アリババ創立20周年。企業文化を継承して、新たな時代へ

アリババグループは2019年9月10日、創立20周年を迎え、中国の杭州でアニュアルパーティーを開催した。ジャック・マーの小さなアパートの一室で18人の創業者によって設立された小さなECスタートアップから、世界中で約10万人の従業員が数十の拠点で働く企業にまで成長したアリババグループは、どのような軌跡をたどったのだろうか。まずは以下の動画をご覧いただきたい。

アリババグループは、中国の経済発展に追随する形で台頭し、そして大きく貢献してきた。1999年のアリババ設立当時は、中国国内の小売インフラは最低限のものしかなく、インターネットユーザーはわずか880万人、そして一人当たりの収入は800ドル未満という状況であった。しかし20年という短期間で、インターネットユーザーは8億人以上、1人当たりの収入は8,000ドル以上、EC事業での商取引の総売上高は1兆ドル以上と急増し大きく成長した。

調査会社のイーマーケター(eMarketer)によると、現在、中国国内のEC事業の市場規模は世界の54.7%と過半数以上でトップであり、2位から5位までの国の市場規模の合計の約2倍に及ぶ。また、アリババの試算によると、中国のアリババのエコシステム内の事業を通して、直接的および間接的に約4,000万人が雇用された。

ジャック・マーが社員に向けた言葉  「アリババの伝承のスタート」

今回のアニュアルパーティーは、ジャック・マーが会長として登壇する最後の舞台となった。2020年まではアリババグループの取締役会に残り、アリババパートナーシップの生涯パートナーであり続けるものの、この日で会長を退任。今後はCEO(最高執行責任者)であるダニエル・チャンが会長に就任する。

アリババグループ会長として最後となるジャック・マーのスピーチの様子。 マーは引き続き、アリババパートナーシップの生涯メンバーを務める

アリババグループ会長として最後となるジャック・マーのスピーチの様子。
マーは引き続き、アリババパートナーシップの生涯メンバーを務める

アニュアルパーティー当日に55歳の誕生日を迎えたマーは、アリババ社員に向けてスピーチを行った。

「このパーティーは私の退任のためではなく、『伝承のスタート』を祝うものです」、とマーは語った。マーは会長を退くにあたり、よりスムーズに引き継ぎが行われるよう、自身退任の1年前にチャンの会長就任を発表し、顧客、従業員、株主の理解を促してきた。それは「個人の選択に関係なく、組織の成功のため」とマーは言う。

また、「アリババは利益だけを追い求めるのではなく、世界にポジティブな変化をもたらすことに注力すべきです」と強調した。「アリババがこれまで行ってきた大きな決断は、お金に左右されることはありませんでした。私たちが行っているテクノロジーへの投資、開発製品などは、それらが社会問題を解決できるかどうか、そして私たちのミッション、ビジョン、バリューに沿っているかが重要な判断基準となっています。私たちは次の20年も、より環境に優しく、より包括的で持続可能な世界を作り上げていきましょう」というメッセージを残した。

「社会的責任を担う企業になりたい」 ダニエル・チャンが語るアリババの未来

会長を引き継ぐダニエル・チャンも、アニュアルパーティーでアリババの展望について語った。

会長を引き継ぐダニエル・チャンも、アニュアルパーティーでアリババの展望について語った。

「アリババの目標は今後5年間で、世界の10億人以上の消費者にサービスを提供し、10兆元以上の取引を実行することです。同時に、顧客企業が、商業、金融、物流、クラウドコンピューティングなどのビジネス領域を完全にデジタル化できるよう支援を進める必要もあります。アリババでは、マーケティング、チャネル管理、製造、製品設計、顧客サービス、および組織管理などの領域も、『アリババオペレーティングシステム(Alibaba Operating System)」を通してデジタル化することが可能です。このような取り組みによってのみ、すべての顧客企業を支援でき、デジタル化されたスマートな未来に向かって進むことができるのです」とコメントした。

同時に「私たちは、社会のために価値を創造し続け、社会の問題を解決し、社会的責任を担う企業になりたいと思っています。私たちの努力が少しでも社会の改善に役立つなら、それは非常に幸せなことです。私たちは、顧客やビジネスパートナーのビジネスがより優れたものになることを願っています」とも語り、そのミッションの中にマー同様、利他主義の精神を垣間見せた。

企業精神の継承への取り組み – 設立20周年にコアバリューも刷新

アリババグループは、これまでコーポレートガバナンスを非常に重視してきた。特に20年にわたって運用されてきたパートナーシップ制度は、創業者が去った後でもアリババグループの企業文化や精神が継承されるよう設立されている。そして、20周年のタイミングで新たにコアバリューも刷新し、アニュアルパーティーで発表した。

ビジネスが進化するように、世界も進化している。企業のバリューもこれらの変化に対応し、グローバルな従業員のロイヤリティーと組織の求心力を高める必要があった。今回のコアバリューの刷新は、アリババグループのミッションである「あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる(To make it easy to do business anywhere)」の再確認である。同時に、アリババグループが一方的に企業規模の拡大を追求するのではなく、デジタル時代で「102年以上続く良い会社」になるというビジョンの意図を明確にするものでもある。

アリババ20周年 コアバリュー