に見える前進を遂げましたが、特に主要な戦略的分野におけるオペレーションの改善が大きかったです。今後も、当社エコシステム全体でお客様、株主、その他のステークホルダーに長期的な価値を創造できるように、デジタルインフラを強化し、質の高い成長に注力することで、マルチエンジン成長戦略を推進していきます」
アリババグループ最高財務責任者(CFO)トビー・シュウ(徐宏)のコメント
「当四半期の売上高は、前年同期比9%増で、健全な数字でした。2022会計年度の年間売上高は、厳しいマクロ環境にもかかわらず、前年比19%増となりました。戦略的イニシアチブへの継続的な投資により、勢いのある成長を期待しており、経営効率も向上しています。2023会計年度は、不透明な時期においても全体的な収益性を高めるために、持続可能で質の高い売上高成長を実現し、経営コスト構造を最適化することに注力していきます」
ビジネスハイライト
2022会計年度通期
・グループの通期売上高は前年度比19%増の8,530億6,200万元(約16兆2,000億円)でした。
これは主に、前年度比18%増の5,927億500万元(約11兆2,600億円)を達成した中国コマース事業、前年度比23%増の745億6,800万元(約1兆4,200億円)を達成したクラウド事業、前年度比25%増の610億7,800万元(約1兆1,600億円)を達成したグローバルコマース事業によるものです。サンアート・リテール統合の連結の影響を除くと、売上高は前年度比14%増の7,707億3,400万元(約14兆6,400億円)でした。
・営業利益は、前年度比22%減の696億3,800万元(約1兆3,200億円)でした。以下の「1-3月期の事業および財務業績」で示される一過性の項目および特定のその他の項目を除くと、営業利益は前年度比で416億8,300万元(約7,900億円)減少しました。これは主に、タオター(淘特)およびタオツァイツァイへの投資増加、ユーザー拡大のための支出増加、およびマーチャントサポートによるものです。調整後EBITA(非GAAPベース)は、前年度比23%減または400億5,600万元(約7,600億円)減の1,303億9,700万元(約2兆4,800億円)でした。
・普通株主に帰属する当期純利益は前年度比59%減の619 億 5,900万元(約1兆1,800億円)でした。これは主に、当社が保有する上場会社の株式価格が下落(非GAAPベースの指標からは除外)したことによる損失計上によるものです。純利益(非GAAPベース)は、前年度比21%減の1,363億8,800万元(約2兆5,900億円) でした。
・希薄化後ADS1株当たり利益は22.74元(約432円)、希薄化後1株当たり利益は2.84元(約54円)でした。希薄化後ADS1株当たり利益(非GAAPベース)は前年度比19%減の52.69元(約1,000円)、希薄化後1株当たり利益(非GAAPベース)は前年度比19%減の6.59元(約125円)となりました。
・営業活動によるキャッシュフローは1,427億5,900万元(約2兆7,000億円)で、2021会計年度の2,317億8,600万元(約4兆4,000億円)と比較して38%減少しました。
・フリーキャッシュフロー(非GAAPベース)は、中国国家市場監督管理総局(市監総局)が課した独占禁止法による罰金 (「独占禁止罰金」)182億2,800万元(約3,500億円)を支払ったことなどにより 、前年度の1,726億6,200万元(約3兆2,800億円)から43%減の988億7,400万元(約1兆8,800億円)でした。
2022会計年度1-3月期
・グループの当四半期売上高は前年比9%増の2,040億5,200万元(約3兆8,800億円)でした。これは主に、前年同期比8%増の1,403億3,000万元(約2兆6,700億円)を達成した中国コマース事業、前年同期比29%増の104億4,500万元(約1,980億円)を達成したローカルサービス事業、前年同期比12%増の189億7,100万元(約3,600億円)を達成したクラウド事業によるものです。
・全世界のアリババグループの年間アクティブ・コンシューマー数(AAC)は約13億1,000万人に達し、前年比2,830万人の増加となりました。この中には、歴史的なマイルストーンとなった10億人を超える中国の消費者と、3億500万人の海外の消費者が含まれており、四半期の純増数はそれぞれ約2,460万人と370万人、年間の純増数はそれぞれ1億1,300万人と6,400万人となっています。
・営業利益は167億1,700万元(約3,180億円)となり、前年同期の76億6,300万元(約1,460億円)の営業損失から回復しました。以下の「1-3月期の事業および財務業績」で示される一過性の項目および特定のその他の項目を除くと、主にタオツァイツァイ(Taocaicai、淘菜菜)およびタオター(淘特)への投資の増加、継続しているコロナ禍の影響、サンアート・リテール資産の減損および特別引当金によって、営業利益は前年同期比で68億9,400万元(約1,310億円)減少したことになります。調整後EBITA(非GAAPベース)は、前年同期比30%減または68億100万元(約1,290億円)減少の158億1,100万元(約3,000億円)でした。
・普通株主に帰属する純損失は162億4,100万元(約3,090億円)でした。これは主に、当社が保有する上場会社の株式価格が下落(非GAAPベースの指標からは除外)したことによるもので、一部営業利益により相殺され ました。純利益(非GAAPベース)は、前年同期比24%減の197億9,900万元(約3,760億円) となりました。
・希薄化後ADS1株当たりの損失は6.07元(約115円)、希薄化後1株当たり損失は0.76元(約14円)となりました。希薄化後ADS1株当たり利益(非GAAPベース)は前年同期比23%減の7.95元(約151円)、希薄化後1株当たり利益(非GAAPベース)は、前年同期比23%減の0.99元(約19円)となりました。
・営業活動によるキャッシュフローは、マイナス70億4,000万元(約1,340億円)となりました。
・フリーキャッシュフロー(非GAAPベース)は、中国国家市場監督管理総局(市監総局)が課した独占禁止法による罰金 (「独占禁止罰金」)182億2,800万元(約3,460億円)の残額 91億1,400万元(約1,730億円)を支払ったことや利益の減少などにより 、前年同期の 6億5,800万元(約125億円)の流出に対し、150億7,000万元 (約2,860億円)の流出でした。
ビジネスと戦略に関する最新情報
アリババグループ
2022会計年度通期において、当社のグローバルな消費者関連事業は、世界の約13.1億人の年間アクティブ・コンシューマー(AAC)にサービスを提供し、8兆3,170億元(約158兆円)の流通総額(GMV)を創出しました。中国における消費者関連事業(中国コマース事業、ローカルサービス事業、デジタルメディア及びエンターテインメント事業を含む)のGMVは約7兆9,760億元(約152兆円)でした。中国における消費者関連事業の重複排除後のAAC数は、前年比約1億1,300万人増の10億人超となり、2022会計年度通期の目標を上回りました。主にLazada、AliExpress、Trendyol、Darazを含むグローバルコマース事業は、2022会計年度通期に約3,410億元(約6兆4,800億円)のGMVを生み出し、3億500万人のAACにサービスを提供しました。
スマートロジスティクスやクラウドコンピューティングなどのデジタルインフラは、当社の主要なEコマース、ローカルサービス、エンターテインメント事業を支えており、変化する消費者ニーズに対応できる独自のテクノロジーを提供し、また、中国や中国国外における企業のお客様やビジネスパートナーのデジタルトランスフォーメーションを支援しています。当社は、これらのデジタルインフラ事業が持続的な成長を支え、長期的に魅力的な投資リターンをもたらすと信じて、投資と開発に全力で取り組んでいます。
中国コマース事業
2022会計年度通期において、当社の中国コマース事業の年間アクティブ・コンシューマー(AAC)数は 9 億 300 万人となり、年間および第4四半期の純増数はそれぞれ 8,900 万人、2,100 万人となりました。このセグメントの堅調なAAC数の増加は、当社のマルチアプリ戦略が成功し、さまざまな消費シナリオやフォーマットに応じパーソナライズされた没入感のある魅力的な体験の提供が、異なる年代層や購買行動のユーザーを引き付け、維持することに貢献していることを反映したものです。中国開発途上の地域からの新規AACの割合は、2022年度も70%超で、2021年度と比較して高い水準でした。
タオバオ(淘宝)とTmall(天猫)は、中国の消費者の日常生活の重要な一部であり、高い顧客維持率(リテンション率)を達成し続けています。2022会計年度には、1億2,400万人以上の年間アクティブ・コンシューマー(AAC)が、タオバオとTmallで1万元(約19万円)以上を消費しました。2021年度にタオバオとTmallで1万元以上消費したAACの約98%は、2022年度もアクティブでした。2022会計年度通期のタオバオとTmallのオンライン物販流通総額(GMV)は、未払い注文を除き、前年度比1桁台前半の成長を記録しました。第4四半期は、3月にコロナ禍の影響を受け、サプライチェーンや物流の混乱、需要の軟化などにより、1月と2月のGMVの伸びは横ばいとなり、四半期のGMVは1桁台前半の減少を示しました。
お得なプラットフォームであるタオター(淘特、旧・タオバオ特価版)は、当社のEコマース・エコシステムで初めて買い物をするお客様の増加に貢献しました。2022会計年度、タオバオ特価版の年間アクティブ・コンシューマー(AAC)数は3億人を超え、四半期ベースで2,000万人以上の純増となりました。タオバオ特価版を利用するAACの20%以上は、2022年度にはタオバオやTmallで買い物をしていませんでした。重要なのは、タオバオ特価版が物流コストを最適化し、消費者の配送体験を改善するためのいくつかの取り組みを開始し、実行することに成功したことです。2022会計年度通期および第4四半期において、タオバオ特価版の支払い済み注文数は前年度比100%以上、前年同四半期比35%以上という急速な伸びを示しました。第4四半期における注文数の伸びの著しい鈍化は、コロナ禍の影響によるものです。
2021年3月には、食料品や日用品を近隣のピックアップポイントで翌日受け取れるサービスを提供するタオツァイツァイ(Taocaicai)を開始しました。2022会計年度には、中国全土の対象地域・都市でタオツァイツァイ事業の中核となる地域配送センターと倉庫網の整備をしました。2022会計年度通期、タオツァイツァイの年間アクティブ・コンシューマー(AAC)数は9,000万人を超え、そのうち50%以上は当社プラットフォームで初めて生鮮食品を購入したユーザーでした。同時に、タオツァイツァイの注文ごとの採算性は、増加している地域当たりの注文数とサプライチェーン機能の強化による粗利益率の改善の恩恵を受け、本会計年度中、前四半期比で改善を続けました。第4四半期のタオツァイツァイの流通総額(GMV)は、主に平均受注額の増加により、前四半期比で増加を続けました。
2022会計年度の直販・その他売上高は、主にサンアート・リテールとオンラインスーパーのTモールスーパー(Tmall Supermarket)および小売チェーン・スーパーのフーマー(盒馬鮮生)の堅調な成長により、前年度比43%増の2,609億5,500万元(約4兆9,600億円)に達しました。サンアート・リテールの連結の影響を除けば、2022会計年度の直販・その他の売上高は前年度比28%増でした。これらの直販事業は、日用消費財、生鮮食品、電子機器、家電製品など、さまざまな分野で商品供給能力を強化し、サービス力を向上させます。
複数の直販事業を活用することで、多様なフルフィルメントネットワークを構築し、中国では時間保証配達、当日配達、翌日配達を提供することが可能です。都市内物流に大きな投資を行い、食品、日用品、その他雑貨をオンデマンドで直ぐに配達できるようになりました。2022会計年度には、タオツァイツァイ(Taocaicai)で食料品や日用消費財を購入したお客様向けに、翌日受け取りのオプションを追加しました。さまざまな消費者ニーズに対応するこれらの物流・フルフィルメントモデルは、当社の各事業とマーチャントにサービスを提供する包括的なネットワークを形成しています。オンデマンド即時配送機能を活用することで、2022会計年度にはサンアート・リテールのオンライン売上比率は5ポイント増の29%となり、のオンライン流通総額(GMV)比率は60%以上を維持しました。こうしたフルフィルメントや物流機能への投資を継続することで、当社のEコマース・プラットフォームやお客様により良いサービスを提供できると考えています。
グローバルコマース事業
2022会計年度において、当社のグローバルコマース事業の年間アクティブ・コンシューマー(AAC)数は合計3億500万人となり、年間純増数は6,400万人、四半期純増数は400万人 となりました。
グローバル小売事業:Lazada、AliExpress、Trendyol、Darazなどのプラットフォームを含む当社のグローバル小売事業は、ブランドやマーチャントに地域密着型の市場洞察を提供し、幅広い商品セレクションと配送満足度の向上を通じて地域の消費者にサービスを提供しています。2022会計年度、これらの事業の合計受注数の成長率は前年度比約34%増となりました。これは、Lazadaが60%、Trendyolが68%と堅調に受注を伸ばしたことを反映していますが、EUが2021年7月に施行した22ユーロ以下の越境荷物に対する付加価値税(以下、VAT)免除の廃止、およびサプライチェーンと物流の混乱によりAliExpressの受注成長が横ばいになったことで一部相殺されました。Lazadaは、ローカルおよびグローバルな商品の品揃えを増やすとともに、送料無料などの付加価値の高いサービスを提供することでローカライズ戦略を継続した結果、消費者のマインドシェアが向上するとともに、注文数が大幅に伸びました。第4四半期に、これらの事業は前年同期比約 7%の受注増となりました。Lazadaが32%、Trendyolが48%と堅調に伸びましたが、EUの付加価値税法改正の影響やサプライチェーンや物流の混乱によりAliExpressの受注が減少したため、一部相殺されました。
グローバル卸売事業:2022 会計年度の当社の越境及びグローバル卸売事業は、中国からの輸出が堅調に推移したことに加え、世界中のマーチャントがグローバル物流や貿易保証などの付加価値の高いサービスを導入したことにより、取引額が前年度比 46%増と好調に推移しました。取引額の堅調な伸びにより、売上高は前年度比28%増と大幅に増加し、付加価値の高いサービスの売上高は前年度比38%増とより大幅に成長しました。第4四半期は、主に中国からの輸出の伸びの鈍化とコロナ禍によるサプライチェーンの混乱から、Alibaba.comの取引額の伸びは前年同期比22%増に鈍化しました。
ローカルサービス事業
2022会計年度において、ローカルサービス事業の年間アクティブ・コンシューマー(AAC)数は約 3億7,600万人であり、年間純増数は 6,400万人、四半期純増数は 400万人となりました。 2022会計年度および第4四半期において、ローカルサービス事業の受注高はそれぞれ前年度比25%超、前年同期比約9%増加しました。第4四半期の受注量の伸びの鈍化は、2022年3月に始まったコロナ禍の影響によるものです。
家庭向け事業:2022会計年度上半期、デリバリープラットフォームのウーラマ(餓了麼)は有料会員の拡大と消費者体験の向上に向けた投資を継続し、年間アクティブ・コンシューマー(AAC)数と注文件数が大きく伸びました。この進捗を踏まえ、ウーラマは2021年第3四半期から戦略都市における顧客維持率と経営効率の向上に注力し、2022会計年度下半期の平均受注額向上に結び付けました。プロダクトミックスの多様化を図る戦略的な取り組みの一環として、様々なお祭りや祝日に応じたマーケティングを行うことにより、2022会計年度の食料品や薬局の注文などウーラマの非レストラン系の注文が大きく伸長しました。第4四半期は、コロナ禍の影響により3月の受注が減少したものの、平均受注額の増加によりウーラマは堅実な流通総額(GMV)における成長を遂げました。第4四半期中、ウーラマの注文当たりの採算性は、ユーザー獲得費用の最適化および注文あたりの配送コストの削減により、前年同期比で引き続き向上しました。
目的地向け事業:2022会計年度は、Amap(高徳地図)やFliggy(フリギー)を含む「目的地型」事業の受注量が、主にAmapユーザーの取引数の増加や利用頻度の増加により急拡大しました。2022会計年度も、Amapを利用して地域のお店を発見し、つながり、訪問しようとする消費者のエンゲージメントやロイヤルティの向上につながるコンテンツやサービスを開発し、成功を収めました。第4四半期は、コロナ禍の影響により、Amapは前年同期比で受注の伸びが減速し、フリギーは前年同期比で減少しました。
ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)
2022会計年度において、ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の売上高(アリババグループ内の事業間取引控除前)は前年度比27%増の668億800万元(約1兆2,700億円)でした。これは主に、越境EC事業を展開する第三者マーチャントからの収益の増加、およびアリババの中国コマース事業に提供するフルフィルメントソリューションと付加価値の高いサービスの拡大によってもたらされました。当会計年度において、ツァイニャオ・ネットワークの売上高のうち69%は(アリババグループ以外の)外部顧客からのものです。アリババ内の事業間取引控除後のツァイニャオ・ネットワークの売上高は、前年度比24%増の461億700万元(約8,800億円)でした。
ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)は、スマート物流ハブ、長距離輸送網、仕分けセンター、ラストマイルネットワークなど、エンドツーエンドの物流機能を強化し、国際物流ネットワークの拡大を続けています。2022会計年度のツァイニャオ・ネットワークの1日平均の越境・国際荷物量は450万個を超えました。ツァイニャオ・ネットワークは第4四半期に2つの新国際仕分けセンターの運営を開始し、合計9つの海外仕分けセンターを運営しています。クアラルンプールとリエージュの国際スマート物流ハブは、各地域の通関、倉庫、フルフィルメントセンターとして機能し、2021年11月に正式に稼働を開始し、2022年3月にはすでにほぼフル稼働の状態でした。
中国では消費者体験と配送効率を向上させ、中国コマース事業を補完し、未開発地域に進出するため、ツァイニャオ・ステーションがカバーするエリアを拡大することで、消費者向け物流事業の規模拡大を続けています。例えば、本会計年度には、タオバオやTmallとの提携により、ツァイニャオ・ステーションに宅配オプションなど付加価値の高いサービスを導入し、中国全土で急速に普及が進んでいます。さらに、ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)は、さまざまな業種向けのエンドツーエンドのスマートサプライチェーンソリューションの改善を継続しています。例えば、2022年3月には、中国における日用消費財業界向けのエンドツーエンドのスマートサプライチェーンソリューションの採用が進み、外部顧客からの売上高が前年度比30%超と加速しています。
また、ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)はDAMOアカデミー(達摩院)と協力し、物流業界のデジタル化と効率化のための製品やサービスに展開する先進技術の研究開発を進めています。例えば、ゲートコミュニティやキャンパス内での小包の無人配達のために、独自開発したレベル4の自動運転車Xiaomanlv(シャオマンリュ、小蛮驢)の採用を推進してきました。導入から2022年3月31日までに、Xiaomanlvは1,000万個以上の小包を配達し、近隣における無人配送分野を牽引しています。
クラウド事業
クラウド事業は、Alibaba Cloud(アリババクラウド)とDingTalk(釘釘)で構成されています。2022会計年度において、クラウド事業の売上高は、他のアリババ事業へのサービス提供などの事業間取引控除前で、前年度比21%増の1,001億8,000万元(約1兆9,000億円)でした。2022会計年度の事業間控除後の売上高は前年度比23%増の約745億6,800万元(約1兆4,200億円)でした。これは主に、インターネット業界の上位顧客が、サービスや製品とは関係のない理由から、グローバル事業におけるAlibaba Cloudのサービス利用を段階的に停止したこと、および中国のインターネット業界のお客様からの需要が減速したことによるものです。この上位顧客からの売上高を除けば、2022会計年度におけるアリババ内の事業間取引控除後、クラウド事業の売上高は前年度比 29%増と高い成長率を示しました。
第4四半期のクラウド事業の売上高は、アリババ内事業間取引控除後で前年同期比12%増の189億7,100万元(約3,600億円)でした。第4四半期のクラウド事業の売上高は、経済活動の鈍化、中国のインターネット産業における顧客需要の軟化、コロナ禍の影響によるハイブリッドクラウドプロジェクトの遅延を反映して、前年同期から伸び悩みました。
重要なのは、クラウド事業の収益基盤がより多様化し、インターネット業界以外の企業からの売上高が着実に増加していることです。2022会計年度および第4四半期におけるクラウド事業のアリババ内事業間取引控除後の売上高に占めるインターネット業界以外の企業の割合はそれぞれ50%、52%でした。
Alibaba Cloud(アリババクラウド)は、独自のサーバー、チップ、エラスティック・コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、セキュリティ、データベース、ビッグデータなど、包括的なクラウドサービスを世界中のお客様に提供しています。
これらの機能と技術を活用して、アリババグループ内の事業を支援し、金融サービス、電気通信、小売、産業向けなど、さまざまな業種のお客様に業界特化型のソリューションを提供しています。Alibaba Cloudは、お客様の力強い成長にあわせ、国際的に事業拡大を続けています。2022年3月31日現在、Alibaba Cloudは世界27リージョンでコンピューティングサービスを提供しており、2022会計年度にはインドネシア、フィリピン、韓国、タイ、ドイツで新たなデータセンターを開設しています。
企業や組織に新しい働き方とコラボレーションを提供するDingTalk(釘釘)は、2022年度に顧客の組織や事業のデジタル化を加速させるための戦略を発表しました。2022年3月31日現在、DingTalkは2,100万以上の組織に使用されており、リモートワークを支えています。またDingTalkは、デジタルの製品・ソリューション・サービスを提供する第三者機関のプラットフォームとして、顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させることに取り組んでいます。2022年3月31日現在、350万以上のDingTalkアプリケーションが開発され、企業やユーザーに採用されています。
デジタルメディア及びエンターテインメント事業
第4四半期のヨウク(Youku)の1日平均有料ユーザー数は、質の高いコンテンツと88VIP(アリババグループの有料)会員プログラムの継続的な貢献などにより、前年同期比14%増となりました。また、ヨウクはコンテンツや制作能力への規律ある投資を通じて経営効率の改善を継続しており、第4四半期は前年同期比で赤字幅が縮小しました。
ESGに関する取り組み
グリーンテクノロジー分野での協業:アリババはグリーンテクノロジーの採用を後押しし、テクノロジー企業間のオープンイノベーションを促進する、開かれた協業を促進する事業モデルを信じています。アリババは、世界のテクノロジー企業のコンソーシアムが立ち上げた、低炭素技術特許の共有を促進するイニシアチブである「低炭素特許権不行使誓約」に参加しており、既にグリーンデータセンター技術に関する9つの主要特許を外部へ開放しています。その中には、従来の機械的な冷却方式と比較して70%以上の省エネを実現する独自の液浸冷却技術も含まれています。
地域社会への生活必需品の提供支援:第4四半期には、中国の複数都市で新型コロナウイルス感染症の拡大が相次いで確認されました。当社は自社の供給・物流網を活用し、複数の事業部横断で連携し地域社会・コミュニティにおける必要物資の供給を提供しました。例えば、ウーラマ(餓了麼)は、コミュニティコマース(近所同士によるまとめ買いサービス)と指定場所への配送を組み合わせた新たなサービスを開始するとともに、特別な支援を必要とするユーザー向けに緊急対応サービスを開始し、フーマー(盒馬鮮生)は緊急時セルフピックアップルートと臨時倉庫を設置しました。ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)は緊急物流システムを構築して不測の事態に対処するとともに、高齢者専用の物資配送ルートを提供しました。Amap(高徳地図)は、PCR検査場マップを開設し、住民が検査を受けやすい環境の整備に協力しました。また、タオバオ(淘宝)とTmall(天猫)は企業向けの救援策を提供し、仕事と生産の再開を加速させました。
※本原稿は、2022年5月26日に発表されたアリババグループ本社プレスリリースの原稿を抄訳したものです。本記事の正式言語は中国語であり、その内容および解釈については中国語を優先します。
・中国語のプレスリリース: https://www.alibabagroup.com/cn/news/article?news=p220526
・英語のプレスリリース:https://www.alibabagroup.com/en/news/press_pdf/p220526.pdf
・アリババグループIR情報について:https://www.alibabagroup.com/en/ir/home
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