白熱する中国の低アルコール飲料市場、日本発の新鋭なオンライン酒屋「KURAND」があえて直営ECにこだわる理由

中国のお酒文化というと、以前はアルコール度数が50%以上の白酒(バイジュー)、もしくはワイン、ビールの3択というイメージがありました。しかし近年、気軽に飲める低アルコール飲料、中でも炭酸が入っている「アルコポップ」や果実酒の人気が高まっています。その商機に挑む日本発のお酒ブランド「KURAND 」に、成長の秘訣をお伺いしました。

果実酒の購買人数が前年比70%増。激しい競争で輝く日本のお酒ブランド

アリババのTモールイノベーションセンターの調査結果によると、2020年の中国果実酒の市場規模は、前年比約70%成長しました。その背景は、新たに果実酒を買い求める購買人数の増加が市場の成長をけん引していることがわかりました。

今年6月に開催されているビッグセール「天猫618ショッピング・フェスティバル」における低アルコール飲料の売上ランキングを覗いてみると、TOP10ブランドには日本発のお酒ブランド、サントリーの「ほろよい」がランクインしています。また、1位に輝いたRio、2位を獲ったMiss Berryは、いずれも中国の国産メーカーです。

白熱する中国の低アルコール飲料市場、その市場に挑戦しようと、 今年6月にアリババの越境ECプラットフォーム「Tモールグローバル(天猫国際)」を通じて本格的な進出に踏み出したのは、日本発の新鋭なオンライン酒屋「KURAND」です。

「KURAND」取締役 事業開発部 東寛人様(以下、東さん)に今回の中国進出の背景と今後の戦略について取材しました。

 

―― 中国のお酒市場をどのように捉えていますか?

東さん:日本と比べて人口が10倍以上いて、やはり世界中でみてもかなり大きいアルコール飲料の市場ですね。そして、国土も広いですし、一概に括るのは難しいですが、本当に多種多様な方々が暮らしていて、食文化もお酒文化も物凄く豊かです。そういった意味でも非常に魅力的な市場だと思います。

 

―― 近年、中国の消費者にとってお酒の選択肢がかなり増えました。
その中で日本発のお酒が中国で売れるポイントはどのような点だと考えていますか?

東さん:難しい質問ですね(笑)。
日本企業として、どう戦うか、差別化していくかと考えた時に、例えばその1つは、日本現地由来の特産品を使ってお酒をつくることです。私たちも、瀬戸内産の「レモン」 や津和地島産「せとか」などを果実酒にして、人気の高い日本の農産物を積極的に酒造りに取り込んでいます。
もう一つは、消費者とのコミュニケーションにおいて、生産者の想い、ストーリーを 伝えることです。商品の誕生秘話やつくり手の顔が見えること、どこの誰がどのようなプロセスを経てこのお酒をつくり上げてきたか、そのストーリーも含めて、中国の消費者に伝えていくことが大切だと思います。

――ストーリー性を訴求することに注力しているようですが、
中国の消費者とコミュニケーションを行うにはかなり工夫が必要ではないでしょうか?

東さん:中国の消費者は一般的に、ソーシャルメディア(SNS)で情報収集して、タオバオライブなどのライブコマースでKOL(インフルエンサー)の推薦を聞いてから購入するといった傾向があります。我々も現在、中国向けに複数のSNSを駆使してコンテンツを配信しています。
例えば、知乎(ジーフー、中国の大手Q&Aサイト)では、日本のお酒の専門家として、中国の方からの日本のお酒に関する質問に積極的に回答しています。そして、中国版ツイッターと言われている「ウェイボー(Weibo)」では、自社の果実酒を使ったレシピなど拡散性のあるコンテンツを投稿したり、中国版インスタグラムのような「Red(小紅書)」では、お酒のつくり手の様子や果実酒の美味しい飲み方をイラストと動画にして配信したりしています。KURANDのファンになってもらえるように、もう少し近い距離感を作ろうと、消費者とのコミュニケーションは全て自社で行っています。このような取り組みを通して、普段そんなにお酒を飲まないけど飲んでみようという層、いわゆる「ビギナー」の消費者層を取り込もうと、日々工夫しています。

 

―― 飲料メーカーだと、商社や小売業者を通じて卸売するケースも多いですが、
そもそも、なぜ中国市場向けに、越境ECという形で直営・直販に取り組むと決めたのでしょうか?

東さん:中国に限らず、グローバル共通で、自分たちで商品を企画し、自分たちでお客様に直接販売するということを念頭に置いています。
代理店にお任せすればすぐに売れますが、やはりお客様の声を聞きながら、実際に商品の改良や開発に活かしていくことと、私たちの世界観を直接中国の消費者に伝えていくことが重要だと考えています。なので、極力代理店には頼らずに、自分たちで販売がしたいという想いから、Tモールグローバル(天猫国際、アリババの越境ECプラットフォーム)に出店することになりました。

―― 中国進出において、自社のオンラインストア立ち上げと、Tモールグローバルの直営店舗への出品を同時に並行して進めている理由は何でしょうか?

東さん:私たちのビジネスは、如何に商品の鮮度を落とさずにフレッシュローテーションさせるかが非常に重要になってくると考えています。なので、自社のオンラインストアの開店前に、まずTモールグローバルの直営店舗への出品(Tモール海外フルフィルメント、TOFというサービス)から始めました。まず、リスクなく、日本国内に在庫を持ちながら、どの商品が中国で売れるかというテストマーケティングをしています。ここで人気の出た商品を、大きなコンテナに載せて中国国内の保税倉庫に輸送し、自社のオンラインストアで販売していくというステップを踏んでいます。

―― いよいよKURAND越境ECストアの正式オープンを迎えますが、今後の意気込みをお聞かせいただけますか?

東さん:今年は、Tモールグローバルを通じた、中国事業の足固めのチャレンジの年だと思っています。コロナが落ち着き次第、早く中国現地での商売もしたいと考えています。具体的には、中国現地(中国国内BtoCのEコマース)のTモール(天猫)の方にも進出したいです。
中長期的には、日本の商品をそのまま現地に持っていくだけでなく、中国の消費者のニーズに応えた商品開発はもちろん、中国国産の人気お酒ブランドとコラボしてお酒を造っていきたいと考えています。当の意味でグローバル事業を推進するには、やはり現地の消費習慣に合わせて、現地の企業とのコラボレーションに取り組んでいきたいと思います。

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