循環型社会の構築に貢献するブックオフが、海外展開でさらにモノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らしている
概要:書籍やゲーム関連商品などの買取とリユース品の販売で広く利用されているブックオフ。2020年6月1日~2021年5月31日の買取点数は約3億9,590万点にのぼり(※)、サステナビリティに関して「ブックオフでモノを売ったり、買ったりする行動そのものがモノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らすという社会貢献につながっています」と述べている(※)。ブックオフはリユース品の販路を海外に広げることで、収益を最大化すると同時に、廃棄物をさらに減らして循環型社会の構築に貢献している。(※いずれも出典は、ブックオフグループホールディングス株式会社の公式ウェブサイト)
環境に関してサステナブルな社会を実現するために、企業は何をするべきか。それにはもちろん、さまざまな課題がある。
例えば、重要な課題のひとつとして脱炭素への取り組みが挙げられる。企業自体とバリューチェーンの脱炭素に取り組むのは当然のこととして、アリババグループにはプラットフォームとしての責任もある。そこでアリババは、プラットフォームに参加する企業全体で2035年までに延べ15億トンの温室効果ガス削減を達成するという目標を打ち出した。
この取り組みをはじめとして、脱炭素に限らず、環境の課題解決に寄与するパートナー企業と積極的に連携し、支援していくことが、アリババに求められていると考えている。
リユースを通じて循環型社会の構築に寄与するブックオフ
環境に対する取り組みとして、循環型社会の構築も大きな課題のひとつだ。循環型社会の構築に欠かせないのが、リデュース・リユース・リサイクルの3Rを推進することである。
書籍やCD・DVD、ゲーム関連商品、アパレルなどの買取と販売でおなじみのブックオフコーポレーション株式会社(以下、ブックオフ)は、まさに、主にリユースで循環型社会の構築に大きく貢献している。ブックオフグループの企業を経営管理するブックオフグループホールディングス株式会社のウェブサイトには「ブックオフでモノを売ったり、買ったりする行動そのものがモノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らすという社会貢献につながっています。これはSDGs 12の目標『つくる責任 つかう責任』を達成させることにおいて、非常に重要な役割を担っています」という記載がある。つまり、ブックオフグループの事業そのものとその利用者は、モノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らす社会貢献に自然に協力していることになる。
BtoCだけでなくBtoBも、日本国内だけでなく海外でも事業を展開
ブックオフといえば実店舗やEコマースのブックオフオンライン、宅配買取といった日本国内でのBtoC事業がまず思い浮かぶ。しかしそれだけではない。日本国内では、企業を対象に販売や買取をするBtoB取引も実施している。さらに海外でも、米国、マレーシア、フランスで店舗を運営してBtoC事業を展開している。そして、アリババグループが運営しているBtoBオンライン展示会であるAlibaba.comにも出展し、海外の企業に対して日本のリユース品を販売している。
販売と買取の両方のBtoB事業について、Alibaba.comも含めて担当しているのが、ブックオフのリユースECセンター運営部 販売企画・出品販売・法人担当マネージャー、森田友二氏だ。
Alibaba.com出展の目的は販路の拡大
Alibaba.comへの出展は2021年4月からであり、まだまだ未開拓の海外市場へのオンライン進出を通して収益の最大化を図ることが狙いだと森田氏は言う。「コロナ禍によって大型商業施設内の店舗が休業になるなど、コロナ禍の悪影響が皆無だったわけではありません。しかし、いわゆる巣ごもり需要で本やゲーム、DVDなどが売れ、人々が家にいる時間が長くなったことで宅配買取も増えました。Alibaba.comへの出展はコロナ禍とは関係なく、収益を最大化するための販路拡大が目的です」(森田氏)。
国内の店舗とブックオフオンライン、そして海外の店舗と、ブックオフ全体としては収益の大半をBtoC取引が占めている。しかしBtoBの取引は長期的に継続することが多く、単価も高い。また商品カテゴリーによっては、大量にまとめて企業に販売する方が売りやすい商品もある。このような利点からブックオフはBtoB事業を手がけ、さらに中国企業と取引をする機会があって高い単価を得られたことから海外企業に対するBtoB販路開拓も開始した。
Alibaba.com出展から1年あまりですでに成果を上げている
ブックオフはAlibaba.comにゲーム機本体やコントローラ、ゲームソフト、アニメ関連のグッズやフィギュアを出展している。出展後、世界各地から問い合わせがあり、成約に結びついた。森田氏にインタビューしたのは2022年8月で出展からわずか1年4か月だったが、予測より売れていて、月商の前年比で521%を達成するなど早くも成果が現れている。特に、米テキサス州に大口顧客が見つかり、ゲーム機本体やコントローラなどを継続して販売しているという。
インタビュー時点で、ブックオフのBtoB取引のうち約7.5%がAlibaba.comになっているとのことだ。現在は前述した通りゲームとアニメ関連商品のみの出展だが、アパレルも海外からの需要があるので今後Alibaba.comに掲載していきたいと森田氏は展望を語る。
日本と海外ではニーズが異なるので商品の廃棄を減らせる
ブックオフのAlibaba.comのページには発売から年数が経ったハードウェアや日本では流行のピークが過ぎたアニメ関連商品なども掲載されているが、海外ではニーズがあるという。
これについて森田氏は「BtoCにも共通することですが、情報の伝播や流行の盛り上がりにアニメやゲーム発祥地の日本とはタイムラグがあり、日本ではピークが過ぎていても海外で喜ばれるものは多いのです。しかも、日本の消費者は最新のものを買ってきれいに使い、早めに手放す傾向があるので、海外で十分売れる商品になります。これが越境で中古商品を販売する強みであり、越境の販路拡大は必須です。ブックオフでは店舗で売るのが最優先ですが、どのチャネルなら売れるかと常にアンテナを張っています。ニーズのギャップを見極めて、商品を無駄にすることなく、必要なところに必要な商品を届けたいと考えています」と説明する。
状態が良くても年数が経っているゲーム機などは、日本国内では滞留在庫になりがちだ。しかし海外では現地のニーズに合う商品として販売することができる。海外の消費者や企業に喜ばれ、ブックオフの収益は増え、そして捨てるモノが減る。
モノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らす事業をグローバルに
ブックオフのAlibaba.comの公式ページは、インターナショナル版である英語版のほか、日本語を含む16言語で表示できる。これにはAlibaba.comプラットフォームの翻訳ツールが使用されている。商品や取引の問い合わせはプラットフォーム上のメッセージツールで寄せられるが、これも翻訳ツールを介してやりとりできるため、伝えたい強い気持ちさえあれば、言語の壁で困ることはないと森田氏は言う。
「実際に取引となるとオンライン会議などで顔を合わせて話すこともあります。実は私は英語が得意ではないのですが、身ぶり手ぶりやネットの翻訳サービスを駆使して商談ができます。海外取引をする上で英語はできるに越したことはありませんが、それよりも積極的に伝えようとするコミュニケーション能力と伝えるべきメッセージが重要だと思います」と森田氏は体験を語る。
コミュニケーションは社内に対しても重要で、森田氏は「BtoBの魅力を会社にアウトプットするのが自分の役目かなと思っています」と言う。ブックオフにとってのBtoBの魅力は、買取に関しては企業から大量に仕入れることによる原価率の低さ、販売に関しては眠っている在庫を同種の商品でまとめ、廃棄せずに売れること。森田氏は、こうしたことを社内や店舗に伝えるよう努めている。
モノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らすことで循環型社会の構築に貢献するブックオフのビジネスが、グローバルに、また大規模に成長できるよう、アリババはAlibaba.comのプラットフォームを通じて今後も支援していく。
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