アントグループ、アントチェーンを活用した中小企業および金融機関向け国際貿易・国際金融サービスプラットフォーム「トラスプル(Trusple)」を発表

世界最大の決済・ライフスタイルプラットフォームのアリペイ(Alipay:支付宝)を運営するアントグループは2020年9月25日、同社のブロックチェーン技術ソリューションである「アントチェーン(AntChain)」を活用した国際貿易・金融サービスプラットフォーム「トラスプル(Trusple)」を発表しました。トラスプル(Trusple)は特に中小企業(SMEs)を念頭に、すべてのマーチャントがより手軽に低コストで世界中の顧客に自社の製品やサービスを販売できるようになることを目指しています。また、金融機関の取引コストを削減することで、支援を必要とする中小企業により良いサービスが提供できるようになります。

「信頼関係の構築をシンプルに(Trust Made Simple)」というコンセプトに基づいたトラスプル(Trusple)では、買い手と売り手が取引注文をプラットフォームにアップロードすると、スマートコントラクト(契約自動化のプロトコル)が生成されます。注文の実行にあたっては、スマートコントラクトによって発注、物流、免税オプションなどの主要情報が自動的にアップデートされます。アントチェーンを利用することで、買い手と売り手の口座登録されている銀行は、スマートコントラクトを通じて自動的に決済処理を行います。こうした自動化されたプロセスによって、従来銀行が行っていた取引注文の追跡や確認のための手間や時間のかかるプロセスを軽減するだけでなく、情報の改ざんを確実に防止できます。さらにトラスプル(Trusple)上で取引を完了させることで、中小企業はアントチェーン上で信用を構築し、金融機関からの金融サービスをより受けやすくなります。

アントグループの高度テクノロジー・ビジネスグループのプレジデントである蒋国飛(Jiang Guofei、ジャン・グオフェイ)は次のように述べています。

「トラスプル(Trusple)はクロスボーダー取引に関わる中小企業や金融機関が抱える問題を解消できるよう設計されています。2004年にECサービスにおけるエスクロー決済ソリューションとしてアリペイ(Alipay)を導入し、買い手と売り手の信頼関係を構築したように、当社はアントチェーンを活用したトラスプル(Trusple)を立ち上げることで、クロスボーダー取引を効率化して、買い手や売り手だけでなく、サービスを提供する金融機関にとってもより安全で信頼性の高いものにできると信じています。」

これまでクロスボーダー取引におけるパートナー間での信頼の欠如が、多くの中小企業のビジネスを困難にしていました。買い手にとっても売り手にとっても、こうした信頼の欠如が発送や決済の遅延につながる可能性があり、中小企業の財政状態やキャッシュフローの圧迫につながります。中小企業のクロスボーダー取引をサポートする銀行も、長年、注文の真偽検証という難題に直面し、手数料コストを増大させてきました。国際貿易におけるこうした課題に取り組むために、トラスプル(Trusple)はAI(人工知能)やIoT、計算処理の保護(Secure Computation)をはじめとするアントチェーン(AntChain)の主要技術を活用して、複数の関係者間での信頼を構築します。

提供開始に先立ち、試行期間中である9月に世界各国の消費者向けにクリスタル製の装飾品を販売する会社を経営する袁晶(ユアン・ジン)氏は、メキシコに委託販売品を発送し、トラスプル(Trusple)上で初の取引を完了しました。これまで同様の取引の処理には少なくとも1週間はかかっていましたが、トラスプル(Trusple)を利用したことで、袁氏は翌日、代金を受け取ることができました。「トラスプル(Trusple)の助けを得て、同じ運転資金でこれまでより多くの注文に対応できるようになりました。来年は売上の30%増を目指しています」と袁氏は述べています。

クロスボーダー取引の処理を最適化するために、トラスプル(Trusple)はBNPパリバ、シティバンク、DBS銀行、ドイツ銀行、スタンダードチャータード銀行など、大手の国際金融機関と提携しました。

トラスプル(Trusple)の立ち上げは、フィンテックカンファレンス「INCLUSION(インクルージョン)」のブロックチェーン分科会において発表されました。本カンファレンスは、より包括的で環境に優しく持続可能な社会の構築のためのデジタル技術の活用について、世界的な議論を促すことを目的に、アントグループとアリペイによって開催されたものです。

アントチェーン(AntChain)について

アントチェーンはアントグループのブロックチェーン技術ソリューションです。知的財産専門メディアのIPR Dailyおよび特許データベースのIncoPatによると、アントグループは2017年から2020年6月30日までの間、世界で最も多くブロックチェーン関連特許の出願情報を公開しています。アントグループは2016年にブロックチェーン事業を開始して以降、アントチェーン上で、サプライチェーン・ファイナンス、クロスボーダー送金、慈善寄付金の追跡・透明化、プロダクトプロベナンス(製品追跡)をはじめとする50以上の商用アプリケーションや応用実績を成し遂げてきました。

アントチェーンは、基盤となるBaaS(Blockchain as a Service、ブロックチェーン・アズ・ア・サービス)のオープンプラットフォーム、アセットのデジタル化、デジタル化したアセットのサーキュレーション(循環)の3つの層で構成されており、企業が資産のデジタル化やトランザクションを行えるようにすることで、複数関係者の連携・協業における信頼関係を確立しています。アントチェーンは2019年7月1日から2020年6月30日までの1年間で、特許、バウチャー、ウェアハウスレシート(倉庫証券)などのアクティブアイテムを1日あたり1億以上生成しています。

 

関連情報

・AntChain(アントチェーン)について
https://antchain.net/

・INCLUSION YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCYeWgCR_JMREgDg4Soe4h8g/featured

・LUSION オフィシャルサイト
https://inclusionconf.youku.com/en/live

・Trust Made Simple: The Story of Trusple’s First Customer
信頼関係の構築をシンプルに:トラスプル(Trusple)の第1号利用者の体験談
https://medium.com/@AntFinancial/trust-made-simple-the-story-of-trusples-first-customer-4d8a839995fa

 

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